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資本主義と商品

どうも、reiichiです。

今回は、マルクス経済学を参考に

資本主義と商品について書きます。


よろしくお願いします。


商品と富

現代資本主義社会において

富は商品の集積によって現れる。

すなわち、

商品の流通が社会的な富を表す要因となっている。


もちろん、

資本主義以前の社会にも商品は存在した。

しかし、

そのほとんどは贅沢品であり、

それ以外のモノは

共同体という人格的な社会関係の中で

共有されていた。


つまり、

現代資本主義は商品によって

支配された社会であると

マルクスは分析した。


では、商品とはなにであろうか。

商品とは人間の何かしらの欲求を

満たすものである。


商品の特性

商品は2つの特性を持っている。

それが、

使用価値という特性と、

交換価値という特性である。


使用価値は商品の個人的、社会的な

有用性を表すもの。

例えば、

水は「喉が渇いた時にのむもの」としての

使用価値がある。


交換価値は

交換の際に商品が他の商品と

どれくらいの価値量で交換できるのかという

交換比率を表す。


例えばりんごがみかん5個と交換できるのであれば、

りんごはみかん5個分の交換価値があると言える。


現代資本主義社会では

商品の流通が富を表すので、

同等の価値量を持つ商品同士の交換可能性が重視される。


「価値」という統一された指標により

商品どうしが交換できるようになる。

では、その価値の正体は何であろうか。


商品の価値

商品の価値は

人間の労働によって規定される。

これは、

あらゆる商品は労働生産物であり、

人間の労働によって商品が生産されるからである。


この、

商品の価値を生み出す労働を

抽象的人間労働と呼び、

抽象的人間労働の量が商品の価値を規定する。


その「労働の量」を決める要因が

労働時間、厳密に言えば

社会全体の平均的に

商品を作るのにどれくらいの

労働時間を必要とするかによって規定される。

これを社会的必要労働時間と呼ぶ。


人間の労働が商品の価値を規定する。

それはつまり、

社会的な要因によって商品に価値が見出される。


しかし、

現代社会では

商品の社会的な要素は不可視化され、

社会的な要因によって商品の価値が規定されるのに、

商品の価値は何かしらの特殊な力により

自ら生み出されるという

錯覚を持つようになってしまう。


人間が作ったモノが「特殊な力を持つモノ」として見なされ、

それが人間社会を支配するようになる。


これは、

人間の内部にあるべきものが「観念」として外部化し、

それが人間を支配するようになるとした

疎外論と関係している。


そう品が「観念」となり、

人間社会を支配するようになる現象を

商品の物神性と呼ぶ。


商品の物神性

商品の物神性により、

人々はあらゆる社会関係を

商品を媒介して結ぼうとするようになる。


特に、

貨幣が商品となった社会では

お金さえ持っていれば

欲しいものはなんでも手に入れることができる、

逆にお金を持っていなければ

欲しいものでも手に入れるべきではないと

認識されるようになる。


商品と新自由主義

新自由主義が浸透した社会では

水や土地など「共有財」であったものが

民営化を通して商品となり、

お金が人間と人間どうしの関係だけでなく、

人間と自然どうしの関係まで

媒介するようになった。


そして、

自然はその有用性が軽視され、

お金との交換可能性が重視されるようになったことを示す。


共有財が

商品として扱われるようになれば、

商品となった共有財と交換ができる商品、

現代社会においてはお金を持っていなければ

利用できなくなる。


水道民営化がその例である。

水は本来全ての人間が

アクセスできるべきモノであるのに、

水道民営化は水をお金がないと利用できない商品へと変える。


それが、

社会における不平等を形成する要因となっている。

お金を持っている人だけが水を利用でき、

持っていない人は利用できないという社会は

明らかに不平等である。


さらに、

自然が商品として扱われるようになれば

自然を維持することよりも、

自然を利用してどれだけの利益を排出できるかが

重視されるようになる。


つまり、

利益さえ出るのであれば

どれだけ自然が破壊されようと

利益を得ている人々からすれば

無関係なものとなる。


共有財を商品として変え、

その維持よりも利益の排出が重視されることが

環境危機にもつながる。


まとめとこれから

ここまで

あらゆる生産物が商品となり、

その交換可能性が重視されることで

モノの有用性が軽視されることを述べた。


そして、

モノの有用性が軽視されることで

不平等や危機などが発生している。


これが、

商品が富を表すようになった現代資本主義社会にて

生じている問題である。


不平等を解消し、

資本主義社会が引き起こす危機を逃れるためには

「あらゆるモノが商品化され、

貨幣との交換可能性が追求される社会」とは別の、

「脱商品化が進み、モノの有用性が重視される社会」

を目指すべきである。



参考にしたもの

佐々木隆治(2018)『マルクス資本論 シリーズ世界の思想』角川選書

斎藤幸平(2020)『人新世の「資本論」』集英社新書

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