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開催レポート5「アメリカで学ぶ、働くってどういうこと?」

こんにちは。れいこう麗澤会では1月16日〜20日にかけ、オンラインキャリアトークという無料のキャリアイベントを実施しています。今回は1月17日(日)に実施した「アメリカで学ぶ、働くってどういうこと?」の開催レポートをお送りします。なおこのレポートは大学生サポーターの<オダアキコ>さんが執筆してくれました!

講師紹介 

浜野 穂花さん
 2012年に麗澤高校ILコースを卒業後、アメリカのシアトルのGreen River College大学(2年制)に入学し、2013年に卒業。
 その後、フロリダ州立大学(4年制)に編入し、広告学専攻/コンピューターサイエンス副専攻の学士号を取得し、2016年に卒業。
 2017年1月から現地の広告代理店やWebエージェントなどでグラフィックデザインインターンとして働き、同年5月にフロリダのIT企業のUIデザイナーとして就職。
 2020年2月に帰国し、現在は外資のデザインコンサルティング会社のUIデザイナーとして働いている。

話の内容

1.アメリカで学ぶって?

①アメリカの大学と日本の大学の教育制度の違い

1.専攻
 日本は入学時に専攻を決める事が多い。一方で、アメリカでの専攻は極論、いつでも変えることができる。2年間で様々なことを学び、3年生の時点で専攻を決める。途中で専攻を変更可能することもできる。また、W専攻・副専攻制度がある。
2.留学生
 高校の成績・志望動機・TOEFL等で判断される。いわゆる「入試というものはない。
3.入学時期
 年に複数回有る。
4.学年の概念
 日本と違い、学年という概念が薄い。入学時期が複数回あるため、卒業時期もばらばらになる。
5.予習・復習と課題が多い。
6.授業スタイル
 積極的な発言と自由な受講スタイル。生徒と先生のディスカッションスタイルが主。アメリカでは教室で自由なので、ご飯を食べている人もいるほど。
7.寮生活・シェアハウスが一般的。
8.奨学金は返済が不要。

②一年間の留学と「正規」の留学

 大きな違いは、1年間留学では学位がもらえない。1年間の留学は、アメリカで「学ぶ体験」というものをしたい人向けのもの。英語力は確実に伸びるが、ネイティブレベルになることは難しい… 楽しくなってきたタイミングで帰ってしまう人が多く、もったいないと感じた。

③留学する時に「留学斡旋会社」は使うな

留学斡旋会社とは、学校や現地の情報を提供してくれたり、手続きを手伝ってくれたり、海外留学のお手伝いをしてくれる会社。しかし、“これらのことは自分でできるのでは?“と感じた。実際、自分で行うことはできる。さらに、留学斡旋会社は仲介料が会社に入る。しかも、留学斡旋会社の提携大学しかない。つまり自分の選択範囲を狭められてしまう。
⇒それはもったいなくない…?
 そのため、留学斡旋会社はおすすめしない。ただ、無料カウンセリングのみに参加し、情報を集めることは良いと思う。

④費用を抑えておトクにアメリカの大学を卒業する方法

州立4年制大学 年間学費 平均180万円
私立4年制大学 年間学費 平均350万円
州立2年制大学 年間学費平均90万円
⇒最初に2年制大学に入学し、4年制大学に編入すれば、180-520万円の節約することが可能となる。

⑤留学する州選びのポイント

経験では、人気の州に行ってしまうと、アメリカ人の友だちができない。それは、留学生と友達でいたほうが、気が楽だから。それでは、コミュニティから抜けられなくなってしまうし、アメリカ人に対して壁ができてしまう。
⇒そのため、人気の州には行かないほうが良い。
 フロリダは人気の州には属されない。よって日本人が少ないため、人気者になれる且つ学費が安くなる。さらに、アメリカ人の友達がたくさんできるため、英語力がかなり伸びる。
 それだけではなく、マイナーな州では留学生を欲しており、奨学金制度が多い。

2.アメリカで働くって?

①学生ビザで働く方法

OPT CPT制度がある。これは、学位を取得すると、合法で働ける制度。通常一年間、専攻がSTEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)であると三年間働ける。
 アドバタイジングはwebデザインのクラスが有り、それがテクノロジーに分類されたため、三年間働くことができた。この三年間働くけることは、進路が変わって来る。

1.引き続き働く場合
 その企業に気に入ってもらわなければならなくなる。就労ビザを申請してもらうことができ、さらに審査を通ればビザを取得できる。しかし、30万くらい費用がかかり、審査が厳しい。さらに払っても落ちる場合もある。つまり、残ることはかなり難しい。

2.日本に戻る場合
 その時点で基本的に中途採用の枠で入社することになる。そうなると、1年間就労経験があるが、経験が微妙なラインなので、選択肢が狭められてしまう。
⇒三年間働けるので、アメリカの会社に気に入ってもらいやすい。そして、ビザを申請してもらいやすくなる。

②アメリカの就活と日本の就活の違い

1.好みの違い
 日本  :新卒が大好き。
 アメリカ:就労経験ある人が好き。よって、大学出たばかりの人は難しい。そのため、なにかしらの就労経験をするために、インターンシップを受ける。

2.インターンシップ
 アメリカのインターンシップは日本のように3日くらいでは終わらず、三ヶ月ぐらい、正社員のように働く。それを就労経験として与える。このインターンシップを同時進行することで、沢山の就労経験を得たり、たくさんのことを経験したりする。

3.履歴書
 履歴書は自由に作る。フォーマットがない。アメリカは差別に厳しいため、性別や年令を載せなくていいとされている。

③アメリカのホワイト企業の労働環境って?

1.ライフワークバランス
 ライフワークバランスが素晴らしい。基本残業はしない。有給は100%使う人が多い。
2.社員同士の関係性
 フラットな社員同士の関係性がある。先輩後輩という意識がなく、対等な立場で接している。Mr.などで呼ぶことはなく、ファーストネームで呼ぶ。
3.ステップアップ・転職
 ステップアップ・転職が当たり前。違うスキルを身につけたかったり、チャレンジしたりしたい人は転職することが多い。良い意味でドライ!
4.食事
 無料の朝ごはんとお昼ご飯、お菓子や飲み物…など沢山提供される。それは、ある時間の枠を作って社員にご飯に行かせるよりも、社内で食べてもらったほうが効率的であるため。
5.費用
 携帯代、ネット代、保険代を会社が払ってくれる。
6.イベント
 数がたくさんある。射撃場やクリスマス会、カラオケ・パーティなど、月に1回ほどあった。オフィスも飾られる。
7.税金
 フロリダの場合は、給料から州税が引かれないため、お得になる。日本だと手元に入る給料は税金が引かれているが、フロリダだと、そのまま入るので得である。
8.厳しい面
 会社に合わない人は、上司の一存で即日クビ。日本とは特に違うところ!

3.今後の展望

画面を作るにあって、どのような機能を入れたら良いのか、どのようなことがユーザーにとって良いのか、企業の方と一緒にデザインできるようなデザイナーになりたい。さらに、デザインの幅を広げていきたい。

4.中高生に向けて

日本の社会にいると、レールが有り、みんなと同じであることが多いと思う。しかし、他の人とは違う、面白い選択肢や冒険してみる選択肢を考えてみてほしい。楽しまないと意味がない!!

こんな質問が出ました

Q:ギャップイヤーについてどう思うか。
A:ギャップイヤーとは、高校を卒業してから大学に入るまで、自分がやりたいことをやる期間のこと。アメリカだからこそできる、素晴らしいことだと思う。

Q:スカラシップとファイナンシャル・エイドの違いを教えてほしい。外国人留学生もファイナンシャル・エイドを申請できるのか。
A:ファイナンシャル・エイド制度は、現地の学生にしか使えない制度。入学する前に、大学は経済情報を知りたがる。それは、お金がない状態で受け入れることはできないため。
 よって、留学生では、スカラシップ制度を利用することが一般的である。

Q:大学を海外で学んで、日本に就職した場合のメリットとデメリットについて
A:メリット:日本は新卒が大好きであり、海外の大学を卒業して新卒として就職するなら経験はメリットに繋がると思う。
 デメリット:一回アメリカで働く人達は、日本で就職することは難しいのではないかと思う。中途採用の枠で探すことになってしまうので、雇ってくださる会社は少ないかもしれない。また、外資は就労経験を重視しているところが多いので、日本のどの企業に就職することかによって違うかもしれない。

Q:残業が無く、早めに帰るころができる海外は、仕事が終わらないということはないのか。
A:確実にできるであろう仕事を与えられるため、終わらないということがない。また、残業代が出ないので、残業した分だけ自分が損。そのため、効率よく常に仕事をしているのではないか。

Q:アメリカで建築デザインを学んでおり、アメリカで働く場合、ソーシャルセキュリティーナンバーを申請する必要はあるのか。
A:必要ではあるが、早めだから得であるということはない。
ソーシャルセキュリティーナンバーとは、働くために必要な番号。個人の税金の管理など、様々な情報を結びつけている。日本で言うマイナンバーのようなもの。

Q:インターンシップの場合、ソーシャルセキュリティーナンバー必要か。
A:インターンシップは給料が発生しなければ、必要ないと思う。ただ、企業のルールによって異なるため、個々によって必要な場合もあると思う。

Q:日本に帰ってきた理由は?
A:たまたま3年間終わりビザが切れた。様々な案を出して、会社が引き止めてくださった。しかし、学べることは学べたなと感じ、新しいことをやりたいと考え始めていたため、お断りし、日本に帰国した。

Q:アメリカと日本の職場、どちらが働きやすいですか?
A:コロナの影響でリモートワークなため、日本の企業だからと判断してよいかわからない…。今の現時点でのリモートワークの働き方で言えば、アメリカでいたときのFace to Faceのほうが人間らしい働き方だなと思う。
 ただ、今の仕事のほうが好き。アメリカでは、警察向けの仕事だった。日本の今の職場は、様々なクライアントを持っていて、プロジェクトが変わるたびに違う種類になるため、楽しさがある。

Q:アメリカの企業は、性別等を意識して採用するのか。
A:様々な方を採用するように政府から言われているため、性別や人種を意識して採用していると聞いたことがある。

Q:アメリカで働いてみて、日本人として良かったことや悪かったことはあるか。
A:アメリカでは、日本人という意識はなく、何人だからという考え方ではないと感じた。どのような人でも、感じるところは同じであり、根っこの部分は一緒であると思う。そのことから、何人であることを一概に言えないし、アメリカで働いて意識がとても広がり、何人であるということではなく、その人がどのような人であるのか、と考えるようになった。
 日本の文化に興味を持たれるようになったが、自分が日本人であるという見方をされたことはなかった。自分を自分として見てくれた。

Q:アメリカの企業は、職級はあるのか?
A:職級はある。アソシエイトUIデザイナー、ミドルUIデザイナー、UIリード、UIヒットなどという職級がある。

感想・まとめ

 現地で実際留学をし、働いた経験がある方だからこそ、お話できる内容だったのではないかと思います。
 浜野さんもおっしゃっていましたが、日本はレールがある程度引かれ、みんなが同じような方向に向かって生きることが当たり前となっているように思います。ですが、これからの世の中を生きていくためには、何か、他人とは少し違った考え方や感性が必要だと思います。“皆がそうしているから、自分もそうする“ではなく、”自分がこうしたいから、こうする“の考え方が、浜野さんの根底にあるのではないかと感じました。だからこそ、他人とはひと味違った貴重な経験をできるのではないかと思います。私もそのような気持ちを持ちたいと思いました。
 素晴らしいお話を、ありがとうございました!

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