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あぁ私はおにぎりじゃなくて、おむすびを作っているんだ、と。

〇私が『おにぎり』じゃなくて『おむすび』に拘る理由

初めて母校でおむすびの出店を行ってから早10ヵ月。

細々とでも活動を続けたいと思い、その後はマルシェなどに出店するようになったれいちゃん。初めはちいさな空きスペースでの出店に始まり、歌舞伎座朝市での出店では、れいちゃんのおむすびが海外の方の胃袋のお供になったり。今月頭には、夏休みのワークショップを開催し、40人の子供達と一緒に皆でおむすびを握りました。

販売する場所や、規模感、販売のみなのか、みんなで作るのか。毎回異なる環境に、新たな発見と新たなご縁を頂けて凄く新鮮な経験をしています。

しかし、環境が変われど私が決して変えないこと。
それは、『おむすび』という呼称です。

『おにぎり』ではなく、『おむすび』

それは私が人生1番大事にしている“人とのご縁を『結ぶ』”という言葉。
いつもお米の品種について、ブレンドの割合について教えてくれる精米店の大将。どこよりも美味しい鮭が購入できる佃煮屋のおばちゃんとお姉さんとのご縁。大葉味噌のレシピを教えてくださった、福島で味噌工房を営まれている純子さんとのご縁。

沢山のご縁が“結”ばれて私のおむすびが握られます。

そして、マルシェやワークショップを通じてお客さんとの交流が更なるご縁を生んで…。1つの円を描き続けているような、そんなイメージです。今後も、この先出会う方とのご縁で、海苔や他の具材にも拘っておむすびを握ってみたいなとも思っています。

”握”って終わるのではなく、“結”ばれていくもの。
そんな気持ちを込めて『おむすび』という呼び名で毎回表現しています。

〇『おむすび』の仕出しの依頼をしてくれたりっちゃんと村長

私の就職活動時代からお世話になっている、五十嵐さんことりっちゃん。
とある企業の1次面接でお会いし、そこからリクルーターとして面接の並走をしてくださいました。

最終的に、企業単位でのご縁は頂けなかったものの個人的に交流する仲にいつの間にか。本当にいつの間にかなっていました。

私の、おむすび小娘(なんやね~ん)としての活動やライターとしての活動。
いつもそっと見守って、背中を叩きも無理に押すこともせずに方に手を置いてくれている感覚で見守ってくれている存在。そんなりっちゃんとりっちゃんの旦那さん、通称:村長がおむすび50個の仕出しのご依頼をしてくださいました。

日本酒好きな村長。日本酒を嗜む会【酒の会 寸杯】を、後楽園にある小石川庭園にて総勢42名をお呼びして行うとのことでした。

その際の、シメとしてれいちゃんのおむすびを、とお声掛け頂きました。

事前に、参加者の方々に私のおむすびの説明もしてくださったりっちゃん。

大学4年次のインターンで体を壊し、人とご飯が難しくなったことがきっかけで、食への興味や探究心が湧いた○○さん(れいちゃん名字)。
「うまく食事がとれないけれど、食べないと人間は生きていけない。どうせならおいしいものを食べたい」と考え、半年間の療養中に、八百屋や精米店を巡っての食材探しを始めました。このとき見つけたじゃがいも(インカの目覚め)に感動し、その場で大将に直談判をして八百屋でのアルバイトを開始。また、精米店の大将から、お米の炊き方やおむすびの握り方を学び、現在はおむすびやオリジナルブレンドのお米の販売を行っています。また、療養中の出会いをまとめた書籍『れいちゃんのぼっち飯』も刊行。
今回のおむすびは、甘みの強い、鳥取県「星空舞」と、大粒で食べ応えしかない新潟県「新之助」を7:3で配合し、粒応えばっちり&冷めても美味しいおむすびに最適なブレンドに仕上げてくれています。寸杯特別verとして、塩むすび、大葉味噌、海苔佃煮(わさび)の三種で握ってくれました。ぜひご賞味あれ。

愛に溢れている文章が
嬉しすぎました。

りっちゃんは私が“おむすび”と呼ぶこだわりを凄く細やかに気づいてくれていて。会場で皆さんに、

『れいちゃんのおむすび食べた?』
『塩のおむすび美味しいよ!絶妙な塩加減なの!』

と紹介してくださったりおすすめしてくださいました。
そうそう、こうやってご縁が繋がっていく感じが『おむすび』なんだよな~と温かい気持ちになりました。

召し上がってくださった皆さんの

『おいしかったよ〜!』とか
『2個食べちゃった〜』
『おすすめの味はどれ??』

なんて声掛けが、すごく。すごくくすぐったくて嬉しかったです。普段のマルシェではテイクアウトスタイルなので、実際にお客さんが目の前で召し上がってくださる姿が新鮮で嬉しかったです。

そんな中、参加されていた中のお一人で、お話ししてくださる中で私の『おむすび』呼びの拘りに気づいてくださる方が。おむすびの語源ともなる興味深い話をしてくださいました。

〇仕出しをした時に教えてもらった『産巣(むす)』についての話

私が最終的にはご縁は頂けなかったものの、りっちゃんと村長がお勤めをしていた企業の上司にあたる方。面接が進む中で、もし機会があれば、お話ししてみたな…と思っていましたが、叶わずにいた方でした。

せっかくの機会だったので、

『実は以前、一度お話してみたくて。今日はお会い出来て嬉しかったです』

皆がほろ酔いになりつつある、会の終盤でのことです。

『おむすび、という呼び名に拘っていらっしゃることが凄く印象的でした』

静かにそう返してくださいました。

『むすめ、むすこ。日本の『産巣(むす)』という単語の語源は全て同じ。生じるという意味があります。おむすびの“むす”も同じで、だからこそ日本人の魂のソウルフードなんですよね』

知りませんでした。娘や息子の”むす”と同じ語源であること。『巣から産まれる』という漢字で表現されること。

大袈裟ではなく、魂の食なのかもしれないなおむすびは。そう思えました。

『ご縁を”結”ぶ』という1を10にする考えと、今回教えてくださった『産巣』という0から1になる考え。

お米や具材という食材。私が気持ちを込めて握ったおむすびという存在。食べてくれる方。産まれて結ばれて。繋がっていく。

あぁ、私は”おにぎり”じゃなくて”おむすび”を作っているんだ。

そう思えた心震える経験でした。

〇れいちゃんのInstagram


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