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まちの不思議を紐解いてみたら・・・(まちの不思議 おもしろ探究日記 #1)
本記事は、雑誌「社会教育」に掲載された連載記事を転載しています。
ぜひ、本誌もお手に取ってご覧ください!
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まちにはいろんな不思議がある。
誰が決めたのかもよくわからない謎な建物が、突然建ったりする。自治会には入った方がいいなんて聞くけれど、そもそも入り方すらわからない。選挙の期間になると政治家の名前を連呼する車が走り回るけれど、その政治家が普段どこにいて何をしてるのかはさっぱりわからない。子どもが小学校にあがると、当たり前のようにPTAの役がまわってくるけれど、そもそもPTAって何なのかよくわからない。
わからない。わからない。わからない。
本当にまちは不思議なことだらけだ。
私には子どもが3人いて、普段は自営の仕事をしながら子育てをしている。子育てをしていると、まちという存在は何かと身近になる機会が多くあり、こういったまちの不思議に出会う機会も自然と多くなる。
この〝不思議〟の後ろにあるものは一体何なんだろうか。
何がどうやって決まって、どうやって作られて、どんな仕組みで回っているのだろうか。
この見えないブラックボックスの中がどうなっているのか、覗き込んで確認してみたいと思った。まちの不思議の後ろにある仕組みを知っていくのは、なんだかとてもおもしろそうだし、知ることで、うまく活用することができるのかもしれない。
今回、そんなまちの不思議を探求する私の日々の記録を、連載という形で紹介させてもらうことになった。
学校で習った「社会」の中ではわからなかった「まちの仕組み」を、日々いろんな実践をしながら、体当りしながら、紐解いて活かしていこうとする市民としての記録を、楽しんでもらえたら幸いである。
パブコメというまちの仕組み
私が、こういったまちの仕組みの存在に気が付いた1つのきっかけは、市が行った教育ビジョン策定の過程だった。
数年前、特別支援学級に通う次男が、クラスの環境が大きく変化した事に戸惑い、突然学校に行けなくなった。学校や教育委員会とも相談していたが、特別支援をすでに受けている次男がこれ以上の支援を公的に受けることは難しく、現状の制度としてできることは何もないというのが結論でもあり、その事に絶望しかけていた。
そんな時に、その制度そのものである市の教育ビジョンが新しく策定されることとなり、パブコメが行われることを知った。
我が家が抱える問題でもあり、大きな社会問題にもなっている不登校について、支援制度を充実させてほしい。その思いでパブコメを書き、その結果として私が出した意見が一部反映され、学校復帰だけではない不登校支援のあり方も検討されていくことになった。
絶望が希望に変わった瞬間だった。
パブコメにはそういった力があり、市民の声を届けて反映するというまちの仕組みであるということを知った出来事だった。
PTAというまちの仕組み
一方で、パブコメは出来上がった計画へのコメントでしかない。もっと前の、つくる段階から関わることはできないのかと、一緒に考えてた友人がふと声を漏らした。
調べてみると、教育ビジョン検討委員会のメンバーに保護者枠はなかったが、市のPTA連合会(P連)にヒアリングを行っていた事がわかった。
市としては、P連の会長・副会長へのヒアリングが「保護者の声を聞く」という事であり、そういった代表性こそが市側から見たPTAの役割でもあり、PTAがまちの仕組みの中で担っている機能であることを知った。
そういう事だったのか!
私の中でPTAの見え方が大きく変わった瞬間だった。
ただ、多くの保護者にとってのPTAとは、「何かしら役をやらないといけないもの」であり、その会長や委員長というものはロシアンルーレットのように貧乏くじを引いた誰かがやるものである。ましてや、P連なんて謎の中の謎。不思議の国の魔境の森の奥のような存在である。
そのP連が、学校に居場所がなく、学ぶ機会を失い、どうしていいのかわからないといった、小さな小さな子どもたちの声を集めて届けて、市の制度に反映させていくといったことが期待されている存在だという事は、ほとんど誰も知らないのである。
おそらく昔は、こういった機能がPTAの中で成り立っていたのだろう。そのための組織も回っていた。
しかし時代も変わり、働く保護者も増え、価値観も多様化していく中、今までの組織のあり方では、まちの仕組みとしてのPTAの機能を果たすことはできなくなっている。それが実情だ。
それもあって、私は今、P連の改革に熱心に取り組んでいる。
もし、そこが整っていれば、時代の変化に合わせながら、しっかりと機能を果たすことができていれば、この教育ビジョンは〝私たち〟の意見がもっともっと反映されたものになっていたのかもしれない。
それは、なんてワクワクする事なんだろう。
まちの不思議を紐解くのはおもしろい
やはり、まちの不思議を紐解いて、仕組みをちゃんと知って活用していくことは、とてもおもしろい事で、ワクワクすることである。
PTAやパブコメに限らず、こういった紐解かれていないまちの不思議は、まだまだたくさんある。
公民館ってなんでもっと有効活用されないんだろう?学校はなんでもっと地域に開かれないんだろう?行政職員と市民がもっと協働することはできないんだろうか?
これからの連載の中で、こういったまちの不思議を探求しながら、その先に広がるワクワクを感じて日々試行錯誤をしていく様子を、共有していけたらいいなと思っている。
そして、一緒に探求していく仲間を増やしていけたら、それはとても嬉しいことである。
どうぞ皆さま、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
▼ 雑誌『社会教育』
![掲載誌](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82962343/picture_pc_a8de7fee1fb286dda27def8f652e51ba.png?width=800)
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