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放課後等デイサービスの実情に物申す!①

株式会社H&H代表の池畑です!

弊社は、医療的ケア、重症心身障害児を中心とした児童発達支援や放課後等デイサービスなど様々な事業を行っています。

小児分野で経験豊富な理学療法士や看護師が多数在籍しており、質にこだわったケアを行っています。

放課後等デイサービスを含めた障害福祉事業は転換期を迎えており、4月の報酬改定では、基本報酬がマイナスに転じる分野も増えるなど、現場にとっては厳しい状況になりつつあります。

「報酬減=倒産リスク増」となるわけですが、報酬減になるのも私は理解できます。

「障害福祉ビジネス」という言葉もあるように、利益ばかり考えて、質の伴わない事業所も散見され、結局は「真面目に取り組んでいる事業所」が不利益になっているのが現状です。

今回は放課後等デイサービスに思うことを書きたいと思います。
タイトルは少し過激な感じですが、過激では無いのでご安心を😊

長くなるので、初めっから最初から2部作にしております!!

放課後等デイサービスは儲かるのか?

結論から言うと儲かりません!
一般のビジネスは値決めを自由にできたり、生産性をあげることで数量を増やすことが可能ですので、売上や利益の増加が見込めますが、医療や介護、福祉の分野は決まっていることが多すぎて、売上や利益の増大はコントロールできない部分が多いです。
放課後等デイサービスにおいては、定員が決まっていて報酬も決まっていますので、売上には限界があります。
固定費も家賃と人件費が大部分を占め、現在は人件費が高騰しており(安い賃金では優秀な人は働いてくれません)、職員の質にこだわればこだわるほど、固定費は上がっていきます。
でもどんなに良いサービスを提供しようとも報酬は上がりませんので、人件費を上げれば利益は減っていきます。
故に質にこだわればこだわるほど利益は減っていくのです・・・😢

冒頭に報酬が減った分野もあると書きましたが、報酬がどのように決まるのかを簡単に説明すると、足りない分野や国が力を入れてほしい分野は報酬が高く設定されます。なぜなら、報酬が高いと参入が増えるからです。
そしてある程度、需要と供給のバランスが取れてきたら、基本報酬を下げて、専門職を配置したら算定できる加算を手厚くして、質を高める方向に報酬が変わっていきます。
そして、業界の利益率などを基に、儲けすぎないように報酬の微調整が繰り返されます。

なので、べらぼうに儲かることはないですが、安定的な運営を行うことは可能ですし、障害福祉はインフラですから、安定的な運営をしてもらい、持続的にサービスを国民が受けられるようにしていく必要があるわけです。

もちろん残念な事業所もある

昔は放課後等デイサービスに「時間」という概念はなく、「利用したらこの報酬ね!」というものでした。
でどんなところが出てきたかというと、職員を可能な限り少なくして、30分だけ利用してもらう、学校に迎えに行ってそのままドライブして自宅に送り届ける、なんて事業所も出てきました。別に違法でもないわけで、誰も何も言うことはできません。
反対に、じっくりと時間をかけてスタッフを手厚く配置して、子どもたちに必要な療育を届ける事業所もいます。
どちらも売り上げは同じですから、専門性も低く、固定費が低い前者の方が儲かります。
違法ではないですが、問題視されて、何時間以上は提供してくださいというルールができました。
こんな感じで、ビジネス的な要素が強いと違法ではないけれど、趣旨から反する事業所が増えてきます。
そして、厳しい制度に変わっていくのです。

残念な組織があるのは、どの業界も同じですが、それが可視化されないのと、質で報酬が決まるわけではないので、一般社会なら利用する人から指示されずに潰れてしまうくらいのクオリティでも存続できてしまうのです。(それでも最近は倒産するところも増えてきましたが、それでも他の業界に比べると少ないです)

預かるだけや習い事、塾のような事業所

放課後等デイサービスは
「育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。」
と定義されています。

そして、
「支援を必要とする障害のある子どもに対して、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの状況に応じた発達支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図る」
とも定義されています。

すなわち子どもの成長のために学校や家庭でできない支援を行う場なのです。

でも学校や家庭でできる支援を提供している施設は山ほどあります。
障害を持っている子どもの成長を支援することを
「療育」
と言います。

そして、多くの放課後等デイサービスは「療育」を名乗っていますが、「療育」を専門的に学んだことがある人は極めて少ないです。
学んだことがないから、本当の療育を提供できずに「学校や家庭でできること」しか提供できないのです。

だから結局、学校や家庭でできることをして「預かる」ことしかできないのです。

障害を持っている親御さんのことを考えると「預かる」ということも必要なサービスだと思います。

なので違法でないが適切でないと厚生労働省からも出ています。

厚生労働省「障害児通所支援の在り方に関する検討会」より抜粋

もちろん預かりニーズが高いことも理解できますが、
「預かるだけでなく、学校でも家庭でもできないことをやって、子供の成長に繋げてください」
と言っていると私は解釈しています。

発達障害などで個別支援が必要なお子様に対して、普通学校では対応しきれない部分を補う動きもありますが、そこに対応できるくらいのクオリティを担保できる事業所がどれくらいあるかは微妙なところです…。

あくまでも公費であり、公費は国の方針に従って、その範疇で行うことが大原則であり、良いものだから範疇を超えて良いとはならないんですよね…。

学習塾や習い事のような事業所はこれからも議論が続きそうです

重心にもいよいよ来たぞ・・・

重症心身障害児や医療的ケア児の分野は圧倒的に数が不足しているので、報酬が高く設定されており、事業所数を増やしていこうという国の方針が明確です。
で増えてきたのが、「社会貢献で儲けよう」というビジネスです。
これは介護もそうですし、放課後等デイサービスが始まった時にも、この流れはありました。

いよいよ
「重症心身障害児を対象とした放課後等デイサービスをはじめませんか?」
が出てきたんです…。

しかし、事業展開をしている我々で感じることは、介護や軽度の方を対象とした放課後等デイサービスのように、一般から参入してできるほど、簡単なことではないと感じています。(介護や軽度の方を対象とするのは簡単であるということを言いたいわけではないので、ご理解ください)

これは専門性を追求している事業所であれば、非常に納得してくれるのではないかと思います。

その点は次回に詳しく書いていきます。


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