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【読書感想文】パラレルワールド・ラブストーリー/東野圭吾

[ネタバレを含みます]

この作品が1995年に書かれた作品だと言うことに驚いた。2023年の今読んでも違和感はまったくない。そして、東野圭吾さんだけにまさに理系小説だった。

2つの時間軸が交互に語られていく。片方は社会人2年目で企業内研究機関にいる自分、そしてもう片方は社会人3年目で会社で働く自分。ヒロインが親友の彼女か、自分の彼女か、その点が決定的に矛盾していた。

真相は、親友が彼女を諦めるために自分の研究成果を使って故意に昏睡状態になり、そのことで自責の念にかられた主人公がヒロインに記憶改変を提案されて実行に至った、ということだった。

最後に明かされたひとつの救いは、主人公が学生時代に並走する電車で見つめあっていた女性は確かにヒロインだったということだ。これは主人公の記憶が改変された結果ではなく、現実の出来事だった。すなわち、主人公とヒロインは確かに両思いだった。

しかし、主人公とヒロインは悲しみや苦痛から逃げるために記憶改変を選んだ。そんなふたりは自らのことを弱い人間だと言った。


◆読了日

2023年4月11日

◆読んだキッカケ

ネットのおすすめ記事を見て。

◆あらすじ

親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。「本当の過去」を取り戻すため、「記憶」と「真実」のはざまを辿る敦賀崇史。錯綜する世界の向こうに潜む闇、一つの疑問が、さらなる謎を生む。精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!?傑作長編ミステリー。

◆覚えておきたい内容

自分なんてないのよ。あるのは、自分がいたという記憶だけ。みんなそれに縛られてる。あたしも、あなたも。

◆おすすめポイント

2つの時間軸が交互に語られていき、主人公とともに徐々に真相へとたどり着く。記憶とは何か。恋愛と友情のどちらを取るべきか。ジレンマともどかしさを抱える主人公に感情移入しつつ、真実を探る過程が面白かった。

◆おすすめ度

4/5


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