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James Brown『Live at the Apollo, 1962』(1963)

アルバム情報

アーティスト: James Brown
リリース日: 1963/5(日付不明)
レーベル: King(US)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は65位でした。

メンバーの感想

The End End

 いくつかイメージ通りの、腰をくねらせて踊りまくりたい曲もあったけれど、全体としては思ったよりブルーズ・マナーっぽくてしっとりしてる……いや、しっとりどころか、ドロドロしてる。
 溜めて溜めて声を張り上げる瞬間、やり過ぎてるって、クサいって分かっていても黄色い歓声を上げざるを得ない。ズルいよ……

コーメイ

 絶唱というのが似合うアルバムであった。James Brownが、目を閉じて、身体を自由自在に動かしながら歌唱する姿が思い浮かんだ。
 「Night Train」における都市名の列挙は、その後の「Living in America」に繋がるのではないかと思われる。
 しかし、ただ、感じて、リズムに乗ることが出来たならば、それで良いのかという疑問が残るアルバムであった。

桜子

 元気出るわー!!!最高!カッコよくて元気出る音楽最高!観客がキャーキャー言ってるのも最高!笑。そりゃ開放的な気持ちになる!家で聴いても開放的な気持ちになるというか、気持ちが抑えられなくて、はしゃいでしまいます。

俊介

 当時これ聴いたら目ん玉飛び出ると思う。明らかに今までのランキングとは毛色が違うのが一聴してわかる。エレキギター生まれて数十年そこらでこの感触を与えてくれるのはこのアーティストだけだ。もちろんジミヘンなり、音楽の自由を拡張してくれるアーティストはいるけども。

湘南ギャル

 まだファンクになりきってないね?ダンスホールよりも大きなホールとかが似合いそう。お客さんの声援も黄色い声が目立つ。想像していたような老練なファンキーさはない。それでも、Introductionで観客の期待を高め、Bridgeを多用して流れを流暢にし、メドレーという盛り上がり所を用意するその構成からは、どデカいパフォーマー魂、エンターテイナー魂を持つ、お馴染みのJBを垣間見ることができた。

しろみけさん

 もっとファンキーなものを想定していたが、これまでのゴスペルを素地にしていた男声シンガーとの繋がりを感じさせるR&Bチューンが並んだ。だけどJBの歌声は伸びやかというより、シルキーというより、掠れていて切迫感が強い。Lonesome系のラブソングがとても似合っていて、観客の女子たちがキャアキャア声を上げてしまうのもわかる。かわe~

談合坂

 ジェームス・ブラウンと聞いて思い浮かべるものよりいくらかしっとりしているように感じるけど、何にしたって身体が動く音楽だ。ライブアルバムに混ざる観客の声が要所要所の歓声だけではないところがとても良い。コンサートホールの聴き方なんかに支配されないで、このぐらい常にざわざわしていて良いはずなので。

 ジェイムズ・ブラウンのライブを想像した時、もっとドラムとベースが中心に存在する血沸き肉躍るアグレッシブな音源が耳に飛び込んでくるものだと思ったが 、予想に反してこの作品はウワモノ同士の濃厚な絡み合いがライブの中で繰り広げられており、特に「Lost Someone」において複数のボーカルセクションが互いを希求するように声を振り絞る様の官能具合には惚れ惚れする。勿論リズム隊が背景に下がっていると言うつもりはなく、これまでにこの企画で聴いたどの作品よりもたっぷり脂の乗った演奏が聴ける。このライブはめっちゃ見たい。

みせざき

 ギターがとても好みだった。フロントサウンドの音抜けが良く、聴き心地が良かった。
 "演奏全体に一体感がある"という言葉を通り越して音としての重曹な面を構築しているような迫力が、正にファンクの模範として君臨するジェームス・ブラウン達の演奏であると思った。 ジェームス・ブラウンの中でほぼ全部知らない曲だったが、曲が始まった瞬間の歓声が凄いので恐らく当時のJBは今のポップスターにも比較にならないくらいの人気度だったのだろう。

六月

 自分なりの良いライブ・アルバムかどうかの基準を考えてみたけれど、やっぱり会場の熱気が伝わってくるかどうかであるなあと思う。その基準を満たしに満たしまくっているというか、ここからいわゆる"ライブ・アルバム"という概念ができたんじゃないかなあと思う。この時代にジャニタレばりにキャーキャー言われる人って存在したんだってくらい観客の声が、演奏の一部として機能している。クラシックのレコードにはこんなウズウズからどうしようもなくなって出る叫び声なんか記録されてないわけですから。
 その熱狂が最高潮に達する「Lost Someone」で、ファンクという音楽をその身一つで背負ってるくらい、ファンクといえばJBという感じですが、まだここでは、ソウルとかジャズとかから脱皮・進化し始めているっていう感じで、完成形という感じはしない。凄みはもっと後のアルバムから帯びてくるような気がする。

和田醉象

 めちゃくちゃすごい……寒い夜に聞いたんだけど、"滾る"。30分があっちゅうますぎる。通り抜けすぎて、もう一度聞く。あっ!終わった。
 タイトルや内容を見るにライブ盤なのだが、ここまで安定していて、かつ密度が濃く、ブリブリに決めきっているものが一発撮りたり得ていいのだろうか。無論、ライブを止めないためにインストが途中でちょいちょい差し込まれている作為性はあるが、それがボーカルのエッヂさをより鋭利にしている!
 好きなバンドのブート作品を漁っているときに、"めちゃくちゃいい演奏だけど、もっと音よければなあ"みたいなことがよくあるけど、きっちり最高の演奏で音質がいいのに妙に感動してしまった。この企画で聞いたものの中では目下第一位の作品だ。

渡田

 観客の歓声もあって、その声に自然と引き込まれる。通りのいい低めの声が、力強くも艶っぽくも聞こえる。その声が自由自在に伸びたり、小刻みにリズムを刻んだりするのが楽しい。
 ボーカルからは自由なリズムを感じるのに対して、ギターや管楽器の音は規則正しく穏やかでメロディアスだった。こういった、印象の離れた音と声が合わさるところに上品さを感じた。

次回予告

次回は、Beatles『Meet The Beatles!』を扱います。

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