零細町工場の社運をかけた製品の“アバタ”
「零細町工場の社長」です。モノづくりのまち、東大阪でちっちゃな町工場を営んでいます。
本日からはいよいよ、弊社が社運をかけて産み出した初めてのオリジナル製品の詳しい紹介をしていきます。(会社と私自身についてのこれまでの自己紹介はこちらのマガジンにつづってあります)
プロ仕様カッターマット『切られ役』
カッターを本気で使うプロや愛好者のための上質なカッティングマットです。なめらかな切り心地、「マット地」と「マス目」の目にやさしい配色、無駄を削ぎ落としたシンプルデザイン、ズレにくい重さまでとことんこだわって作りました。しかし・・・。
“アバタもエクボ”ではなく
企画から製造、そして販売まで心血を注いだ初の自社製品。それはそれは思い入れも自信もあるかわいい製品です。
当製品の開発によせてカッターマットを愛用している様々な分野の人たちから聞き取りをしました。そこから想像力を膨らませて、こだわりを製品へと落とし込んでいきました。手に取っていただいた人たちが使って本当に気持ち良いと思って貰えるものにしたくて。
でも、嫌なところがひとつもない人なんてどこにもいないように、欠点が無い製品もたぶんどこにも無いんだろうな、と。何故ならその人の好みや志向、考え方やこれまでどう生きてきたかによって「何が好き」で「何が嫌い」かは千差万別だからです。それが人だしても物だとしても。
本当なら良いところ/こだわったところをまず自信満々に語りあげて猛烈にPRすべきなんでしょうが順番的にそれはしたくありません。
弊社にとっても私にとっても確かにかわいい製品ですが、「ですが」というか「だから」、まず欠点を知ってほしいなと。つまり「アバタもエクボ」ではなく、「アバタはアバタ」で「エクボはエクボ」だと、しっかり伝えてこのかわいい製品を売りたいのです。
嫌なところも充分知ってるけど、それでも付き合ってもらえる人のようにありたいな、と。(欠点を直す努力をしないというわけではありません。随時、改良/改善は続けていきます!もちろん)
3つの短所、その1「におい」
『切られ役』が徹底的にこだわったポイントが「究極を目指した“切り心地”」です。なぜか。カッターマットは“カッターで何かを切る”時に下に敷くものだからです。つまりもっとも大切な機能にとことんこだわりました。
具体的には素材や製造法の選定です。カッターマットの製造に30年以上携わってきた弊社に蓄積した知見を存分に活かしました。
だから「切り心地」には自信があります。でもその「切り心地」を実現させるための素材と製法が1点目の短所「におい」の原因となっています。
具体的には・・・
“なめらかな切り心地”を生むために、素材はPVC(ポリ塩化ビニル)を選んでいます。ちなみに弊社で使用しているPVCはリサイクルもので「グリーン購入法適合品」となります。
そしてこの再生モノのPVCというのが素材特有のにおいを持っているのです。そのにおいが気になる方もいれば、あんまり気にならなかったという声も実際あります。
ただ私たちからひとつ言いたいのは、そのにおいも時間の経過とともに穏やかになっていくということです。お客さんにとって商品との出会いは、商品を買ってパッケージから出した瞬間です。その時の印象がもっとも強いインパクトがあります。
出会いの時に「におい」に拒絶反応があれば、その製品そのもの全部に対してマイナスの評価が下されたとしても何もおかしくありません。
だから最初に伝えておきたいのです。「気になるにおいがするかもしれない」と。そして「そのにおいは使用するにつれ目立たなくなっていきます」と。
知った上で買うのか、知らずに買うのか。納得感が大きく変わってくるのは簡単にわかります。だから購入していただく前に伝えておきたいのです。
短所その2「熱に弱い」
これも素材由来の欠点です。PVCには耐久性、耐候性、耐水性、耐薬品性に強いというカッターマットには頼もしいタフガイな一面があります。その一方で熱には弱いです。ホットコーヒーのカップを上に置くとか、ノートパソコンが持つ熱とかにも耐えきれず板が反ってしまうかもしれません。
「頑丈、耐久性に自信とか言ってる割にはすぐ変形するやん」それ、ほぼ熱が理由です。あとは直射日光も避けてください。反ってしまいます。あとは立てかけて長時間保管しても、硬質の素材だけではないのでグニャッといってしまう恐れがあります。道具として長く愛用していただくためにも高熱と直射日光を是非避けて欲しいです。
短所その3「溶剤で印刷が消えるかも」
3つ目は「マット地そのもの」というよりも、マット面に印刷しているマス目についてです。
カッターだけを使用する分には問題ないのですが、プラモや造形など用途によってはアルコールやシンナーなどの溶剤を使用する方もいます。しかしマス目を印刷しているインクが油性なもので、溶剤を使ってしまうとそのインクが消えてしまうおそれがあるのです。
「でも、わし溶剤使いたいんやが?どうしたらええ」とおっしゃる方のために裏面を印刷無しにしています。無に何をぶっかけても無です。存分に溶剤を使ってください。ちなみに裏面もカッターマットとしての性能は表面と何も変わりはありません。マス目の印刷がないだけで、こだわり抜いた「なめらかな切り心地」は変わらず楽しんでいただけます。
競合他社では長持ちさをアピールするために両面にマス目を印刷しています。でも溶剤を使うとどうなるでしょうか?わかりますよね。原価率を下げたい一心で片面印刷にしているのではないのです!(ということにしときませんか?)
本日のシメ
以上3点が弊社として事前に知らせておきたい『切られ役』の短所です。使う上で注意すればカバーできる短所だと信じています。が、やっぱり使い方によっては気になる人もいるかもしれません。用途に合った製品を後悔なく選べる世の中であったらいいなと私自身常々思っているので、先に欠点を伝えさせていただきました。明日は『切られ役』のこだわりや長所をゴリゴリ書けたらなと思っています!いまからワイシャツ腕まくりしておきます。今日はもう歯を磨いて寝るだけですが
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