【制作の裏側】小説の共同制作をやってみて。
【#94】20211002
人生は物語。
どうも横山黎です。
作家を目指す大学生が
思ったこと、考えたことを
物語っていきます。
是非、最後まで読んでいってください。
今回は
「小説の共同制作をやってみて」
というテーマで話していこうと思います。
先日、『メッセージ』という作品を書ききり、noteの方で公開しました。
実はこの作品、僕一人でつくったわけではなくて、いろんな人とあれこれ議論しながらつくったんです。
じゃあ、具体的にどんな感じでつくっていったのか、
その制作の裏側をさくっとまとめようと思います。
どんなことが上手くいって、
どんなことが上手くいかなかったのか、
そういったことも全部共有しちゃいたいなと思います。
長くなっちゃうので、
前編、後編って感じで
二回に分けたいと思います(笑)
じっくりお付き合いください。
☆具体的な共同制作の流れ
この企画は、
大きく分けて二つの場所で行っていました。
一つはnote。
Noteに投稿した「議題」の記事や
「作品」の記事のコメント欄で意見交換をしていました。
初期の方では、
話の中身に関するやりとりがありましたが、
盛り上がりには欠けました。
ということで、
今回共有するのは、
もう一つの共同制作の場所での内容。
僕が個人的に仲間を集めて、
計七人のチームをつくって、
LINEグループを舞台に共同制作を行っていました。
そもそも僕自身、
小説の共同制作の正解を知らないので、
手探りで進めていくしかったわけですが、
どうにかこうにか無事完遂できました。
まず、
僕には書きたい小説のネタがありました。
そのアイデアをみんなで共有して、
どんな物語なら、
どんな展開なら、
どんな表現なら
より輝くのかをみんなで探っていきました。
週に一度、
オンラインでミーティングを開いて、
あれこれ議論したんです。
だから、
僕以外のメンバーがやることといえば、
そのミーティングに参加して議論することで、
それが一番重要だったかなと思います。
あるいは、
基本的に執筆は僕がやっていたんですが、
僕が書いたものを読んでもらって、
誤字脱字とか、
おかしな言い回しとかを指摘してもらう、
編集者的な役割も担ってもらいました。
あとは、
僕が時々、
「こういうこと思い付いたんだけどどう?」
って感じで、
「議題」をLINEのノートに投稿していたんで、
そこに意見を書くことですかね。
チームのメンバーは本当に優しくて
真面目な人たちばかりで、
八月から九月までのざっくり二か月間、
最後まで付き合ってくれました。
☆ラストシーンはメンバーが考えてくれた!
それでは次に、
作品の内容にも触れつつ、
具体的なことを話していこうと思います。
まず僕は、
自分が「これだけはいれたい要素」と、
「ざっくりとした仮のストーリー(あらすじ)」を
共有しました。
最初にグループノートに投稿した文章を引用しますね。
――――――――――――――
僕が今のところ詰め込みたい要素は次の三つです。
・成人(20歳)
・家族
・「I love you」というダイイングメッセージ
今のところ考えてるざっくりとしたストーリーです。
被害者が二十歳を迎える青年で、他殺か事故死かはさておき、命を落としてしまう。
その死の間際に、「110」というダイイングメッセージを遺した。
それを元に、犯人を推理していくわけです。
語呂合わせで「いいお」さんなんじゃないか?とか、
「110」番から、犯人は警察官だ!
みたいな風に。
でも、結末は違う。
「110」は被害者が書き残したかったメッセージの一部。
それは親愛なる家族への「I love you」の言葉。
被害者の青年が家族に反発したりして、迷惑かけてきた設定だったら、結末で泣けるなあって思いました。
――――――――――――――――
こんな感じで、
テーマも中身も、
最初から最後まで、全部共有しちゃってました。
共有したものを手掛かりに、
僕がどんな雰囲気の物語をつくりたいのかを
みんなになんとなくイメージしてもらって、
それを踏まえて、
作品の中身に関して
あれこれ議論していきました。
最初のミーティングでは、
今後解決していかなければいけない課題について共有しました。
1、よりダイイングメッセージが映えるメッセージの演出
2、どうやって「110」が「I love you」だと判明するか
3、他殺?事故死?死なない(瀕死から生き帰る)?
完成した作品を読んだ方からすれば、
『メッセージ』の大事な部分が、
このときはまだ何も決まっていなかったことが
分かると思います。
何度もいうようですが、
僕はアイデアを持っていただけで、
そのアイデアをより輝かせる展開も演出も
何も持ち合わせていなかったんです。
もちろん、
共同制作の途中で、
僕が悩んだ果てに思いついた案はありますよ。
でもね、
僕一人ではきっといつまでも思いつけなかった
素晴らしいアイデアを、
一人のメンバーから提案されたんです。
それが、
『メッセージ』のラストシーン。
つまり、
息子から手紙が届くシーンです。
「最後に息子から手紙が届く」というアイデアは
二回目のミーティングのときに、
一人のメンバーから提案されたものだったんです!
もうね、
このアイデアを提案されたとき、
唸りましたね(笑)
頭の中を閃光が駆け抜けた気がしました。
それを聞いた瞬間に、
絶対にこのアイデアは採用しようと思いました。
運命的に出逢ったアイデアに、
僕が一目惚れしたからこそ、
今の『メッセージ』があります。
僕一人の力じゃ無理でした。
一人で書いてたら、
確実に違う終わり方をしていたと思います。
そういったことも踏まえて、
共同制作して良かったなあって、
改めて思いました。
☆こだわり抜いたラストシーン
素晴らしいアイデアをもらい、
即採用して、
それをもとに、
議論していくことになりました。
最後に息子からの手紙が来て、
両親への純粋な思いを綴り、
「I love you」でしめよう!と考えました。
でも、また課題が生まれました。
じゃあどうやって「110」の謎を解くのかってこと。
「I love you」でしめるのは綺麗だけど、それがダイイングメッセージの「110」に結びつけられる人はそう多くないんじゃないか、もう少し親切な謎解きにした方がいいんじゃないか、いやでも変に謎解きをしてチープになるのだけは避けたい、、、。
こんな感じでいろいろ考えていたわけですが、
最終的に落ち着いたのは、
ラストシーンを
「息子の手紙」+「息子がその手紙を書く描写」にして、
最後、「I lo」で鉛筆の芯が折れたことにして、
無理やり手紙の内容を中断させる。
鉛筆を削り直すなど、繋ぎの描写をして、
最後の最後、満を持して
「I love you」と持ってくれば、「I lo」が「110」と結びつき、
息子が遺したかったメッセージは「I love you」だったのか!
と読者を誘導させることができ、
露骨な謎解きをせずとも、
ダイイングメッセージの謎が解けるしくみを
つくることができたというわけです。
素敵な結末で結ぶことができたのではないでしょうか。
そこに至ったのも、
僕じゃなくて、チームのおかげです。
みんなでつくったからこそ、
アイデアをより輝かせる術を発見することができたのです。
今回は、
共同制作の流れ、
どんな風に内容が決まっていったのか、
制作の裏側について共有させていただきました。
「後編」では、
共同制作の反省と考察をまとめていきたいと思います。
ということで最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
横山黎でした。
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