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日本でリモート営業は定着するのだろうか?

HubSpot Japan株式会社は日本の営業組織を対象に意識・実態調査を実施しました。同社は新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの営業組織がテレワークやそれに伴うリモート営業への転換などの対応を迫られいる中、「営業」にまつわる実態や意識にこの1年間でどのような変化があったかを明らかにすることで、先行き不透明な「ニューノーマル」における営業のあり方のヒントを提供することを目的としてこのような調査結果を発表しました。

この調査結果が何を意味するのか。そしてこれはそれぞれの業界で今後どのような変革が必要なのかを考える大きなきっかけになるかと思います。一度自社の立ち位置、そして顧客にとっての自社の存在意義、人員配置体制、新入社員に対する研修内容の見直しなど大きく変化が必要とされる業界も出てくるかもしれません。時代の変化を大きな視野でとらえ、一度立ち止まって明日を見据えるために今日はこのような記事を題材にしたいと思います。

①働いている時間の20.2%はムダな時間と回答。

今回の調査によると「働く時間のうちムダだと感じる時間の割合」を質問したところ、平均で「働く時間のうち20.2%」という結果になったそうです。

また、何が「ムダ」だと感じているかのアンケートを集計すると、1位が「社内会議(50.3%)」、2位が「社内報告業務(39.3%)」と社内の情報共有に関するものが上位となり、自由記述欄では「会議のための会議」「似たような書類の複数入力」という声もあがったそうです。

②テレワーク・リモート営業は直近1年間で導入が急増している。

今回の調査によると法人営業組織におけるテレワーク導入率は54.4%と半数を超えているそうです。さらにテレワークを導入している営業組織のうち77.0%は直近1年以内に導入していることから、新型コロナウイルス感染拡大により営業組織においてテレワークが急速に普及したことが分かります。一方で「電話・E メール・DM・ビデオ会議」などを用いたリモート営業については導入率36.4%とテレワーク導入率より低くなり、「出社日にまとめて商談を行う」など働く場所に応じた業務内容の選択がなされていることが推測できます。ただし、リモート営業についても「直近1年以内に導入した」と応えた人が45.0%と半数近くにのぼり、1年間で営業の現場に急速な変化が起こったことが読み取れます。

③リモート営業時代において「自分の業種でも意外にリモート営業が可能だった(63.3%)」

売り手側の回答者にリモート営業導入前後の気持ちの変化を尋ねたところ、「以前は訪問型営業が当たり前だったが、当たり前ではなくなった(74.2%)」、「今まで自分の業種はインサイドセールス(リモート営業)ができないと思っていたが意外に可能だった(63.3%)」など肯定的な声が目立っているようです。

④買い手が考える「好ましい営業スタイル」は、この1年でリモート営業が訪問型営業を逆転して上回る形にシフト。

買い手と売り手それぞれに「訪問型営業とリモート営業のどちらが好ましいか」2019年12月時点と2020年12月時点の気持ちを尋ねたところ、買い手側は2020年12月時点で「リモート営業が好ましい」と考える人(38.5%)が「訪問型営業が好ましい」と考える人( 35.0%)を上回りました。2019年12月時点ではそれぞれ21.0%、53.7%という数字だったため、1年間で買い手側の意識が逆転し、リモート営業に好感を持つ人が多くなったことがわかります。一方で売り手側は2020年12月時点の意識としても依然として訪問型の営業を好む人が多数派で、好ましい営業スタイルについて買い手との意識ギャップが広がっているとのことです。

⑤買い手の約4割は「リモート営業を提案されてもマイナスの印象は抱かない」。

買い手に「営業担当者から自社への訪問の代わりにリモートでの打ち合わせを提案されたときに感じるであろうマイナスの印象」を尋ねたところ、買い手の約4割(38.8%)は「特にマイナスの印象は抱かない」と答えました。さらに、「マイナスの印象を抱く」グループに具体的なマイナス点を選択式の複数回答で尋ねたところ、1位は「ビデオ会議や電話での商談は不安である(27.2%)」、2位は「ビデオ会議などの事前セットアップが面倒である(23.6%)」とツールに対する不安感や手間に関するものが上位となりました。

⑥課題はコミュニケーション。

 ここまでは比較的肯定的な意見が多く見受けられておりますが、一方で少し否定的な箇所で言うとこのコミュニケーションの部分が挙げられます。

「オンラインでのやり取りが増え、チームメンバーや他部署との連携が高まったか」という問いに対しては56.8%が否定的など、テレワークの不満点として上がった「社内コミュニケーションに手間や時間がかかる(45.0%)」「業務管理ができない/しにくい(38.9%)」、「孤独感を感じる(17.6%)」)と関連する課題意識も見られました。自由解答欄では「気軽にわからないことを確認や相談ができない」「コミュニケーションが不足がちになる」「そもそもインフラが整備されていない」という声も得られているようです。

⑦まとめ

この調査から何が言えるのか、について考えてみます。

1.業界や取り扱う商品にもよるが、一部リモートでの営業活動という新しい形が出来つつある。

2.リモート営業の方が好ましいと考える買い手が存在する。

3.売り手はまだまだ訪問型営業を好む傾向にある。

このコロナ禍が収束した後も一定のレベルでリモート営業は継続するのはないかというのが私の予測です。というのも、そうした方が買う側にも売る側にもメリットが存在するからです。もちろん全ての業種に当てはまるわけではありませんが、しっかりと自社と競合、顧客の状況を把握することでリモート営業のノウハウ自体がPODにも成りうる可能性があると思います。

リモート営業を自社の武器にするためにすべきこと。

新型コロナが加速させたこのリモート営業スタイル。私はこれを自社の武器にすべきだと思っております。なぜならば3つの理由があります。

1.働き方改革に結びつけることができる。

これはその営業スタイルを確立することができれば社員の新しい働き方が形になるというのが1つ目の理由です。よくあるのが総合職と一般職という働き方です。転勤の有無などで違いをつけるスタイルもよく見かけます。その中で総合職や一般職のどちらに属していても選べる訪問型営業とリモート型営業といった職種を作ることができます。それぞれ必要とされるスキルや学ぶことに違いがありますが、逆にいうと両方のスキルを身につけておけばさらに社員の成長に繋げることができます。こういった形を作ることで例えば産前産後の女性社員の働く形ができたり、訳あって転勤ができない社員にも新しい道が開かれます。何よりも新卒を確保する段階で一歩進んだ企業であることがアピールできます。新しい働き方という観点でリモート営業という部隊を作ることがその会社のメリットになるという意味で1つ目として挙げさせていただきます。

2.買い手からみた時、競合との差別化になりうる。

調査の④と⑤にある通り、買い手側もリモート営業に好意的な印象を持っている割合が一定数存在します。これは何を意味するかというと、このコロナ禍で変わったのは売り手側の環境だけでなく、買い手側も同じということです。すなわち1で述べたような働き方一つとってみても、改革したいと思っているのは買い手側も同じです。この大きな変化の中でその状況をできるだけ良い方に改革したいと思うのは両者が一致するということです。

時と場合と案件にもよりますが、全てが全て訪問で実施するのではなく、リモートと訪問をそのケースによって使い分けることが実は両者にとってメリットになるのは必然です。新しいやり方を積極的に取り入れ、リモートでの営業スタイル自体を買い手側のメリットにしてあげるように持っていくことも提案の一つになるということです。そしてそれができる会社と全くそんなことを考えていない会社で大きな差が生まれるのことになるでしょう。全ては顧客のために何ができるのか、そしてそこにリモートという価値をつけることも他社との差別化にできるというのが2つ目です。

3.その柔軟性が新たな価値を生む。

2で述べたようにその時代にあわせて営業スタイルを変化させることが差別化になることは間違いありません。そして、変化できるということを実践することがまた新しい価値を生む可能性につながるというのが3つ目です。

実は訪問営業スタイルにもいい点はたくさんあります。営業のシーンだと雑談から始まり、趣味の話題からビジネスにつながることもよくありますし、そういった営業が得意な人もいます。また、やはり対面することによる安心感、いつでも来てくれるといった親近感がビジネスに直結することも多くあります。そして少しご年配の方が買い手のケースで、訪問営業スタイルこそが全てであるという考え方という場合もあります。同時にリモートの場合、通信トラブルや買い手側が極端な機械オンチの方の場合、非常にその商談が難しくなることもあるでしょう。そういう意味でリモート営業スタイルが効果的ではないケースがあることは確かだと思います。しかしここで強調しておきたいのは、今までの訪問営業に加えてリモートでの選択肢を自社で確率することで変化に強い文化を作り上げることができるということです。

営業スタイルを少しでも変えるとなると実は色々のものを変えなければなりません。働き方や評価システム、賃金体型にも変化が必要です。さらに新入社員教育や幹部育成の研修など学ぶ内容も変える必要があります。そういう意味で一言リモート営業スタイルに変えるといっても経営層の立場からすると億劫に感じられる方もいらっしゃると思います。しかし、だからこそ意味があると私は思います。この変化の時代に何も変えられない会社に未来は感じません。世界中の人々に変化をもたらしたこの1年。今何も変えれなければおそらく今後何が起きても何も変えられないでしょう。そういう意味で柔軟性を持ち、その次の価値を生むような企業文化を作る組織作りの一環としてこのリモート営業スタイルというものを積極的に取り入れるべきだというのが私の主張の3つ目です。

最後に

この記事の題名にリモート営業は定着するのだろうかという題名をつけました。定着させるべきというのが私の結論ですが皆様をどう感じられますでしょうか?

記事内では触れませんでしたが、実はリモートでの営業は対面での営業よりも高い次元での商談スキルが必要とされると私自身実感しております。短時間で、しかも画面越しに、相手のニーズを対面の時以上に汲み取り、的確な提案を簡潔にしなければなりません。実は営業としてのスキルをもう1ランク押し上げないと顧客満足が得にくくなるかもしれません。しかしそうすることが他社との違いを生み、何よりも自分の営業スキルを高めるためのトレーニングになると日々感じております。

この先が見えない時代に生きるビジネスパーソンだからこそ、このリモート営業スキルは今最も身につけておきたいスキルなのかもしれません。






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