見出し画像

【Bistroメニュー開発】vol.3とりあえずやってみるまでもない料理

とりあえずやってみよう!
やってみなきゃわからない!まずは形にしてスタートしてみよう!

前向きで、とても良い言葉ですが、
僕はこの言葉が嫌いです。

それは現在、取り組んでいるグランドメニュー改正においての話です。
成功者は皆言っている、「まずは行動!」

しかし、考えが浅く、とりあえず行動した結果、ひっちゃかめっちゃかになっちゃった・・・
何が本質なのか?を完全に見失ってしまいました。

そこで逆に、
とりあえずやってみるまでもないって事はなんだろう?

を考えたら、絡まった糸がスーと解け、そこからは一気に仕事が進み、メニューが確定しました。

今回はその開発段階の苦悩と、光が見えた話を書きます。

行動が大事だけど、やっぱり考えることも大事だよね、と思った現場からの話です。

アイディア料理がガンガン生まれていく

メニュー開発がスタートしました。
まずはスタッフが、それぞれメニュー案を持ち合いましょう!という事になりました。
そこから、実際に可能なのかを判断して、更に進めていくという流れです。

それぞれどんどんメニューを出しました。

「めちゃくちゃいいですね!」
「なるほど!その手がありましたかー!」

今まであったアイテムでも盛り方を変え、見せ方を変えてみたり・・・
何か付け加えることによって、新たな組み合わせができたり・・・

そんな感じで魅力的な料理がたくさん出てきました。
実際、僕もそう思っていました。

いつも常備している牛スネのハム「ビーフシンケン」をオシャレに盛り付けた一皿


これはとても楽しい仕事でした。
スタッフと新しい料理を試食し、意見を言い合う。
何かみんなで前に向かっている感じがすごく心地良かった。

最初は・・・

ーーー

しかし...

どんどんメニュー案ばかりが増えていく。
実際どの料理もそれぞれ魅力はありました。

そして、更にとりあえずやってみよう!はどんどん加速していきます。

僕は頭がぐちゃぐちゃになってきました。(元々頭悪いw)
それだけでなく、現場の冷蔵庫も試作品の残骸のようなもので、ぐちゃぐちゃしてきました。

メニューは増やせば増やすだけ魅力的かというと、そんなことはない。
メニューが増えれば管理労力も増える。


だとすれば・・・
メニューを変えることで何をどう変えるのか?
それを考えてみることにしました。

ーーー

より魅力的なメニューというのはたくさんある。
そこで現状のメニューをもう一度よく見て、よくない部分を変えるようなメニューは何かという事を考えてみました。

あれもこれもやるのではなく、マイナスをプラスに変える。

つまり課題を解決するようなメニューに絞り込む事が重要だと思ったのです。

テーマは「ステーキへつなぐ」


では何が良くなかったのか?
ここからは実際僕の勤めているビストロで説明します。

僕の勤めているビストロは、「コシヅカハム」という肉の老舗の会社が手がけています。
コシヅカハムは熟練の目利きで和牛を大量に仲買しています。
つまりA5、A4ランクの和牛が常に潤沢にあり、めちゃくちゃ強い。

そして下町で長く愛されている千駄木腰塚が培った加工肉の技術。
代表商品のコンビーフをはじめ、シャルキュトリーも魅力。

つまりこのBistroの他店より圧倒的に強い魅力は
①和牛ステーキ
②シャルキュトリーです。


しかし現在のメニューはその強みを活かしきれていないと思ったのです。
一言で言えば、前半部分のボリュームが多すぎでした。

強み②のシャルキュトリー盛り合わせの量が多すぎて、序盤で、結構満足してしまって、最大の魅力であるステーキへ辿り着く前に、お腹がいっぱいになってしまうということでした。

4名だと丁度よく理想的な流れになるのですが、2名だととても多い。
実際に来られるお客様は2名が非常に多いのです。
つまり2名で来られる時点で、もう詰んでいた訳です。

そこで、
2名でもステーキへ辿り着くように、前菜部分少しトーンダウンし、ステーキへの期待を膨らませるつなぎの部分をより魅力的にしよう!というテーマをもってみました。

サッカーで例えるならば、ステーキはエースストライカー。
ステーキにボールが渡れば、点を取ってくれる、絶大な信頼をおける存在。

シャルキュトリーは鉄壁ディフェンス。
しかしこのディフェンスが強すぎて、とにかく来たボールを大きく前に蹴り出してしまう。
なので少し落ち着いて、まずはひとつ前のボランチにパスする。

そして強化すべきは、ストライカーへキラーパスを出す、ボランチ的存在のメニューだと思ったのです。

これが僕にとって光でした。

とりあえずやるまでもないものを瞬時に判断


それを決めた事によって、霧が晴れ、自分のすべき事がクリアになりました。

その後、他のメンバーが〆の料理としてニョッキや、更に前菜を強化するようなメニューを提案してきました。
料理としては魅力的でしたが、それは今やるべきことではない。
とりあえずやってみるまでもなかったのです。

まず最初に取り組んだメニュー「ハーフサイズ」


そこでまず一番最初に僕が取り組んだ事は、
シャルキュトリー盛り合わせのハーフサイズです。

2名様でも種類は同じく楽しめて、お腹と財布の負担を軽くする。
その分つなぎのメニューを注文し、期待が膨らみステーキへというのがロードマップです。
その第一歩。

これは課題を解決するメニューでしたので、即採用になりました。

今回の話はここまでにします。

次回は
僕自身の経験を活かしたボランチメニュー3品を、ひとつずつ解説していきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?