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肩関節周囲炎の評価-問診と臨床推論-

おはようございます桑原です。

今日は肩関節周囲炎の評価、特に臨床での問診に焦点を当ててまとめていきたいと思います。

問診で必要な情報を得る事ができればその後の評価がより活きてきます。

また、ある程度の推測も可能なので、普段臨床で肩関節周囲炎を担当する方は復習も兼ねて見ていただける幸いです。

1)病期の判断

まず肩関節周囲炎は炎症期・拘縮期・回復期という3つのフェーズを経過します。

炎症期→疼痛が強く可動域制限はまだ強くない時期
拘縮期→疼痛が治まり可動域制限が徐々に強くなる時期
回復期→可動域が徐々に回復していく時期

こんな感じです↑

しかし、臨床で肩関節周囲炎患者を担当していると

ROM制限が結構あり動作時痛も強い など

炎症期と拘縮期に判断を迷う症例も少なくありません。

なので全ての症例が明瞭にこれらの局面を経過していくわけでは無いということも一つポイントです。

その中で大体で良いので患者さんがどの局面にいるのかを理解しておく事が大切になります。

先ず問診で聴取できる事として

・いつ頃から痛いのか?
・主訴は痛みがメインなのかROM制限がメインなのか?
・安静時痛と体動時痛(NRSやVASで評価)
・夜間痛の有無(夜間の覚醒回数・体動時痛・安静時痛・その経過)

この辺りの問診で病期は大体わかります。

また、夜間痛の判断ですが

重怠く脈打つ様な鈍痛で覚醒するレベルであれば炎症期の傾向で
体動時痛で覚醒する場合は「夜間痛とは別」かと考えています。※個人的な意見です

なので「夜間痛は安静時で覚醒する」のか「体動時痛で覚醒するのか」ということも判断材料になるかと思います。

2)疼痛部位からの原因の推測

圧痛所見やROMなどの客観的な評価が原因を探る上で重要になってきますが、先に問診の段階で大体の予測や優先順位を決めることも大切です。

2-1)肩関節外側の痛み

・三角筋を覆うような範囲は腋窩神経領域なのでQLSの腋窩神経の絞扼性神経障害
・SAB(肩峰下滑液胞)は肩甲上神経・腋窩神経・外側胸筋神経の支配も受けるのでSABへのストレスが原因で腋窩神経領域に症状がでることも考えられます。

2-2)肩関節前面の痛み

・上腕二頭筋長頭腱炎
・烏口下インピンジメント
・後下方の拘縮による反対側の前上方への骨頭偏位
・腋窩神経前枝の症状(LHB:上腕二頭筋長頭腱に沿って走行する)

後方、後下方の関節包の拘縮などがあると反対の前上方への骨頭偏位が起こるので、ここも頭に入れて評価します。

2-3)肩関節後面の痛み

・QLSでの腋窩神経の絞扼性神経障害
・肩甲切痕や棘下切痕での肩甲上神経の絞扼性神経障害

まだまだ沢山あるかと思いますが、臨床で僕が意識しているのがこんな感じです。

腋窩神経由来は結構多いので頭に入れながら、挙上時痛や反対側に手を伸ばす時など、腋窩神経の伸長やQLSが絞扼しそうな状況で痛みがでないかも聞けるとその後の評価が活きてきます。

3)糖尿病の既往(Hba1c値)

糖尿病罹患患者の10人に1人は肩関節周囲炎を発症すると言われるくらい発症率が高く、可動域制限が強く炎症期も痛みがなかなか取れない方もいるので必ず問診時に聴取したり採血データなどがあればHba1cの値なども確認する必要があります。


今日は以上です。

問診での丁寧な評価でその後の評価が活きてきます。

臨床での一助になれば幸いです。




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