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「枠から外れてもあなたは綺麗」 ー リアルサイズモデル・北原弥佳 インタビュー

自分のボディサイズや容姿を「恥ずかしい」と思った経験はありますか?”理想”や"標準"に縛られた美しさの価値観に苦しんだことがありますか?

近年、『ボディポジティブ(Body Positive)』という言葉とともに、私たちを苦しめてきた従来の美の基準から自由になって、生まれ持った体型や容姿に誇りを持とうとする意識改革が世界中で進んでいます。

今回、REINGが『FABRIC TOKYO think inclusive fashion』のクリエティブのコンセプト設計・制作を担当するにあたり、モデルとして協力してくれた北原弥佳(Mika)さん。リアルサイズモデルとして自らの体型を武器に表現活動をする傍、一人一人の心まで温かく包むこむような等身大のメッセージを日々発信し続けています。ボディサイズの話のみならず、体と心の関係性、言葉の力、一歩を踏み出すためのポジティブなヒントについて語ってくれました。

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北原弥佳 / Mika Kitahara
1999年・長野県出身。2019年に『ピーチ・ジョン(PEACH JOHN)』のリアルサイズモデルとして、モデルデビュー。Instagram等のSNSを通じて、ボディ・ポジティブやありのままの美しさを発信している。
Instagram:@mika_1623

「居場所」を作ってくれた言葉との出会い

- 現在の活動を始めたきっかけは?

Mika:小さい頃からコンプレックスの塊。肉付きが良いせいで、兄弟にからかわれたり、周りの人から「痩せた方がいいよ」「痩せたら可愛いよ」と言われ続けてきました。いつもどこかで自分はダメだと思っていた私が「待って。今のままでもいいのかも」と思えるようになったのは、数年前に『ボディポジティブ(Body Positive)』という言葉に出会ったことがきっかけでした。アメリカで俳優やプラスサイズモデルとして活動する藤井美穂さんを知って、自分の中に新しい価値観が生まれました。

海外ではボディポジティブを発信している人は多いのですが、当時日本でそれを発信する人は少なくて。だったら「閃いた!自らフィールドを作ればいい!」と思って、インスタで投稿を始めました。観念しろ、自分!という気持ちで始めて、ちょっとずつ自分の体を使って発信していくようになったんです。私みたいに体が大きかったり肉付きが良いことでネガティブな思いをしている人たちに、プレゼントが贈れたら嬉しいなという想いで。

- 活動を始めた時と、今現在で何か変化は感じる?

Mika:いい方向に向いたと思います。自分のことがもっと好きになった。自信を持って、ポジティブに伝えられて、弱みすらさらけ出せるのは自信がついたからかも。いつだって「人がどう思うか」「人がハッピーになるか」って他人軸だったから、相手を優先して、人目を気にしていたんです。今は、いい意味で自己中(笑)。

「人の体型に口を出すのは失礼なのでやめてほしい」とちゃんと意見を言うようにしたら、周りも変わってきました。そういう容赦ない言葉をかけてくる人も少なくなりました。見た目が理由で人から阻害されやすく、生まれてからずっとどこにいても自己否定をしてきた自分に、リアルサイズ・プラスサイズモデルという言葉が「居場所」を作ってくれたんです。この言葉がなかったら私は今この場所にいないから、あったかくて、私を照らすお守りのような言葉です。

心ファースト。闇から光は生まれる

- ボディポジティブを掲げていると、ポジティブな発信が要求されるのかなと思うけど、ネガティブなメッセージもさらけ出しているよね。それは何か意図があるの?

Mika:常にポジティブであろうとすると、ネガティブな感情をもつことがしんどくなってくる。人間の悩みっていっぱいあるけど、キラキラしたInstagramの世界だけを見ていると、キラキラしている世界の方が正当化される。でも、私は人間味がある物を見せたいんです。マイペースな私に親近感を感じて欲しいから、ネガティブもさらけ出す。

すると「あっ自分を受け入れられている」と自分自身が気づくことができるから、これはネガティブな自分をコントロールする方法でもあるんです。心が少しでもネガティブになったら、体にも出ます。心が悪いと見せ方も悪くなっちゃう。ネガティブな発信をする時こそ、共感を感じてもらえるように言葉遣いや伝え方には特に気をつけていますが、どう健やかに過ごしていけるかのバランスを第一に考えての方法です。とにかく、心ファースト。心が痩せたいと願ったら運動するけど、今はそのままでありたい。そういう正直な気持ちを伝えています。

- ボディポジティブには太っているだけでなく、痩せていることも含まれますよね。ボディポジティブについてみんなが実は知らない / 気づいていないことってどんなことがある?

Mika:どんな体型であっても自分の体にネガティブなイメージを持っている人がいたとして、それを受け入れようとする姿勢こそがボディポジティブだと考えています。私は女性に対して発信することが多いけど、男性に対しても「どの人も美しい」と思っています。

人から何かを言われる恐怖は確かにあるけど、容姿や見た目についてとやかく言うルッキズムのある世界を変えたいと思うんです。友達と街を歩いていても、友達の可愛い子にしか声をかけてこないとか、外見だけで人を判断しますよね。みんな細い人・可愛い人・綺麗な人を”理想”にしているから、そこから外れることが怖いんじゃないかと思うんです。私も怖くて自分を受け入れられなかったけど、堂々とありのままの自分の写真をSNSに上げて見せたら、自分のことが好きになった。きっと、自信を持って何かをしている人が美しいのかも。

"痩せていて綺麗な人がすべての世界"で

- 今回、FABRIC TOKYOのオーダースーツを作ってみて、どうでした?

Mika:生地、ボタン、裏地からステッチまで、全部チョイスしていく時間が面白かった!サイズをカスタマイズできるブランドはあったけど、ゼロから自分の体型や好みに合うスーツを作れたの初めて。インナーに何を着ようとか、ハッピーな自分をイメージをする時間が楽しかったです。裏地にピンク使うかどうかは結構悩んだし、元々ショート丈が好きで、長いものがあまり好きじゃなかったけど、思い切って試してみたらとても素敵で。肩幅がしっかりすることで、気にならないし、むしろ存在感が出てかっこよく見える。着心地も良いし、愛着もたっぷり。自分の体や好みにも新しい発見と挑戦ができました。

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- Mikaさんはこれからどうしていこうと思ってる?何かモットーはあるのでしょうか。

Mika:痩せていて綺麗な人がすべての世界だからこそ、そうじゃない誰かの味方でいれるような存在でいたいです。もし今の私のような人と幼少期に出会えていたら、私はもっとハッピーだった。でもそうしたら、今この場には存在しなかったかもしれない。伝えたいことがあるから私は今ここにいるんだと思います。私自身、ロールモデルがいなくてずっと困ってきたからこそ、枠から外れても「あなたは綺麗だよ」って伝えたいし、私くらいは「あなたのこと見てるよ」って包んであげたい。

キャリアでは、プラスサイズファッションにも関わっていきたいです。日本は体型を覆って隠す、痩せて見えるコーデを提案がちですが、海外のようにボディラインを出す美しさもある。そういったことを提案しながら、英語をもっと勉強して、モデルとしても海外のオーディションに挑戦していきたいです。

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「絶対にあなたらしい場所がある」

- 最後に、形やあるものにとらわれずに、自分らしさを見つけるヒントを教えてください。

Mika:無理に自分を好きになろうとしている人が多いので、そうではなく、自分のいいところをもっと見てあげて欲しいです。もっと自分の好きな部分、パーツでもいい。何か一個でいい。自分の好きなところを優しく包んであげたら、自分の好きが広がっていくから。

そして、もっといろんな違う考え方あるっていうアンテナを持って欲しいですね。そのためには、発信側が頑張るしかない。痩せたい人がいるから広告もテレビもダイエットを提唱するけれど、太っていてもいいという発信をすればありのままを受け入れられるようになるように。とにかく共感してもらえる発信を、1ミリずつでも広がっていくことを頑張っていきたいです。私の友達の友達から、その輪が広がっていけるように。入ってくる情報や求める情報が増えるほど人は変わっていけるから。

私は自分を大切にする価値観を持った友達に恵まれたし、『ボディポジティブ』という良い言葉に出会えた。自分を好きって言ってくれる場所が必ずある。人生はその居場所を探す旅。自分に合わないことは変えていいし、違かったら次!絶対にあなたらしい場所があるから安心して。絶対にあるから、ゆっくり行こう!


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体を愛することは、心を愛すること。体型は表層的なもので、心を見つめることがもっと大事、とMikaさんは教えてくれた。

「人から何かを言われる恐怖は確かにあるけど、容姿や見た目についてとやかく言うルッキズムのある世界を変えたいと思うんです。」

このメッセージには私たちの願いがこもっている。"理想"や"標準"を持つことは悪いことではないけれど、それに合格しないといけないなんてプレッシャーを背負って苦しい努力をする必要はない。いつも100%の自分でいられなくても、同じ努力なら、自分にとって居心地の良い状態のために努力したいと。それでも、もし時々心が折れそうになったら、"等身大"の彼女の姿を追いかけてみて。きっと「心ファースト」を思い出させてくれるから。


Interviewer / Writer:Yuri Abo
Editor:Maki Kinoshita

REINGでは、自分自身と向き合いながら「自分らしい選択」を紡ぎ続けている人たちのインタビューを実施。今はまだ「普通」とされていない選択をしている人たちや、フォーカスされていない関係性を紡ぐ人たちのお話を通して、形やあるものにとらわれずに、自分らしさを見つけるヒントをお届けしています。

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