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時速512キロを出し続けるのはむずかしい(2023 酒林堂 公演参戦日記)

朗読劇から日が経つと、イベントそのままの熱量をお届けするのって難しい。

前回記事を投稿した際は、様々な反応いただきまして、本当にありがとうございました。

「まるで特急新幹線のようなレポだった!勢いが!勢いがすごい!」という大変励みになるお言葉をいただいたのですが、今回は打って変わり、ローカル線各駅停車バリの低速運転でお送りいたします。

⚠️ATTENTION⚠️
本記事は「声優・近藤隆さんの生態を余すところなく知りたい人」または「相当暇な人」向けの記事となっております。(ほぼ近藤さんの話しかしてません+長いです)

※前回記事はこちら。

※深淵を覗きたい方はこちらもどうぞ。

さて、今回は近藤さん演じる「リジェ男」のお話です。
間違えました。後半朗読劇「八岐大蛇」のお話です。

八岐大蛇といえばあれですよ。
七五三で神社に行くと「千歳飴」と一緒にもらえる絵本とかに載ってるあれ。
天界を追い出された神様スサノオが8つの頭を持つ蛇ヤマタノオロチにたらふくお酒飲ませて退治してクシナダ姫を救うあれ。

果たして近藤さんはどの役をやられるんだろうな〜とワクワクドキドキしながら朗読劇スタートです。

物語は茶風林さんの語りとともに、スサノオが天界を追放されるところからスタート。
スサノオ役は吉野さん。
ロングの髪の毛が印象的で、金の太めの鎖ネックレスをしており、暴れん坊の神様らしくその出で立ち、とってもワイルド。

その後もクシナダ役の茅野さん、村長役の茶風林さん、刀鍛冶役の鶴岡さん、村人?役の伊藤さんらが続々と登場。

ということは近藤さんの役ってまさか…?と期待が膨らみます。
※ちなみに『雪女』は公演によって配役変更がありましたが、『八岐大蛇』は全公演同じ配役。

『雪女』では終始出ずっぱりだった近藤さん。
『八岐大蛇』ではなかなか出番がやってこない。

ステージ上にはマイクが5本設置してあり、演者たちは自分のターンになったら椅子から立ち上がり、マイクの前にやってきて喋る。
ターンが終わったらまた椅子に戻って待機。
入れ替わり立ち替わりマイクの前にやってくる様子は、さながらアフレコブース。

というわけで我らが近藤さん、今回は待機時間が長いです。
もちろん待機時間も全力でガン見します。
(拝啓 近藤隆様、ガン見して怖がらせてしまったのならごめ以下省略)

待機中の近藤さんの印象は「脚を広げて座らない!背筋ピーン!」です。
いわゆる男性的な座り方をしないので、周囲が薄暗いのもあいまってより中性的な雰囲気を醸し出している。

※あ、ちなみに灯りはマイク横にある行灯だけなので、椅子で待機している演者の表情までは見えない。暗闇の中で姿形がうっすらと見える感じ。

待機中は基本的に手元にある台本を追っていたけど、たまに水を飲んだりして動く。

不意に首に手を当て、乙女ゲームでよく見る「首痛めてる系男子」のような仕草も観測されました。

あとは近藤さん、黒いシースルーの羽織みたいなものを着ていたので、座るときに袖を巻き込まないように、手首をサッて翻しながら座ってたのがカッコよかった。

片手で台本持ってるからさ、反対の手で袖を整えるとかできないからね。長年の役者経験からくる動きなんだろうな~と思うと、そういうプロフェッショナルな一面にドキッとします。

個人的にツボだったのは、たしか2日目の昼公演でお水を飲もうとしたところ。おそらく新品だったんだろうな。やけに蓋を回すのにスローな動きしてるなって思ってたけど、きっと開封時の「ピキッ」って音が鳴らないように頑張っていたんだと思います。かわええ。

そのあとも椅子の横にあるペットボトルとなにやら格闘してんなと思っていたら、どうやらペットボトルを倒してしまって、静かに目立たないように拾っていたらしい。(フォロワさん情報)

これがハプニングも味として楽しむってことですね!?!?

倒してたの全然気がつかなかったよ。冷静な対応、伊達に20年も役者業をやっていない。

そろそろ「ええ加減演技のレポ書けや!!」って野次が飛んできそうなので話を戻します。

いよいよ近藤さんがマイクの前にやってきて、満を持して「ヤマタノオロチ」が登場したところで拍手喝采。きっと全近藤隆ファンが心の中でガッツポーズをしたことでしょう。

もうここが裁判所の目の前だったら、全私がうれし涙を流しながら「勝訴」の紙を持って走り回っているところです。

ビバ悪役!!!やったぜ!!!しかも嫁いでくる娘を何人も殺している凶悪犯!!!神様ありがとう!!!!!

しかし同時に「てことは最後には殺されちゃうのかー(´・ω・`)」 という若干複雑な気持ちを抱えつつ、物語の行く末を見守ります。

というか近藤さん、身長181cmの鶴岡さんと同じマイク使うんですか。足りてますか(何がとは言わない)というツッコミはさておき。

オロチ様は一言ずつ重みを持って喋るスタイル。声色から滲み出る最強感。必要最低限のことだけ話すので、雰囲気としてはまほやくのオズ様に近いかな?でも、オズ様ほど声は低くはない。中低音。抑揚の少なさに人ならざるもの感を感じます。

そしてこのオロチ様、登場して間もなく、とんでもない証言を繰り出します。

「俺は嫁いでくる娘たちを愛していた。でも俺のことを愛さなかった。だから殺した。」
※劇中セリフは細かく覚えてないから雰囲気で。

おおん?そういう感じ???どっかで聞いたことがある台詞なんだけど???
ここ柊館だった??いつの間にか柊館にトリップした???
(ピンとこなかった貴女はSEVENTH HEAVENで検索だ!!)

と、まさかのここ島根の地で『リジェ男の卵』と邂逅です。

オロチ様、どうやら愛が返ってこないなら殺してしまえパターンの男らしい。
初手から想像以上にやべえ男です。

そして、驚くべきことにこの男以上にやべえお方がもう1人。クシナダ姫です。
なんとクシナダ姫、自身の姉たちがオロチに殺されているにもかかわらず、オロチのことを本気で愛してると言います。

まって!!オロチとクシナダ姫、相思相愛の仲なの!?どゆこと!?と、若干混乱気味の私。

しかもさあ、オロチ様(もとい近藤さん)、クシナダ姫と話す時だけニコってして、エクボを見せるんですよ。

それが愛する女性にだけ見せる顔ってことですか!?君にしか見せられない顔があるの!?!?

いや、だってあのオズ様がニコってしたら大事件じゃん。不適な笑みはよくしてるけど、エクボ見せて笑ったりしたらそれこそ大事件じゃない。

オロチ様の秘密の笑顔を目撃してしまったかと思うとドキドキが止まりません。なんてったってエクボ。

さらに、このお姫様「彼は繊細な人。殺しを楽しんでいるんじゃなくて、孤独に苛まれているだけなのよ」ってオロチさえ気付いていない彼の本質を見抜いている。

ひえぇ〜?これスサノオが入る余地ある?もう2人の世界観出来上がってんじゃん??大丈夫??とさすがに心配になってきます。

一方でスサノオに求婚されたクシナダお姫様「わかりました。私は強い人と結婚します!」とスサノオのプロポーズを快諾。

えっ、オロチのこと愛してたのでは!?!?と、野暮なツッコミを入れたくなる気持ちをグッと堪え、よくよく聞いてみると、クシナダ理論では「私はスサノオのこともオロチのことも愛してるから、どちらか生き残った方の子を産みます」とのこと。

なんだかこの朗読劇思ったよりもカオスだな!?!?

もうクシナダ姫もぶっ飛びすぎてて、オロチ様のリジェ男っぷりがかすんで見えます。

自分を巡って男たちをバトルロワイヤルさせるお姫様の爆誕です。

クシナダ姫はオロチと秘密の逢瀬を重ねつつ、裏でスサノオや刀鍛冶のたたらと協力し、お酒や刀を用意するなどオロチを倒すための準備を進めます。

それにしても酔っ払ったオロチ様は色気がありすぎる。
酔っ払った演技なのか、実際に『お清めの時間』で日本酒飲んだ後で酔っ払ってたんかしらんが、めちゃ色気ェ…。
あの吐息は非常にけしからんです。

目を閉じながら「さすがに(酒が)まわった」って言いながらぬるぬると戻っていく様子も色気ダダ漏れ。色気の塊近藤オロチ様。

もうほんとにこれ乙女ゲームになりませんかね??

そしてぬるぬるで思い出したけど、近藤さん、マイクの前に出てくる動作がちょっと蛇っぽい。ぬるっと出てくる感じがさ。私の位置からは見えづらかったけど、どうやらすり足で歩いていたらしい。

蛇の動きまで計算して動いていたらほーんと恐ろしい役者だなあと思うわけです。

というわけで色々説明かっ飛ばしますが、スサノオvsオロチの全面戦争勃発です。

勝負はお酒の飲み比べとなるのですが、ここの掛け合いが両者共にテンションMAXで熱量がすごかった。

会場中に吉野さん・近藤さんのお声がパーンって響き渡る感じで、しかもちょっとコミカルに演じていて音圧もすごい。

オロチ「それはクシナダが俺のためにつくった酒だ!!!」
スサノオ「クシナダのものは俺のもの!!!」

と露骨に独占欲発揮するオロチ様も、ジャ◯アン理論展開するスサノオも、所詮男の子だなあって感じでちょっと可愛い(笑)

※ちなみにここの裏で流れるBGM、どっかで聞いたことあるなーおもてたら、クリミナTのアニメイト特典でマグロ解体ショーの場面で流れるBGMと同じでした。(伝われ)そして、2人が酔って叫び散らすたびに雷のSEがドオーンって鳴る。さすが超人同士の対決。

白熱したお酒の飲み合いが続く中、徐々に話題は互いのお悩みポイントへ。

スサノオ「姉に会いに行ったら武装して待ち構えてやがる😭😭追い返すことないだろお😭😭俺の何が悪かったんだよおお😭😭」

オロチ「みんな俺の機嫌を伺うばかりで、夜になると寝首を掻こうとする😭😭しかも大勢で襲ってくるんだよおおお😭😭😭」

スサノオは親や姉に認められないことがつらい、オロチはずっとひとりぼっちで寂しい…。

だんだんお互いに「わかるぜ😭😭😭ほんと酷い話だよな😭😭😭」って共感し始めて、ついには「スサ!」「オロ!」と愛称で呼び合う2人w

客席からも思わず笑い声が聞こえます。

そして、吉野さんがスサノオ姉への恨みつらみをすごい熱量で話している横で、近藤さんは眉間に皺寄せて目をぎゅっと瞑って「わかるわかるよ」ってブンブン頷いていました。

ずっと1人で生きてきたオロチ様、誰にもわかってもらえなかったこの想いをやっと語り合える仲間を見つけ、ついに自身の抱える深い孤独に気付いてしまったのです。

と、会場の熱気も最高潮に高まったところで、まさかの酔っ払ったスサノオが寝落ち。
なんとなんとオロチ様生存ルートが開通します。

その場に1人残ったオロチ様、静かにクシナダ姫に呼びかけます。

この「出てこいよ」って言い方がちょっとユーリさんみがあった。声に色がない感じ。得体がしれなくて怖い。これからどうなるんだろう、とちょっと不安にさせる声色。

ここから先はちょっと記憶があやふやだけど、オロチ様の告白が始まります。

まずはクシナダ姫に「おまえの姉たちを殺して悪かった」と言います。

なんとオロチ様、どっかの死神と違って、ちゃんと謝れる男だった!!!

謝ることができる男はポイント高いです。
そして「寂しかったんだ」と胸の内をポロポロ言葉にしていきます。

「いいなあ(クシナダはみんなに)愛されて」 ※実はクシナダ姫、刀鍛冶のたたらからも慕われていた。

↑もうこのセリフがしんどすぎました。光秀くんを思い出す。

最強のパワーを持っていて、あらゆるものの畏怖の対象になっているオロチ様。そんな最強最悪でなんでも手に入れられそうなパワーを持つオロチ様がたった一つ願うことが、1人の女性から愛されることだったなんて!!そしてそれを言葉にするなんて!!なんて純真なんですか😭😭😭

「本気で惚れちまったじゃねえか」
↑告白イベントキタ!!!もうここからはデレたオロチ様の独壇場です。もう気分は乙女ゲーム攻略中の人です。

「おいで。愛してくれるんだろう?」
↑もうこれ聞いてるだけで泣きそうでした。なんて哀愁漂う「愛してくれるんだろう」なんだ…。あんなに強くて最強なオロチ様が愛を他人に委ねるなんて…。

そしてクシナダ姫に「刀を持って、もっと近くに来い」と呼びかけ、引き寄せます。

この時点でなんか嫌な予感。

するとオロチ様、クシナダ姫が持つ刀に手を添えて、あっという間にグサっと自分の腹をひと刺し。響き渡る近藤さんの断末魔。

なんてこったーーー!!!😭😭😭
いやだーーー!!!😭😭😭
オロチ様ーーー!!!😭😭😭

「ありがとよ…」と言いながら、天叢雲剣をクシナダ姫に渡して生き絶えるのでした。

うわあええあああええあえあんんん。゚(゚´Д`゚)゚。

オロチさんはね、まっすぐすぎるんだ。繊細すぎるんだ。だから自分の過ちを許せなかったんだよ。クシナダ姫が自分にそういう感情を向ければ向けるほど、自分はそれに値しないって思っちゃってさ。でも死ぬことないよおおお😭😭😭

オロチ様にとってクシナダ姫を本気で愛することは、自身の死につながるという、見事にバッドエンドなオロチ様ルートなのでした。

ほら、初登場ユーリさん→中盤怜さん+光秀くん→最後スバルくんみたいなとんでもない役だったでしょ???

ということで、クシナダ姫はスサノオと結ばれ舞台は終幕。

素晴らしい朗読劇に客席からは拍手鳴り止まず、千秋楽のカーテンコールでは、近藤さんも再登場されました。

まずは近藤さんの立ち姿、とても美しいけれど、つま先が微妙に揃ってなくて、なんだか珍しい光景だな?と思いました。
足をV字に開いて、前方の足の踵を後方の足の土踏まずにくっつけるような立ち方にも見えた。
足元なんて普段は見る機会がないから特別目についたのかもしれない。

そしてお爪があいも変わらずお綺麗。

「ありがとうございましたー!」って他の演者たちが客席に向かって拍手で感謝の意を伝えるなか、近藤さんだけ拍手はせずに、両手を合わせて客席に向かってぺこぺこ。なんか祈られてます???私がお地蔵さんになった不思議な気分。

その後も拍手するタイミングいくらかあったけど、近藤さんはいつもの控えめ拍手。

「なんでこのお方は声優業をやられているんだろう?」と疑問が湧き上がってくるほど、役を降りた近藤さんは謙虚。

目が合ったらどうしよう。でも近藤さんのことは目に入れていたい。でも近藤さんの視界には入りたくない。という無理難題を自分に課しながら、チラチラ近藤さんをガン見しているうちにカテコも終わり、またしても控えめに手を振るような仕草をしながら帰っていかれました。

※近藤さんは3公演ともにお見送りには現れなかったので、これが地上で見かける最後のお姿となりました。

そして私は「は〜〜酒瓶入ったスーツケースおもてえ〜〜近藤隆を人間国宝として保存してえな〜〜さよなら松江〜〜」などと思いながら帰路に着くのでした。

酒林堂スタッフ、演者および関係者の皆様、素晴らしい公演をありがとうございました。

最後に、一言。
もし次回があれば、皆様カサカサしない素材の洋服を着ていくことをお勧めいたします。
イベントを通じて、体育座り→横坐り→あぐらを音を立てないように永遠にループするという特殊技能が身に付いたよ。

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