オープンイノベーションで成功事例を作るためには

こんにちは、Acompanyの佐藤礼司です。
日頃から、「プライバシーテックの社会実装」に向けて頑張っています。

この記事は,Acompany Advent Calendar 2022 の14日目の記事です。

本日、ctc(中部テレコミュニケーション)様と戦略的業務提携の発表をさせていただきました。

この提携内容やその意義については、以前書いたこちらの記事を参考にしていただけると、より理解いただけるかなと思います。

今回は、ctc様とのここまでの取り組みを通じて、「オープンイノベーションはどうやったら成功できるのか」をスタートアップの視点から書いてみたいと思います。

オープンイノベーションの課題

オープンイノベーションとは、企業がイノベーションを創発するために、積極的に外部の技術やアイデアを取り入れるものです。

「市場の変化への対応や、イノベーションの不確実性に適応するため、自社に不足する資源を外部と組み合わせることで、イノベーションを促進するもの」と理解しています。

これは大手企業、スタートアップという立場に限らず、必要性や有用性は多くの方が感じるのではないかと思います。

一方で、これをちゃんと有意義な取り組みに変えるのは簡単ではありません。

今回のctc様との取り組みでも、やはり最初からスムーズに進められていたわけではなく、両者で一歩ずつ障壁を取り除いていくことができて、今回の業務提携に至ることができました。

※以下の点は、あくまでAcompanyの目線としてどのように捉えていたのかを感じていただければと思います。また、以下はctc様との具体的な話だけというわけではなく、僕からの目線で考えた一般論として読んでください。

最初から本気のコミュニケーションを

オープンイノベーションでは、何らかの形で企業同士が出会うところから始まります。ここから、どういう形で進めるのが良いでしょうか。

ここで待っている最初の壁は「何となくシナジーある気がするけれど、具体的にどういう形が現実的に筋が良いのか、両者で描くことができない」というものです。

数回協議を行なったり、アクセラレータプログラムで一緒に検討したり、など行うこともあると思うのですが、ここで具体性を描くことができないと、次に進めることができません。また、時間をかけすぎると「何も生まれないのに時間ばかり浪費している」という状態になり、疲労感が出てきてしまいます。

そのため、ある程度短期間で、議論を重ねて「具体的な取り組みができそうだ」というレベルまで形を作る必要があると思っています。


ctc様との出会いは、ちょうど「next ctc!!」というオープンイノベーションプログラムを始められたところでした。当時のAcompanyは秘密計算のソフトウェアを開発したところで、それに関心を持っていただき、コミュニケーションがスタートしました。

お互いに協業の可能性はあると感じつつも、なかなか「具体的にこんな感じで一緒にやっていく」というイメージまでは作りきれずにいました。

これを突破できたのは、ひとつのアイデアが出て来たからではあるのですが、それは結果論であり、そこに至るまでの両者の粘り強い議論や、今回の場合はctc様が秘密計算などのプライバシーテックに大きな可能性と関心を持っていただき、積極的かつ本気の議論ができていたからだと思っています。


お互いに「初めまして」から、いきなり協業が進むことは難しいでしょう。最初の出会いから、相互理解をどう作っていくかは、オープンイノベーションを進める中でとても重要なプロセスです。

そのため、最初のフェーズでは、ロジックだけではない信頼関係の構築など、様々なコミュニケーションや本気の議論を通じて、お互いの理解を高める工夫が必要だと思っています。

共同の取り組みでは、お互いの専門性を出し切る

最初のフェーズで、「この形で一緒にやってみよう」となれば、ようやく次の段階に進むことができます。

その共同の取り組みでは、お互いの専門性を出し切ることが重要なのではないか、と思っています。なぜなら、一緒に取り組むということは、自社にはないことを相手に提供し、その逆もあるからこそ、有意義になるからだと思うからです。

「そんなの当たり前では?」と思うかもしれませんが、お互い専門性と強みが、共同の取り組みにどう貢献しているのか、をちゃんと言語化し、双方で共有できるレベルになっておく必要があります。これは、この後書いている、「事業戦略の相互理解」につながるからです。


今回の業務提携に至る前に、ctc様と共同研究を実施したのですが、その過程でAcompanyとして、とても大きな成果がありました。

具体的な記載は控えますが、ctc様のインフラ構築・運用のノウハウを惜しげもなく出していただき、Acompanyだけでは到底辿り着けない成果をこの共同研究で出すことができました。

一方で、それに応える形でAcompanyも秘密計算の特性や課題をご説明し、ctc様からもたくさん質問をいただきました。この過程があったからこそ、お互いの専門性を机上ではなく実際に確認することができたと思っています。


このように、初期の取り組み段階からお互いの専門性を出し合い、その組み合わせや相乗効果を確認できてこそ、オープンイノベーションは進むのではないかと思います。

事業戦略の相互理解

元々、お互いにそれぞれ課題や方針があり、オープンイノベーションを行っていたはずです。そして、最初の取り組みが具体化してくると、改めて「この協業の取り組みを、お互いが自社の戦略にどう位置付けるのか」を確認するタイミングがきます。

この時、お互いの期待が明確にされると共に、そのギャップが出て来ることもあると思います。事業体が異なる以上、両者で完全に思惑が一致することは難しい面もあるでしょう。

一方で、共同で取り組みを行ってきたわけですから、戦略上合致する点は必ずあります。この時、先ほど述べたように「お互いが組む意義」をどれぐらい相互が理解し、言語化できているのかが問われると思っています。


共同研究が終わりに近づいたとき、今後の取り組みに関して、様々な議論をctc様とさせていただきました。

ここでの議論が、改めて双方の理解を深め、そしてその結果として業務提携に至ったことを、本当にとても嬉しく思っています。

そして、これからが本当のスタートだとも思っているので、気を引き締めて、プライバシーテックが実用で使える世界を作っていきます。


以上、いろいろ書いてみて、オープンイノベーションが成功するためには「相互理解」に尽きるな、と思いました。オープンイノベーションに取り組む企業はどんどん増えていますが、少しでも参考になれば幸いです。

Acompanyとしても、まだまだ実現したいことがあり、もちろん一社だけでは難しいことが多いです。

ご縁があれば、今回のようにオープンイノベーションも取り入れながら、「
プライバシーテックの社会実装」を実現したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?