すべての人が平等に豊かに持っているもの
私のインスタの絵に「いいね!」を下さった方の中に、万年筆でとても可愛らしい動物のイラストを描く方がいる。
一目でファンになってしまってフォローしている。
昨日のイラスト。
ネズミが雀の群れに混じって横笛を吹いている。
この人には世界がこんなに平和に優しく見えるのだ。
私にとって世界は生きるか死ぬかの殺伐としたものだった。
私と彼の違いは何なのだろうと探ってみた。
私は足りないものを得ようとして、ああしようこうしようと算段していた。
いつも心のなかは不足するものを数えていて、安らぐことは無かった。
不足を数えるのだから、体はいつも強ばり血液は淀み体温も落ちていく。
不足から生まれるものは人に安らぎを与えない。
彼が私に教えてくれたのはそういうことだった。
目が覚めてそれに気付いて、これは最後のチャンスかもしれないと思った。
私が健やかな体で生きるための。
私は不足を数えるのをやめてみた。
体を流れる血液の音に耳を澄ませた。
心臓の鼓動を追いかけてみた。
緊張がほどけて体は少し柔らかさを取り戻した。
それから私が持っている完全なものはなんだろうと探してみた。
それは不安を感じる心だけだった。
人も物もいつか私のもとを離れていくけれど、心だけは離れずに無限に大きくなっていく。
私にも持てる物はあったのだ。
そしてまた少し体は柔らかさを取り戻した。
ああ、あの人はこんな気持ちで世界を眺めているのかな
そんな風に思った。
生まれ変わりの朝。
すべての人に平等にやってくる朝のなかに、
この安らぎがありますように。
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