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小説で読む幕末史

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幕末はドラマよりドラマチックです。熱く生きた彼らが刻んだ歴史を楽しんでください。
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2020年9月の記事一覧

井伊直弼(なおすけ)の天命

井伊直弼(なおすけ)の天命

 井伊直弼は、彦根藩13代藩主・井伊直中(なおなか)の14男として生まれた。直弼は、大した役割は与えられないだろうと達観し、「埋木舎(うもれぎのや)」と自ら名付けた邸宅で17歳から32歳までの15年間を過ごした。直弼は、この間、茶道や禅、居合術などを極めようとした。

 そんな直弼に転機が訪れる。第14代藩主・井伊直亮(なおあき)とその養子となっていた井伊直元(なおもと)の急死である。直弼が彦根藩

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阿部正弘の憂鬱

阿部正弘の憂鬱

 「眠れない」 阿部正弘は、頭が冴えて眠れなかった。「開国すべきか?鎖国を続けるべきか?」悩んでいたのだ。

 幕閣の意見も「開国すべし」という現実派と「鎖国を守るべし」という理想派の2つに分かれた。「今の幕府に、ヨーロッパ列強と戦って勝てる力は無いのだから、ペリーの脅しを受け入れて開国するしかない」というのが現実派の意見であり、「神君・家康公が決め、また260年間守ってきた鎖国政策を変えるべきで

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