見出し画像

自己紹介

私は数理物理学の研究者です。物理学の理論や模型の中でとりわけ良い性質を持つものを深く研究することで、全く新しい数理構造を見つけたりすることが中心です。

自然界は広大であり、その内で人間が理解することのできる領域はごくわずかな部分だけです。例えば物理学の基礎方程式で厳密な解を求められることは稀であり、近似的な解を求めることすら困難な場合がほとんどです。そう考えると、研究においては自然現象のどの一断面を調べたいのかを予め決めなければなりません。私の場合は量子力学の基礎方程式であるシュレーディンガー方程式の厳密な解が求められるような例外的な状況を深く考察し、その代数的な構造を調べてきました。

そのような研究により、数学的にも新しい、興味深い結果を見つけることができます。論理的に研究を積み重ねるよりは、直感を大切にしたやり方の方が好みです。またコンピュータ科学の進歩にも大変助けられています。

研究内容

これまでの研究については、「ベーテ仮設の数理」(2021年、森北出版、Kirillov氏との共著)にまとめてあります。出版社様のサイトには補足情報も載っていますので、ご参照下さい。

01_ベーテ仮設の数理

研究のキーワードとしては、可積分系、無限次元代数、組み合わせ的表現論をあげておきます。より具体的には、艤装配位に関する基礎理論の構築、組み合わせR行列の導出、箱玉系の一般解の構成、ビラソロ代数の組み合わせ的表現論といった仕事をしてきました。論文は全てarXivに載せてあります。

経歴

2001年 東京大学理学部物理学科(学士)
2003年 東京大学理学部数学科(学士)
2008年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻(博士号、指導教官は和達三樹先生)

和達先生のお誘いで2009年から2014年まで東京理科大学理学部第二部物理学科で助教を務め、現在は同講師(非常勤)です。2013年には東京大学大学院数理科学研究科で非常勤講師を務め、大学院生向けの集中講義を担当しました。また2011年に京都大学数理解析研究所における研究会(こちら)の世話人を務めさせて頂きました。2022年度から東工大でも数学を教えることになりました。

他の情報

解説

「超離散ソリトン系と組み合わせ的表現論」(雑誌数理科学、2012年1月号

ベーテ仮説へのいざない」 
(第61回代数学シンポジウム議事録、日本数学会、2001年、 pp 43--118)
私の研究に関するかなり詳細なレビューです。これを見て森北出版様に声をかけて頂きました。

マセマティカのプログラム Wolfram Demonstrations Project

(1) Periodic Box-Ball Systems
(2) Double-Spring Pendulum
(3) Lorenz Equations: Sensitive Dependence on Initial Conditions

(2)は解析力学の講義で提出された伊藤知尋さんのレポート、(3)は物理数学演習Aの講義で提出された和田進之介さんのレポートに基づき、それぞれ若干手をいれたものです。いずれも学部のホームページで紹介して頂きました。熱心に取り組んでくださる聴講者がいるのはとてもうれしいことです。

このアカウントは、旧ホームページ(ここここここここここここここ)からの引っ越しを目的としています。従ってあまり頻繁には更新できませんが、よろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?