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自閉症の長男、中学校に行くの話➃

入学式の翌朝、学校に行きたくないとぐずる息子。仕方なく、学校に電話をして、ありのままを伝える。
電話口に出てくれた先生は、よくあることだという感じで心地良く応対してくれた。

数十分後に担任の先生から電話がきて、
「どうですか?雄大君、少しでも来れるといいんですけど。でも、無理はしないように。」
と言ってもらった。

初日から休んでしまうのは、この子の為にも良くない気がした。
「少しだけでも行ってみようよ。まずは、中学校がどんな所か知らないと。
誰かと喋らなきゃいけないとか友達にならなきゃいけないとか考えなくていいから。」
と同じ様な内容の言葉をかけ続ける。

小学校と違って、制服に着替えないといけないことがネックになる。

やっと、制服に着替え終わり、車に乗る。
学校までは、車で15分。
学校に着くと、1年生が集合写真を撮る為に外に集まっていた。
それを見て、行く気が失せる息子。
「少し車でドライブして。」
言う通りに数十分、車で周る。
もう、11時を過ぎている。
早く学校にと、私だけが焦っている。

11時22分、再び学校に戻る。カメラマンが後片付けをしているのを見て、安心して学校に入る。

着いてきてというので、息子と一緒に教室まで行く。
担任の先生は不在だったが、代わりの先生に
「今日は、12時30分に帰ると言ってるんですけど。」
と伝える。
「じゃあ、1時間後ですね。わかりました。」
と返事をもらい、息子をおいて車へ戻る。

たった1時間だけれど、初日に学校に来れただけで良しとしよう!

そう自分に言い聞かせた。

こういう時に仕事をしていないことは、自由に動けるのでプラスになる。
もちろん、家計に余裕があるわけではない。3人の子供を育てる為には働かなくてはいけない。

それでも、今は子供をサポートするのがいちばんだ。

買い物で1時間の時間を潰した後に学校へと向かう。
担任の先生と一緒に出てきた息子の顔は、安堵感に満ちていた。
「明日と明後日の予定を一緒に立てたので、見てください。
学力テストが入っているので、それは出てほしいなと思って、計画しました。
まあ、無理しないように少しずつで。」
そう、先生に言われて学校を出た。

帰宅後に計画表を見ると、明日は午後1時20分に登校し、4時に帰る予定になっていた。

「学校に行かない。」と言われるよりは、短時間でも学校に行って、中学校がどんな所か、担任の先生がどういう人なのかを知ってくれることが大事だと思った。
勉強は、後でなんとかなるというのが私の考えだ。

翌日、午前中を得意な折り紙や大好きな鳥の図鑑などを見て過ごし、昼ご飯を食べ、学校へ向かう。

昨日の朝の暗い顔とは違い、どこか明るい顔をしている。
1日中、学校にいるという当たり前のことがこの子には苦痛なのだ。

無理をしてもしょうがない。
段階を踏んでいくことがこの子には必要なのだ。
苦しくならないようにちょっとずつでいい。

親は焦ってしまうけど、焦らないように、出来たことを褒めるように心掛けている。

約2時間30分の滞在で中学校2日目を乗り切った。
明日は、朝から11時40分までの滞在だ。
1日1日を大切に過ごしていこう。


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