人手不足に悩む職場で、人に定着していただくには③
どうすればその職場で働き続けたいと思ってもらえるのか
前回は人が辞めたいと思ってしまう要因について書きましたので、今回はもう一つの「その職場で働き続けたいと思える要因」について考えてみたいと思います。
「働き続けたいと思える職場」というと、皆さんならどんな職場をイメージしますか?
一昔前なら丸の内あたりの豪華なオフィスビルに入居している職場が好まれたかもしれませんが、今のご時世なら完全テレワークでフレックスタイムの職場のほうが人気があるかもしれません。
他にも福利厚生が充実している職場や、待遇がよい職場などが挙げられるかと思います。
ただし、これらに共通していることは「お金がかかる」ということです。
実際に従業員満足度を向上させようとすると、それなりの投資も必要になります。
また、人によって求めるものも異なりますので、全員を満足させようとするとどんでもないお金がかかってしまう可能性があります。
そこで、もう一つの問いを投げかけてみたいと思います。
「あなたは宝くじに当たって一生遊んで暮らせるお金が手に入ったら今の職場を辞めますか?」
もし「辞める」というなら、おそらく今の職場にいる理由は「お金で買える」以上のものはないかもしれません。
例えば、今の会社にいる理由が「高い報酬」であれば、それ以上のお金が入れば会社にしがみつく理由はなくなります。
また、今の会社にいる理由は「会社での地位」だとしても、お金があればそれこそ自分で起業して社長になることも可能です。
一方で、もし「辞めない」というなら、今の職場には「お金では買えない大切な何か」があると言えます。
そこで、この「お金では買えない大切な何か」についていくつか挙げてみたいと思います。
その仕事そのものが好き
今はテレワークで出社することがほとんどありませんが、私が勤めている会社のビルの警備員さんの中に、いつもニコニコしていて楽しそうに働いている方がいらっしゃいました。
ご高齢の方だったので今はおそらく定年で退職されたと思いますが、それまでは毎朝素晴らしい笑顔で出勤してくる人に挨拶をされており、こちらまで明るい気分になりました。
直接お話ししたことはないので、本当のところはわかりませんが、少なくとも警備員の仕事を好きでやっているという印象は強く持ちました。
また、アメリカのある都市では60年以上もバスの清掃員を勤めて引退した人が地元の新聞に取り上げられたということがありました。本人はバスの清掃員を勤め続けたことを誇りに思っており、満足した表情で引退の日を迎えていました。
このことから、どんな仕事(給料の安い仕事であっても)でも本人が「この仕事を好きでやっている」のであれば、おそらく可能な限り勤め続けるのではないかと思います。
その職場に親友や尊敬できる人がいる
職場には様々な人間関係がありますが、「その職場に親友と呼べる人がいる」という人は、そうでない人よりも長く働き続ける可能性があります。
また、同僚の中に親友と呼べる人がいなくても、「上司が人として尊敬できる」という場合もその職場に留まり続けたい大きな理由になります。
もちろん親友や上司のほうが転職して居なくなってしまう可能性もありますが、少なくとも職場の中に自分と強いつながりがある人がいるうちは辞める可能性が低いと言えます。
その職場の理念に共感している
その職場の理念に心底共感しており、理念の実現を本気で成し遂げたいと思った場合もその職場に留まる強い動機になり得ます。
例えば「人を幸せにしたい」という人にとって、「〇〇を通じて人を幸せにする」ことをスローガンではなく本気で理念として掲げている会社は自分の天職になるでしょう。
このことから、人に「この職場で働き続けたい」と思っていただくには必ずしも大金をかける必要はなく、小さなことだけどお金では買えないその職場ならではの価値を伝えることでも充分に実現できると思います。
些細な事かもしれませんが、「人の役に立った」「感謝された」「楽しかった」など、本人が仕事の中で喜びを感じられるようにすることが案外重要かもしれません。
今回はここまでにして、次回は人に定着していただくうえで、現場の責任者はどんなことができるのか考えてみたいと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました。
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