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好きな料理を容易く“カレー”と答える相手には、少々注意が必要です。

“好きな料理何?”と相手に問うた時。
あまりにも容易く“カレー”と答える相手には少々注意が必要でございます。

何故か。カレーたるもの、あまりにも分類が多いからです。多いというか、多すぎます。

肉種別、野菜別。色別。
さらに、辛さ別に国別に水分量別。

ざっと思い返しただけでも
これだけ思い浮かびます。

肉種別では、ポークカレーにビーフカレー。
チキンカレーにマトンカレー。
野菜別も同じように、ほうれん草カレーなど。
“主たるカレーの食材”から分類されます。

この分類は問題ないでしょう。
ほうれん草のカレーを豚肉のカレーと誤って認識してしまう人はそうそういないはずです。

お次は色別。グリーンカレーにレッドチリカレーなどがありますね。言わずもがな色によって分類されております。こちらはちと厄介。

グリーンとブルーの中間だけど、どちらかといえばグリーンとか。レッド寄りのイエローとか。色というのは相対的な指標です。まさに『色々』とはこのこと。そのため人によって若干の認識の差が生まれてしまう可能性は否めません。

とはいえ、ここまではまあ。許容範囲です。
主たる食材も、色も。おおよそ、相手と齟齬なく同じカレーをイメージすることができます。

さて、問題はここからです。
ここからカレーの厄介魔界世界の始まりです。

まず、辛さ別。

甘口
中辛
辛口

人によって違いそうです。
あたくしのにいちゃんは、如何なるキムチを食べても『金平糖レベル』と、辛さを表現している時代がありました。ですが、残念ながら生まれてからこのかた、あたくしの脳内でキムチと金平糖が結びついたことはありません。

甘いと思っても相手にとっては辛い。
辛いと思っているものが相手にとっては物足りない。すれ違いを生みかねません。

続いて国別もかなり厄介です。
欧風カレーにタイカレー。
はいはい、あんな感じっしょ?
とすぐに想像できた方こそ危険です。

見えますか?欧“風”ですよ?
“風”ほど恐ろしい漢字はありません。
“っぽく”ってことですよ?

“橋本環奈ちゃんっぽくなりたい”

これは橋本環奈ちゃんになりたいわけではありません。橋本環奈ちゃんに寄せつつも、別なる“何か”を目指しています。

タイカレーも安易にグリーンカレーを思い浮かべたらノンノンです。タイカレーの中には、グリーンにレッドにイエローなど。カレー好きを公言する相手と一度タイ旅行に行って認識の差を擦り合わせる必要性が出てきました。

そして果てしなく厄介な水分量別。
スープカレーに、ドライカレー。

『1日に必要な水分量は?』

とりんごの木とたんぽぽそれぞれに聞いて
全く同じ量を答えるわけがありません。
生物にとって。人間にとって。『必要水分量』の
定義はまるで違うのです。

とろみがあってもスープと感じる人もいれば、カラッカラでないとドライに感じない人もいるでしょう。

分かりましたか?
“カレーが好き”

この一言の重みを。
この一言の厄介加減を。

その厄介さをフル無視して、目の前の相手が容易くカレー好きを公言した際。かなり注意が必要であることを。要注意人物認定必須です。

この重みを重々理解した上で私は
“キーマカレー(仮)”を作りました。

ターメリックライスなんか
作っちゃって⭐︎

キーマとは、ヒンドゥー語で「細かい」を表すそうです。ですが、具材の食べ応えが好きなあたくしはそこまでキーマ感を求めませんでした。ですが、キーマの対義語を知りません。

なのでここは一旦“キーマカレー(仮)”と名付け、
静かに退散しようと思います。

カレーという単語の重みについてドヤ顔で語り散らす失態によって、自分で自分の首を絞めてしまったあたくし。

今後の人生で容易くカレーという単語を発せなくなりそうです。

もはや容易くカレー好きを公言する相手を注意するどころか羨望の眼差しをもってリスペクトしてしまいそうです。

人生とは辛え(カレー)ものですな。

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