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【エッセイ】ボーン

急に胸が苦しくなって息ができなくなる。

病的なものではなくて、いわゆる「ノスタルジック的で自己陶酔的な胸がギュッとなる何か」であるので、ほっといてもらえばそのうちケロッとするのだが。

だが、そんな思いを、3年も、続けている。



新しい生活スタイルになって1年が過ぎようとしていた。
ちゃんとご飯も食べれているし、仕事もできているし、生活になんら問題はない。
このまま今の恋人とも結婚すると思っている。
そう友達にも言っている。

「めっちゃ順調じゃん!」

でも、ずっと心には魚の小骨みたいに刺さっている「何か」がある。
このままにしておけないもの。
でもどうやって取ったらいいか分からないもの。
その小骨のことを思うと、今の恋人に対して、とても申し訳なくなる。
あの頃に戻れたらと何百回思ったか分からない。やり直せたら。
ちゃんと謝れたら。
あの時。
ちゃんと。

「でも過去は戻ってこないよ?」

うん。
私もそれを知っている。
あの頃の私は異常で、何度も何度も泣かせて、謝らせて、ごめん、ありがとう、ごめんなさい、を繰り返して、終には何も言えなかった。
そうやって後悔するばかり。

「会って謝ればいいじゃん。」

いや、きっと会わないし、会えない。
こうやって書き綴ってもきっと彼らは見ないだろうし、見て欲しいとも思わない。
これは懺悔に近しいもの。
こんなものを伝えたところで彼らは困惑するだろうし。

「じゃあ忘れたら?」


忘れられたらこんな話は書いていない。


「忘れる努力をしてないんだよ。」


うるさいな。


「君はまだあの頃に未練があるんだよ。」


だから知ってるよ。


「今を楽しめばいいよ。」

「今あるものに目を移せばいつか忘れるよ。」

「今の恋人に失礼じゃない?」

「今更どうにもならないよ。」

「今が一番だいじなんだよ。」



うるさいうるさいうるさい。


ずっと、ずっと、ずっと、忘れられないから困ってるんだよ。頭を振って忘れられるのならずっと振ってやるし、別のことを考えたってそれは魚の小骨で、ずっといるんだ。

私の小骨は、いつ取れるんだろう。



急に胸が苦しくなって息ができなくなる。

急に胸が苦しくなって息ができなくなる。病的なものではなくて、いわゆる「ノスタルジック的で自己陶酔的な胸がギュッとなる何か」であるので、ほっといてもらえばそのうちケロッとするのだが。

だが、そんな思いを、3年も、続けている。

その度に私は書いてきた。

書いて、自分と対話をした。

久しぶりにnoteを見て、私は懐かしくなった。

書いた分だけ気持ちが楽なる感覚。

久しぶりだ。

また書こうと思う。

この季節がやってきた。



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