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股関節の前捻角とは?

こんにちは。まるです。
前回は「頚体角」について投稿しました。
となると今度は「前捻角」です。

医療職の方なら「この流れ、次は絶対、前捻角くるよね。」と思われていたと思います。
大正解です。ありがとうございます。

「1週間に2本noteの投稿をする!」ことが今の私の目標です。
インプット→アウトプット(note投稿)までを効率よく、継続して取り組んでいきたいと思っていますので、今後も継続して読んでいただけますと大変嬉しいです
(たまにスキも押していただけますと大変喜びます)。
今後ともよろしくお願いします!


はじめに


それでは股関節を語るにして避けては通れない「前捻角」について!
個人的には、頚体角異常よりも「前捻角異常=過度の前捻や後捻」の方が多いのではないかと思います。
実際、臼蓋形成不全で骨切りや人工股関節手術をするときのCT画像ではこの辺もチェックして3次元的に手術計画を立てているそうなので。
ではまず、前捻角とは何かというところから。


前捻角とは?

前捻角とは、「大腿骨のねじれ」を角度で表現したものです。
大腿骨体と骨頚の間に存在する、相対的な回転(ねじれ)のことをいいます。
正常股関節では、上方から(水平面)みると、大腿骨頸部は大腿骨内外側顆を通る内外軸に対して約15°前方に位置しています。
この「15°のねじれ角が正常の前捻角」です。

前回の投稿にあった125°の頚体角と、今回のこの約15°の前捻により股関節に最適なアライメントと関節の適合をもたらせています。



股関節前捻角の正常と過度の前捻
股関節の後捻


15°から大きく離れた大腿骨のねじれは異常と考えられ、
15°より大きいねじれ角は「過度の前捻」
逆に15°より少ない場合は「後捻」といわれます。

しかし、生まれたときには約40°の大腿骨前捻がありと言われており、
骨の成長、過重の増加と筋活動の増加により、この角度は約16歳までに約15°に減少するされています。

成人における過度の前捻は、先天性脱臼、関節不適合、関節応力の増加、関節軟骨の摩耗を増やす傾向にあると言われており、これにより二次性変形性股関節症のリスクが高まります。



過度の前捻だとどうなる?

小児の過度前捻は内股(うちわ)(in-toeing、爪先内向き)とよばれる異常歩行と関連しています。
内股とはよくみかける、股関節を過度に内旋する歩行パターンのことです。
幼い女の子によくみられますね。

この内股ですが、内股の量は大腿骨のねじれ(=前捻角)の量に関連するそうです。
ということは、大腿骨のねじれ(=前捻角)が大きいほど内股がきつい(爪先が内側に向く量が多い)ということになりますね。

この歩行パターンは、過度に前捻した骨頭を寛骨臼へ正しく向かせる明らかな代償機構だといわれています。
Arnoldらは、歩行時の過度な内旋が股関節外転筋のモーメントアームの増加に働き、この内股という異常歩行は、過度な大腿骨のねじれを実質的に減少させる”てこの原理”であることも示しています。

このような理由から、股関節内旋位を取っているために、子どもは成長につれ内旋筋と周囲の靭帯の短縮を起こし、股関節外旋角度の制限をきたす場合があります。
しかし幸いにも、内股を呈す子どものほとんどは最終的に正常な歩行をするようになります。

内股の歩行パターンは、下肢のほかの部位、前捻の平坦化や複合的な構造的代償(その多くは脛骨による代償)によって時間と共に改善するといわれています。

大腿骨の過度の前捻を有する多くの人は、
発達過程の中で脛骨の二次的な代償をとり、膝に対して側部が外旋する
「下腿外捻(lateral tibial torsion)」という代償を示すそうです。
そうすると、結果として足尖が内向きにならないということですね。

しかし、大腿骨顆部に関しての厳密な検査では、その立位は股関節内旋であるので、足尖が内側を向いた姿勢は見られないが、代償を代償した形となっているため、結局元々の変形は残ったままということになりますね。


過度な大腿骨の前捻に対する治療法


大腿骨の過度な前捻に対する一般的保存療法として、補正した靴や、ツイスター、スプリント等があります。
しかし、基本的な臨床治療では前捻に変化はないといわれており、観血的治療をしなければアライメントは変化しないといわれている報告もあります。

これら保存療法は、股関節に影響を与える足部や大腿に力学的な力を加えるものであり、治療結果より、大腿骨の前捻変形に変化がみられなければ脛骨の外旋が増加することが明らかにされています。

前捻角が過度であるからと、保全的治療を行ったとしても、過度な大腿骨のねじれを減少させるかどうかは明らかではないと報告もあることから、これら装具を利用した保存療法は、大腿骨のねじれを改善するというよりも、足部や大腿部に力学的な力を加え、過度な前捻を代償するようなアライメントに補正するためのものといっていいのかもしれません。

大腿骨の過度な前捻を有する人の多くもしくはそのほとんどで、脛骨が捻じれる二次的な変形が進行している。大腿骨前捻の変形による機能的異常の身を呈する人には保存療法を、7歳までに脛骨の回旋がほとんどもしくは全くみられない人や股関節の外旋可動域がほとんどない人には、脛骨骨切り術を考慮することが推奨される。

オーチスのキネシオロジー ー身体運動の力学と病態力学 原著第2版ー 引用

こちらではこのように書かれていますが、その他の文献を詳しく調べていないため、保存療法や外科的手術の詳しい内容についてはもう少し様々な文献を探してみる必要性があるかなと思います。

骨の成長、過重の増加と筋活動の増加により16歳頃には正常前捻角になるといわれていますが、過度の大腿骨のねじれがなぜ減少するのか詳しいことはわかっていないそうです。

また、過度の前捻角の中でも、25~45°の過度な大腿骨の前捻は脳性麻痺児には一般的であり、60~80°の前捻も報告されています。
内股は歩行をしている脳性麻痺児に多く、なかなか解決できていないのが現状です。

出生時の過度の前捻角が、正常角度へと減少する原因や要因が分かれば、脳性麻痺児の股関節機能改善や歩行へと応用できたり、
小児の過度の内股が成人になっても改善せず、機能的異常や変股症の原因の一つとなる場合への応用へ繋げられるのではないか…等、個人的に考えたりしました。


さいごに

私も幼少期から大変なる内股でした。
母や祖母から「白線の上を歩いて内股にならないように練習しなさい!」と何度も言われ、意識して何度も練習しました。
何回練習しても気が付くとまた内股に戻っている…
なんでだろう?なんでみんな内股じゃないのだろう?と不思議でたまらなかったです。
しかし今回臼蓋形成不全と分かり、なんだ!そういうことだったのか!と腑に落ちた部分がありました。

理学療法士として勉強する中で、この内股は臼蓋形成不全である自分の身体を守っていたものの一つだったのじゃないかともわかり、内股を否定していた幼少期の自分や、親たちに伝えたい!と思いました。

そんな私も大学生以降からは、幼少期ほどの内股ではなくなりました。
幼少期の内股は、股関節を守ろうとしている証なのかもしれません。
代償は一般的に悪いとされていることが多いですが、こうした最適なアライメントを作るための代償はなくてはならないものなのかもしれません。
不良姿勢はよろしくないですが、子どもの成長途中で操作を加えようとすることがすべて良いことであるとは限らないのかなと感じました。
私の場合、自分の前捻角がどれくらいなのかは知らないため(前捻角の問題は置いといて)、浅い臼蓋の中で、自分にあったアライメントが内股ということだったのかもしれません。
まだまだ諸説、様々な考えや研究があると思いますので、上記はあくまでも私個人の見解です。
多様な意見や見解、研究報告等で知識をつけ、様々な角度で考察できるようにしていきたいと思います。

今回は前捻角というところだけを切り取った話なので、臨床的に考えると、とても狭い範囲ではあると思います。
個々の状況での前捻角とは、様々な問題が絡み合っている中の1つという視点になるので、ただ前捻角だけをみた見解というのは現実的ではない部分が多いかなと思います。
様々な視点でみるための知識の一つとして積み上げていくことが重要ですね。

今回私は数多くの文献を読んでいるわけではないため、もっと多くの文献を読み、考えに触れていく必要があることを改めて感じました。

これからも日々少しずつ積み上げ、精進していきたいと思います。


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