ヨルシカの新作アルバムのタイトル「盗作」に驚いた

人気アーティスト「ヨルシカ」の新作アルバムのタイトルに驚きました。
タイトルは「盗作」。語感が強い!「音楽の盗作をする男」をコンセプトに、主人公の男の破壊衝動が表現されたアルバムになっているとのこと。

ヨルシカといえば、今年2月に「日本ゴールドディスク大賞」のベスト5ニューアーティストに選ばれるなど、今最も注目されているアーティストのひとつ。これまでにミニアルバム2枚、フルアルバム2枚をリリースしており、自作で5枚目のアルバムとなるようです。ボカロ発のアーティストとしては、ヨルシカは特に10代、20代から米津玄師に次ぐ大きな支持を受けていると言ってもよいと思います。最近では台湾でも人気が上昇しているようです。(自分調べ)

そのような脂の乗っている人気アーティストが「盗作」という名前のアルバムをリリースすることに対して、相当なインパクトが個人的にはあります。例えるならミスチルが「Atomic Heart」の後に「深海」を出したときのような(多分違う)。含まれる楽曲のタイトルも「音楽泥棒の自白」「爆弾魔」「思想犯」など、センセーショナルなタイトルの曲名が並んでいます。

ヨルシカは、これまでも直接的で突き刺すような表現をすることが多いアーティストでした。例えば、心が病み、生きる苦しみを語りかけるように表現した「ヒッチコック」や、「だから僕は音楽を辞めた」という楽曲。この2曲とも、直接的な表現がボーカルsuisさんの力強く、たまにかすれるような歌声とともに胸に突き刺さるような、エモい楽曲になっています。

調べてみてわかったのは、ヨルシカのアルバムはどれもコンセプトアルバムのような性格を持っているということでした。コンポーザーのn-buna(ナブナ)さんによって制作された物語が楽曲とリンクしているとのことです。

1stフルアルバムの「だから音楽を辞めた」は、音楽を辞めることになった青年“エイミー”がスウェーデンを旅しながら”エルマ”へ向けて作った、というストーリーにそった楽曲。

2ndフルアルバム「エルマ」は、旅をしていた前作の主人公、青年エイミーから送られてきた手紙に影響を受けた少女“エルマ”が曲を手掛け、エイミーと同じ道を辿るというストーリーとなっています。

そして、3rdアルバムの「盗作」。詳しくは下のサイトに飛べばわかりますが、ヨルシカの新コンセプトアルバムとはっきり書いてありますね。前2作品との繋がりはあるのでしょうか?

ヨルシカは有名曲の「ただ君に晴れ」やMVの印象から、一見すると爽やかな夏のアーティストのようなイメージがありましたが(自分だけ?)、実際にはそれだけではないということですね。にわかファンは振り落とされてしまいそうな振り幅の大きさを感じます。

本来、ヨルシカの世界観を深く味わうためには、小説を読むように音楽を聴くことが必須のようですね。実際に、今回のアルバムの初回限定盤には、約130ページにおよぶ小説「盗作」が同梱されるようです。このような強いコンセプト性を持ったアーティストの楽曲が、幅広く受け入れられているのは凄いことだと思います。

YouTubeやストリーミングで圧倒的な再生回数を叩き出しているヨルシカですが、曲単体でなんとなく聞いている人も多いと思いますし、近年急速に普及しているストリーミングの影響で、「アルバムをフルで通して聴く」という体験が少なくなってきている実感もあります。楽曲全体に含まれている深いメッセージ性にどれくらいの割合の人が目を向けているのか気になるところです。

自分も、元々歌詞よりも曲調、メロディ、コード進行などに注目して曲を聞いてしまう方なのですが(それでもヨルシカは訴えかけるような歌詞が多いので、歌詞が自然に頭に入ってきます)、今後、この物語にも注目して、いろんな曲を聞いてみようと思いました。

今回のアルバムタイトルを見ると自分は、Twitterなどで検索したらサジェストが「ヨルシカ 盗作」になって、ヨルシカが曲をパクったみたいに思われてしまうのでは!?といらない心配をしてしまうのですが、本人たちはそんな(低次元の)悩みはきっと持っていないことでしょう。というか、これを逆手に取ったPRをしているようですね。

ヨルシカに今後も注目していきたいと思います。以上!


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