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心の “機微” を感じ取る。 理学療法士・儘田佳之さんの描く理想の介護

リハラボで活躍するスタッフへのインタビュー企画。今回は、デイサービス部門の部門長を務める理学療法士の儘田佳之さんにお話を伺いました。

理学療法士を目指したきっかけやこれまでの歩み、また、大切にしている想いや今後に思い描くことなど、その魅力にとことん迫っていきたいと思います。

■ 儘田佳之(ままだ・よしゆき)氏 / 理学療法士
東京都出身。大学卒業後、大手デパートの販売促進事業に従事。33歳で退職し、理学療法士養成校の夜間部に入学。理学療法士免許を取得後、介護施設での勤務を経て、リハラボの運営会社である株式会社RehaLaboJapanの取締役に就任。デイサービス1号店の立ち上げから従事する。


百貨店業界からリハビリの世界へ


ーー 儘田さんが理学療法士を目指したきっかけを教えて下さい。

私はもともと大手デパートの販売促進に従事していました。しかし、仕事をする中で誰の笑顔のために頑張っているのか次第に見えなくなり、入職して11年目に退職。退職後はあらゆる土地を旅しながら、今後の自分の進むべき道についてじっくりと考えました。

退職から1年が経過する頃、「こんなことしてていいのかな」「社会に貢献したい」と思うようになり、就職活動を開始。「どうせ働くなら、人の役に立つ仕事をしたい」と思っていた私は、ネットや本で情報収集を行う中で「理学療法士」という職業に出会いました。すぐに千葉県にある専門学校の説明会に行き、学校の先生に色々とお話を伺いました。その時の先生が、理学療法士の魅力についてものすごく熱く語って下さったことが決め手となり、4年制の夜間部に進学することに決めました。

ーー 学生時代は、どのよう過ごされていたのですか?

夜間部だったので、日中は学校が紹介してくれたリハビリ特化型デイサービスで働きました。これまでデパートでしか働いたことのなかった私にとって、「介護」のイメージは正直あまり良いものではなく、不安でいっぱいでした。しかし働くうちに、高齢者を楽しませたりお話したりすることが楽しくなっていきます。学校の先生も働きに来られていたことから、実践的な学びを得ることもできました。

一方で、体力的には決して楽とは言えません。毎日夕方まで仕事をした後に学校へ行き、3時間勉強をするからです。自宅へ帰るのは、いつも22時近くになっていました。実習も厳しく、何度も逃げ出したくなりました。

しかし、周りの方々の支えもあり、無事に理学療法士の免許を取得。その後は、介護施設に就職しました。


リハラボ創業秘話

ーー 創業当初から関わられていた儘田さんですが、同じく理学療法士である代表・竹下さんとの出会いはいつだったのでしょうか? また、起業に至った経緯も教えて下さい。

竹下社長とは、学生時代の実習先で出会いました。たまたま同じ日から実習開始だったのです。お互い励まし合いながら、実習生活を送っていました。

その後、実習が終わってからもたまに連絡を取りあってはご飯に行きました。理想の介護やリハビリテーションの在り方、日頃から感じる多くの問題について話し合いました。そして、いつか自分たちで理想のデイサービスを作りたいと思うようになります。

ーー当時描かれていた「理想のデイサービス」とは、どのようなものだったのですか?

私は、上から目線の介護にとても違和感を感じていました。デパートでサービスを学んでいたので、ホスピタリティへのこだわりは強かったんです。「今日もここに来てよかった」「楽しかった」と思ってもらえるような居心地の良い世界観が理想的だと考えました。

また、当時「リハビリ特化」と謳っているものの、ただマシーンをおいただけで専門職もいない施設が増えていました。竹下社長と話す中で、理学療法士という資格を活かした「本物のリハビリ特化型デイサービス」を作りたいと考えるようになります。

そして、卒後から3年がたった頃、ついに2人で起業することを決意しました。それが、リハラボの始まりです。



ーー 実際にデイサービスを開設するにあたり、どのように動かれていったのですか?

まずは物件探しでした。知り合いのご縁から物件を借りられることになり、場所は高円寺に決定。その後は、ケアマネージャーさんへの挨拶周りなど、草の根活動をひらすけ継続しました。

開所後は「理学療法士が作ったデイサービス」ということで、ありがたいことに注目を浴びることになります。午前午後で定員10名ずつ受け入れていましたが、あっという間に席が埋まり、キャンセル待ちは多い時で30人、待機期間は1年にのぼるケースもありました。

その後、地域の要望に応えるため、高円寺店の開所から1年後に松の木店、2年後に和田店、さらにその2年後に高井戸店をオープンします。


心の “機微” を感じ取る

ーー デイサービスを運営するにあたり、儘田さんが大切にしていることを教えて下さい。

私は、介護において「機微(きび)」を敏感に感じ取れることが重要だと思っています。機微とは、表面上では分かりにくい人の心の微細な動きや、物事の移り変わりのことを指します。心の機微を感じ取れる人が職場に1人でもいると、利用者さんやスタッフの安心感も増え、雰囲気も落ちつき、いい状態になると考えます。

「リハビリで治してあげる」などのように、「〜〜してあげる」という状態が、私は好きではありません。同じ土俵で、同じ目線で、一人の人として対等に付き合うことを大切にしています。リハラボでは、そこをかなり重要視しています。

また、スタッフが良い環境で働けるように、まだまだ発展途上ですが少しずつ環境も整えています。


今後に思い描くこと

ーー2022年3月には、開所から10年目を迎えたデイサービス高円寺店がリニューアルオープンしました。今後、リハボラがどのような場所になってほしいと考えられているのでしょうか。

リハラボは、利用者さんの目標を叶えるための一つの手段でしかありません。

今回の高円寺店のリニューアルでは、訪問看護との連携強化目標管理シートの導入を試みました。

今後、リハラボでは「リハビリのその先」を目指していきます。リハビリするその先というのは、例えば、映画がみたい、旅行に行きたい、料理をしたいなど利用者さんが本当に望まれることです。

リハラボでの積み重ねが、利用者さんの人生をより豊かなものにできるように、一人一人に丁寧に伴走していきます。


以上、今回はリハラボデイサービス部門の部門長を務める、理学療法士の儘田佳之さんにお話を伺いました。創業当初から熱い思いでリハラボを支え続けている儘田さん。これからの益々のご活躍が楽しみです。


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【取材・分=河村由実子、撮影=上垣内寛】