僕等は“歴史”、“過去”から学べているだろうか?

学校の先生に“歴史”を勉強する理由を聞いたら、先生は何と答えるだろうか?
答え方に多少の違いはあれど、大半の先生の答えは「“歴史”を学ぶというより、”歴史”から学ぶことが目的なんだよ」だろうと僕は思う。

かつてNHKでは『その時歴史が動いた』という番組が放送されていた。
今『その時歴史が動いた』を放送するとしたら、大河ドラマで『鎌倉殿の13人』が放送されていることを踏まえて源平合戦や承久の乱を特集するかもしれない。

先週放送された第4話では源頼朝(『鎌倉殿の13人』で頼朝を演じるのは大泉洋さん)の挙兵が描かれており、挙兵のタイミングが話し合われる描写があった。
歴史では旧暦の8月17日(新暦では9月8日)に頼朝は山木兼隆(木原勝利さん)を襲撃し、山木を討ち取ることに成功した。
だが、頼朝はその直後に大庭景親(國村隼さん)に敗れてしまう。この戦いは石橋山の戦いと呼ばれる。
絶体絶命の大ピンチとなった頼朝だったが、当時大庭軍にいた梶原景時(中村獅童さんが演じるそう)によって命を救われ、再起を図ることができたのだった。

もし頼朝が挙兵のタイミングをミスっていたら?
……大庭景親に敗れる以前に山木兼隆を討ち取ることすら出来なかったかも知れない。
従って物事を為すためにはタイミングが大事だということが分かるだろう。

もし梶原景時が頼朝を助けるという選択をしなかったら?
……頼朝はその時点で捕えられ、源平合戦はそこで終わっていたかも知れない。
景時が頼朝を助けた理由は恐らく「この人は実力があり、且つ信頼出来る」、「この人なら人の上に立つことが出来る」、「自分はこの人に仕えたい」といった所だろうから、人から信頼を得ることは大事だということが分かるのではないだろうか?

そもそも頼朝は父の義朝が平清盛(松平健さん)に敗れた平治の乱の後に一度平氏に捕えたがその際に清盛の育ての母である池禅尼の懇願によって命を救われているわけだし、源平合戦はまさに『その時歴史が動いた』といえる場面の連続だったと言えるだろう。
だから『その時歴史が動いた』際に動かなかったらどうなっていたか、どういった経緯があって動いたかということを学んで現代に生かしてこそ、“歴史”を勉強する意味はあると僕は思う。

ちなみに『鎌倉殿の13人』では源平合戦を源氏方についた北条氏(主に小栗旬さんが演じる義時)の視点で描いてあるようだから、平氏の視点での源平合戦を見たい方には現在フジテレビで放送されているアニメの『平家物語』がお勧めだ。

ところでここで限りなく今に近い“歴史”を挙げてみよう。
“歴史”というと、教科書に載るような出来事だったり物事が形作られてきた経緯なんかを思い出す人もいるかも知れないから、“過去”と言った方が分かりやすいだろうか?

僕等はそこから学ぶことが出来ているだろうか?

1月27日に放送された『奇跡体験!アンビリバボー』で特集されていたこの事故から僕等は学べているだろうか?

誰か1人の証言を鵜呑みにしてろくに調べもせずに誰かを悪者にしてはならないということはお分かり頂けるだろう。

平成31年4月19日に発生した東池袋自動車暴走死傷事故ではネット上で加害者への誹謗中傷が相次いだ。
そして裁判で加害者に下されたのは禁錮7年の求刑に対して禁錮5年の実刑判決だった。すなわち誹謗中傷が社会的制裁と見なされて加害者は減刑されるという被害者遺族の意向に沿わない形になってしまったのだ。
この一件から僕等は学べているだろうか?

以前の記事でも書いたが、“加害者に仕立て上げられたのではなく実際に加害者だった人”に対する攻撃もまたエセ正義であり、被害者の気持ちを踏みにじることになってしまう危険性も孕んでいるということはお分かり頂けるだろう。

また、かつてのスマイリーキクチさん中傷事件から僕等は学べているだろうか?

何かを発信する時、何かを起こす時は“表現の自由”があるがそこには責任が伴わなくてはならない。無法地帯を作ってはならないということを……お分かり頂けるだろうと思う僕は甘いのだろうか?

今年の1月27日未明に沖縄県沖縄市宮里の路上でバイクを運転していた男子高校生と暴走行為警戒中だった巡査の男性警察官が接触した一件で、男子高校生が右眼球を負傷したことや「警察官に警棒で殴られた」という高校生の証言があったことから沖縄署を襲撃した連中がいた。
……かと思えばSNS上では男子高校生やその関係者に対する誹謗中傷を繰り返す連中が出る始末だった。
この一件に関する記事の中にはコメント欄が閉じられているものもあった。
あまりにも誹謗中傷が酷すぎて度を超していると判断されたらしい。

以前の記事で書いたような誹謗中傷デマヘイト罵詈雑言等は未だにSNS上に根強く残ってしまっているようだ。

一体いつになったらSNS上の誹謗中傷がなくなるんだろうか?
僕等は本当に“過去”から学ぶことが出来ているんだろうか?
残念ながら今の状態では、「学べていない」、「学習力が身についていない」と言われて然りだ。

この状態を改善するにはどうしたらいいだろうか?

まずは自分がSNSの環境の改善のために出来ることをやっていこうという姿勢を崩さないようにしなければならないということはお分かり頂けるだろうか?……否、他人様に「お分かり頂けるだろうか?」と言う前にまず僕自身が分かっておかないといけないんだよね(汗)

追記

『鎌倉殿の13人』では梶原景時が頼朝を助けた理由は自分以外の大庭軍の兵が目と鼻の先にいた頼朝に気付かずに引き返していた様子を見て「頼朝は神仏に守られている。殺せば神罰が下る」と思ったからだという風に描かれていましたね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?