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共感覚

「共感覚」という能力を持っている人にこれまで2人ほど遭遇している。

「共感覚」とは例えば新聞を読んでいると黒い活字に色が付いて見える、という現象。そのほかには音楽を聞いたときに色彩が思い浮かんだり、辛いものを食べるときにトゲトゲの物を掴んでいるように感じたりする症状のある人も存在するらしい。

音楽を聴いていて昔見た景色などが脳裏をよぎることはあるが、それはただの連想であり共感覚とは呼べないので残念ながら僕はそんな能力とは無縁である。新聞や本や譜面を見ていて紙面が色とりどりだったらどんなに楽しいだろうと思うが、それはそれで大変そうだなぁとも思う。

書いていて思い出したが、そう言えば僕の場合は音と匂いがリンクしている経験を過去に何度かしている。特定の音を聴いている時に焦げ臭かったり甘い匂いがしたりして、匂いの元を探し回るが何も原因となるものが無くてあぁ気のせいかと諦めてまた音に集中する。これまでは別に気にも止めていなかったがどうやらうっすらと持っているようだ。

また、特定の周波数の音が感情を揺さぶる、というのもある。救急車のサイレンの音を聴いて遠吠えをする犬のように。これもただの条件反射なので共感覚とは呼べないが、これはこれで何だか楽しくてイイ。

それにしても音の聴こえ方がそんな有様だし、そこに振付を載せてしまう訳だから大抵の人は煙に巻かれたように感じるらしい。しかし、僕は僕で異なる感覚の持ち主が独特の音の取り方をしているのを観て強烈な嫉妬を感じることがよくある。どうやったってあんな音の取り方、動きの載せ方は出来ないのだ。嫉妬は感じるが気持ちが寄り添えない歯痒さを感じさせてくれることは本当に有難い。

だって全て共感出来てしまったらこの世は恐ろしくつまらないものになってしまうから。

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