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歴史研究718号を刊行いたします

2024年2月末に『歴史研究』718号を刊行いたします。
本号の特集は、「藤原道長――政争の末、栄華を極めた権力者」です。
大河ドラマ「光る君へ」で注目の集まる、道長とその周辺人物の最新研究をご執筆いただきました。

 藤原道長といえば、「この世をば わが世とぞ思う もち月の かけたることも なしと思えば」の句で知られ、平安時代の絶対的な権力者としての姿が思い浮かぶ方が多い方が多いのではないでしょうか。
 しかし当初は、兼家の五男で末子であった道長が権力を握る可能性は極めて低く、廟堂を主導するにいたるまでには紆余曲折がありました。「光る君へ」で描かれる青年期の道長も、権力者としてのイメージは想像できませんよね。ではそんな彼はどのようにして摂関政治の全盛期を築くまでにいたったのでしょうか。
 本特集では、道長の熾烈な政権争い、摂関政治の栄華を深掘りするとともに、摂関政治の存立・維持に大きく貢献した、姉の東三条院詮子をはじめとする女性たちの活躍を政治的な観点で考察いたしました。さらに、平安時代を代表する紫式部や、安倍晴明と道長との関係性も取り上げました。
 ドラマで描かれる姿と実像の違いを見比べてみてはいかがでしょうか。

いずれも気鋭の研究者の方々にご執筆をいただきました。
刊行を乞うご期待ください!




【目次】

巻頭随想 いま、伝えたいこと  
 「建国の日」と「建国記念の日」の違い   所 功

特集 藤原道長――政争の末、栄華を極めた権力者
 道長をめぐる政争と栄華   神谷正昌
 道長をめぐる女性たち   野口孝子
 道長と安倍晴明   赤澤春彦
 道長と紫式部   福家俊幸
 道長とその子息たち   樋口健太郎

新発見! 文化財ニュース   編集部

研究ノート
 桃林寺――家康長女亀姫盛徳院二男供養寺から始まって   野村武男

研究ノート
 正伝・大村益次郎 上野戦争編――彰義隊より甲鉄艦   山本栄一郎

縄張り図で読み解く近世城郭 第11回
 松代城――城名を四度変えた河畔の城   髙田 徹

大和王権と古代氏族 第22回
 二つあるいは三つの波多氏   松尾 光

戦国の国衆文書を読む 第20回
 木戸忠朝、深谷上杉憲盛の謙信方への離反を画策する   久保田順一

文化教養講座「歴史の質問帳」第28回
 〝自治体史〟と〝自治体誌〟のちがい   渡邊洋一

学生招待席                          
 栃木県における猫神信仰   
             栃木県立矢板東高等学校リベラルアーツ同好会

地域史新論
 没後四〇〇年 安原備中守――徳川幕府の財政基盤「石見の銀」を掘り当てた男                          北山佳実

地域史新論
 銚子に残る安倍晴明伝説   岸野達也

史談往来
 【会員随想】標葉氏の記憶   平田好子
         歴史を歩く――政宗と仙台   沼田広慶
         薩摩より拝領の一本杉柱――明治四十四年の伏見寺田屋  
                              新出高久
 【掃苔行脚】旧佐賀藩主・鍋島侯爵家の墓所について   黒坂拓哉