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『キャプテン2』・『プレイボール2』に見るコージィ城倉という才能

こんにちは。
LGBTQライターのなつめれいなです。

今日から12月、師走ですね。
もう31日過ぎると2022年がやってきます。

さて、本日はちばあきお先生の名作、『プレイボール』の続編となる『プレイボール2』を2017年に、『キャプテン』の続編『キャプテン2』を2019年に連載開始した、コージィ城倉先生(以下、コージィ先生)がテーマです。

『キャプテン』・『プレイボール』とはどんな作品?

まずは、この2作品がどんな作品かについて解説しましょう。

『キャプテン』は4人のキャプテンが主人公

『キャプテン』は、1972年~1979年にかけて月刊少年ジャンプにて連載された作品です。

東京の下町にある普通の公立中学・墨谷二中野球部を舞台に、キャプテンと部員の奮闘を描いています。

本作の特徴は、4人のキャプテンを主人公にしている点です。

初代:谷口タカオ
二代:丸井
三代:イガラシ
四代:近藤茂一

それぞれのやり方でチームを強化していく過程が描かれています。

『キャプテン2』は、途中で終わった近藤世代の全国大会を描いた後、舞台は高校に移りました。高校編では、丸井キャプテン・谷口監督になってからの墨谷高校がメインです。

最初は隔月連載でしたが、現在は「グランドジャンプ」に移籍。隔週連載されています。

『プレイボール』は谷口の高校時代を描く

『プレイボール』は、中学卒業後の谷口タカオを主人公として描かれた作品です。
連載期間は1973年~1978年までとなっています。

中学時代のケガが原因で指が曲がったままになっていた谷口は、最初サッカー部に入部しましたが、野球に未練があることを見抜いた相木の説得で野球部に入り直します。

墨谷高校野球部は、出れば一回戦敗退が指定席。決して強くはない高校でした。そんな中で奮闘しようとする谷口、感化されていく部員の奮闘が描かれています。

『プレイボール2』は、春の練習試合で大敗したあとからスタート。谷口たちが3年生になった夏の地方大会(東東京大会)までが舞台です。最後は谷口が後輩たちの指導者になったところで完結。キャプテンに移行しました。

2作品に見る「コージィ城倉」という才能

『プレイボール2』がはじまったきっかけは、「グランドジャンプ」が持ちかけたリバイバル企画がきっかけです。当時の編集長とちばあきお先生の遺族が話し合いを重ね、2017年4月にスタートすることで合意。

コージィ先生が名乗りを上げ、連載がスタートしました。

絵柄をほぼそのまま再現

『キャプテン』連載開始時、コージィ先生は9歳。『プレイボール』連載開始時は10歳です。本人もインタビューで語っているとおり、リアルタイムで読んでいました。

そんな先生も、スタートをどうするかは相当悩んだといいます。

『プレイボール』は39年、『キャプテン』は40年、連載終了からそれぞれ経過しているわけです。それは誰でも悩むと思います。

たとえば、大学野球編やプロ野球編にすることもできたでしょう。または、それぞれの子供達を登場させて、指導者となった谷口たちを登場させても良かったかもしれません。それでも、当時の絵柄をそのまま再現したいと考え、あえて連載終了当時(昭和53年)を再現したわけです。

本人がインタビューで語っていた「何も足さない、何も引かない」という言葉通り、当時の下町の雰囲気、あきお先生のテイストをほぼそのまま再現しました。

絵柄についても、主要キャラクターはあきお先生の絵柄を踏襲。主要人物以外は少し変わっているところもあるものの、ほとんど気になりません。

ストーリー・雰囲気が秀逸

あきお先生の作品は、女性キャラクターがほとんど出てきません。当時は、「野球は男のスポーツ」と思われており、女子禁制の雰囲気がありました。そのあたりもしっかりと再現されています。

作品のコンセプトは、普通の中学生・高校生が上達するために必要なことを自ら考え、ひたすらに実践していくというものです。コージィ先生もそれを踏襲して、その泥臭い過程を丹念に描いています。

全体のストーリーも、「あきお先生が続編を描いたら、こうなるのかな?」というものを見事に再現。古くからのファンを見事に喜ばせました。

最後に

コージィ城倉先生は、森高夕次名義にてマンガ原作者としても活動しています。原作者は読者を飽きさせないストーリーを作ることが求められる大変な仕事です。

絵柄を真似するだけであれば、プロであればできるでしょう。しかし、どんなに真似ができても物語が面白くなければ魅力も半減します。本作が面白くなったのも、コージィ先生の才能によるものが大きいでしょう。

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