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プロセス主義について



まえに「最高の起業のアイデアはワークショップでは生まれない」と、起業関連の書籍で頻繁に見かけた。運営者の力量にも寄るが「意図的に良いアイデアを生む」場で頭をひねってアイデアを出しても、実現が途中で頓挫したり、人生を懸けるだけの思い入れが無く途中で諦めた。などはよくありそうな話だ

このとき起こっていることは何か?それは、それまでの各個人の人生の”文脈”が考慮されていないという浅慮;文脈の不在による形骸化。各個人の人生のすべての側面が納得している状態で決定したアイデアではなく、ごくごく部分的な自己が同意しているアイデアは、実行に移すとたいてい後から反動を喰らう

「後から反動を喰らう」とは、比ゆ的だけども、的確な表現だと思う。自分の中の”同意していなかった部分”が後から反乱を起こしてくる。それは病やメンタル不調という形をとるかもしれないし、他の様々な補償的な形(しばしば享楽的だったり自己破壊的な形)をとると言える。


そこで、このような病的な状態がありうるなら、その逆に健全で持続的で本当の意味で力強いアイデアの生み方はないか?と反対側を考えたくなる。

僕はその”健全なアイデアの生み方”の1つは「良いアイデアを意図的に”作り出さない”」「他者のためにやらない。自分のためにやる」ことだと思っている。

それは何かを作り出すという意図を手放した先で、「素朴なもの」「ごくごくパーソナルなもの」を突き詰め、その中で「出会う」自分にとって響く”象徴”的な物や出来事が、本当に他者に広げたい伝えたいと心の底から自然と思えたのなら、それは他者に響く可能性もある素晴らしい種だ。という姿勢を指す

これは受動的だったり、矛盾のように感じるかもしれないが、僕は理に適っていると思っている。なぜなら、気づいたらやっていた。というものごとは、「人生のすべての側面が納得している」アイデアになりやすい。そしてまた、自分の内奥に響いているアイデアでなければ、他者にも響く可能性は低いからだ。

簡単なようで難しい、「自分の視点に立つ」ということを続け、”はじまりの物語”に出会い、この”物語”に含まれる「価値」「象徴」を再現し、その輪を広げ、繰り返し、循環させ、価値が伝播していく。そういう状況が生まれることが、健全かつ力強いアイデアが”結果的に”生まれた状態だと言えると思う。

このアイデアを生むことは、「素朴な」「パーソナルな」活動を行うということに人生を懸けることで得られることもあるだろうし、自分の人生の記録・記憶の中にすでにそうした”響くもの”・”伝えたいもの”の種が隠れているとも捉えられる。過去に戻ることで、既に”出会っていた”ものを拾いなおせる。

プロジェクトには”はじまりの物語”がある。その物語は、起案者の内奥に”響いた瞬間”とも言えるし、他人に対して”届けたい”と思えた瞬間ともいえるし、とにかく普遍的な瞬間なんだと思う。

そうしたものに「出会う」ために普段行えることは、”ごくごく個人的なこと”を突き詰められるくらい”自分の視点”を取り戻すこと(多くの人の”自分の視点”は”他人から見られる存在”として固定化されていて、対象化されている。他人の感性のコピペと言っても良い。自分の感性は使われずに錆びついてしまっている。実は本当の意味で自分の視点に立ててはいない。)あとは人に「人として」接すること。現代社会では、人に物として、役割として接する人間味の無い人があまりに多すぎる。あと、変に焦らないこと。焦ると、同意してない部分が存在し、あとから反逆してくる。

ただし、ここまでの話は1つの理想論で、現代のような一定制約の多い社会でサバイブしていくには、こうした”プロセス主義”で行動するためには、それを守るためにそれなりの、対外的説得(コミュニケーション)や、社会適応的スキルの習得(稼ぐスキル)がまわりの環境から要請されていると思う。

反対に言えば、こうした制約さえ乗り越えることさえできれば、本当に意味のある活動(それはときに客観的に見ると本当に意味の無さそうな活動でもある...)に人生の時間を捧げられるほど現代は自由な時代だとも言える。

プロセスを丁寧に踏むやり方は、ストイックでもなんでもなく、本当に素朴な、勇気をもってラクになる。勇気をもって自分の味方をする、やり方なんだと思う。それは身の程をわきまえるということかもしれないし、個体としての自分にあまりこだわらないということかもしれない。



twitterより

https://twitter.com/rei_sttt/status/1547616620268646400?t=5p8xmiMWsAkHpMrVV90ZEg&s=19

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