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そんなこと

「そんなことも出来ないのか?!」

「そんなこと」の指す意味は様々で、誰でも知っていて当然の事象ならまだ大目に見られるとして、広く深い見聞や極めて専門的な知識を要する事を「そんなこと」と言い放ってしまうのは些か横暴であると思う。

特に指導する立場にある人間や社会的序列の上層に位置する人間が自分を誇示するためにこれを行うのは傲慢であるとしか言えない。

恥ずかしながら自分もかつてはこの言葉を同じような心境で連発していたこともある。今になって振り返ると、きっと好奇心に溢れた子供が覚えたばかりの知識や技術を先生や親や友達に得意げに披露するのと何ら変わりがない事をしていたんだろうなと思う。

遅まきながらこの歳になって「凄い事を知ってるから凄い」のではなく「誰でも知っているような事(あるいは知っていると勘違いしている事)を更に噛み砕いて平易な解釈で伝える」方が良いなぁと思うに至った。

その中で「空や海が青く感じない人もいるかもしれない」とか「ドリアンを臭いと感じない人がいるかもしれない」などと可能性の裾野をとめどなく広げていったら慢心する余裕などこれっぽっちも無くなるのではないだろうか。

世の中に「そんなことも知らないのか?!」と軽蔑されるべきことなど一つもない。「そんなこと」って大抵意外と大変なことなのである。

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