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やっと不妊治療に終止符を打ちました。

最後の受精卵を染色体の検査に出してから3週間後、検査結果を聞きに病院へ行きました。

長く不妊治療をやっていると、診察室に入った瞬間、先生の雰囲気で良い話か悪い話かわかるようになります。

瞬間的に、ダメだったな、と悟りました。

先生から差し出された検査結果の紙にはいくつかの染色体異常がみられる線の乱れが一目で確認できました。

「2つとも、染色体異常があって、移植できる卵ではありませんでした。
・・・どうしますか?」

「・・・もう、これで不妊治療はやめます。これまで、ありがとうございました。」


これで、長い長い6年にも渡る私の不妊治療は終わった。
あまりにも、終わるときはあっという間でした。
あれほど、なかなか止められなかった不妊治療なのに、やめる!と言ってしまえば、いつでもすぐに終わらせることができるのです。

帰り道、運転しながら涙が出るかと思ったけれど、出なかった。
家に帰っても、出なかった。
一人で夜、風呂に入っていても、出なかった。

そうか。私はここまでたくさんの涙を流して、涙が枯れるまで頑張ったんだな、と思いました。


人生って、大概のことは努力すれば何とかなると思って生きてきました。たくさんの夢も叶えて、やりたいことの多くは実現してきました。でも、これだけは、どれだけ頑張ってもダメでした。やりたい仕事も旅行も人付き合いも、いろんなことを犠牲にして、自由に使えるお金はほとんど治療に使いました。たくさん、たくさん、痛くて、辛くて、しんどい時間を過ごしました。周りの友人たちが、当たり前にできていることが、なぜできないのか?私たち夫婦は親になる資格がないのか?と、散々苦しみました。

ここまで、誰にも文句を言われる筋合いはないくらい、私はやりきった!と大きな声で言えます。

養子についても考えてみました。
自分たちに似てないな、と感じた時に、それを受け入れる苦しみはないだろうか?生みの親ではないと将来子どもに告げるときはどうだろうか?心から我が子と思って愛せるだろうか?我が子でも、この子さえいなければ、という思いを抱えて苦しんでいる母親は世の中にたくさんいる。一秒たりとも、養子をもらわなければ良かったと後悔することはないだろうか?

世の中には、育てられない事情のある親の元に生まれてくる温かい家庭を必要としている子どもがいることはわかっています。

正直、甥っ子が相手でも、自分の時間も労力も愛情も注ぐのは大変でした。それだけの覚悟を養子を迎えるにあたって持つことはできない。我が子として全力で愛して、一点の後悔もなく、その子の人生に責任を持って育てていく!と言えるだけの自信はありません。そこまで人間ができていないのかもしれませんね。

日本の将来はこれからどうなっていくのか?今を生きる大人の私たちでさえ不安でいっぱいです。未来を担う子どもたちに負債を負わせるわけにはいきません。少子化対策に貢献したくてもできなかった私たちは、これからどう生きていくのか、子供たちの未来や日本の将来を考えずにはいられません。

将来2人に1人が税金で老人を支える計算と言われていますが、しっかり働いて、しっかり経済を回して、自分たちの力(お金)で死ぬまで生きていけるくらい資産形成だってしたいと思う。ふるさと納税は、子育て支援や子どもの事業に使ってほしいと思って、寄付しています。選挙に行くのは当たり前だし、子供たちの将来を考えた政治をしてほしいと思う。

子どもがいないなら、いないで、社会に貢献できることは、きっとたくさんあるはず。あとは、自分たちの人生を思いっきり楽しんで生きていきたいと思うのです。

夫婦それぞれの趣味の時間も大切にしたいし、海外旅行にだって行きたい。大人だけが楽しめる優雅なレストランで食事だってしたい。「あの人は子供を産んでないからね~」ってひがみの陰口叩かれるくらい、スタイルだってキープして、綺麗でいたい。

結婚がすべてではないし、子どもを持ち育てることがすべてではない。当たり前という枠に捕らわれることなく、みんなが優しく、自分らしく生きていける社会であるといいと心から思います。

長く辛い不妊治療をして学んだことはたくさんありますが、マイノリティと呼ばれる人たちの気持ちがよくわかるようになったことは大きいです。この経験を糧にして生きていきたいし、これから子どもを望むすべての人に良い結果が訪れることを願ってやみません。そして将来、子供をもちたいと考えている若者には、少しでも早く子作りをして欲しいし、出産後も仕事復帰や社会復帰がしやすい世の中になってほしい。これはきっと当事者たちが声をあげていかないと変化はないはずですから。

私の不妊治療日記はここまで。長い間、お付き合いいただきありがとうございました。不妊治療を頑張っている夫婦に、たくさんのエールを送ります。


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