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99%の努力 -やれば伸びる-

北海道内某所 

心臓リハビリテーションを通して、患者の身体と心を元気にしたい」と楽しそうに話すのは、心臓寛(仮名)理学療法士。昨年、全国で100人程度という心臓リハビリテーション上級指導士資格を取得した。患者の不安や悩みを把握し、退院後の生活イメージを実現するリハビリテーションを実践している。リハビリテーション室は、会話と笑いが溢れている。

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そんな心臓寛さんも、初めは人と話すことが苦手だったという。しかし、ある事をきっかけに人とのコミュニケーションを苦手から楽しいに変換させたという。本日は、ある出来事について心臓寛さんへインタビューをした。

-当時の感情について、名前をつけるなら何でしょうか?-


「僕の心臓のBMPは、190だったぞ」

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臨床実習

それは今から18年程前。当時、20歳だった心臓寛さんは、解剖学、生理学、評価学などの専門科目に励み充実した毎日を過ごした。臨床実習も科目単位に含まれており、卒業までに22単位取得しなければならなかった。臨床実習で初めての患者を目の前にした心臓寛さんは、知識以前に患者と会話が出来なかった。顔も引きつり笑顔にならない。

何を話せばいいのだろうか?

患者さんだから話せないだけでは?と思った心臓寛さん。「いやね、そう思い込みたかった自分がいます。患者さんじゃなければ話せるとね。コミュニケーションには自信があったわけじゃなかったのに不思議だよね」

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「不安を抱えたまま、僕は、相談も行動もできなかったんです。逃げていたんだと思います。」と語る。

友人の一言から世界は動き出す

夏、札幌ビール園は、大勢の客で賑やかとなる。夜空の下で、キンキンに冷えたビールは格別である。夜空の下で、キンキンに冷えたビールは格別である。友人8人で飲んでいると、定年を迎えた70代くらいのおじさんが隣の席に座った。友人は、隣の席に話かけおじさんは、昔ロシアへ行った話を楽しそうに話す。横でただ笑う心臓寛。

帰り道に友人から

心臓寛さぁ...年配の人と話すの苦手なんじゃないのか?

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「友人からの一言にハッとしましたね。あの一言が私を行動させた。確かに、年配の人と言えば、祖母くらいしか話をしたことがなかったんです。」

笑っていることは楽だけど、何もできていない。今までコミュニケーションから逃げて何となくやり過ごしてきた。友人の一言がきっかけとなり、心臓寛さんは考える。話をしたことがなかったから、話せないかもしれない。そう思った心臓寛さんは、夏休みを利用して港へ向かいます。勇気を振り絞って声をかけます。

やるしかない

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「ここ釣れますか?」

「昔、祖父から聞いたことがあったんです。釣り人に悪い人はいないって。港に行くと所狭しと釣り人がいるし、話す練習になるだろうなって思ったんです。とても緊張しましたし、心臓のドクンドクンする音が聞こえるんです。」

ドクン!!ド、クン!

ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク、ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク、ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク、ドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドクドク、ドクドクドクドクドクドクドクドクドク、ドクドクドクドクドクドク、ドクドクドクドクドク

「心臓の拍動がわかる。心臓は強く、ドクドクと拍動していた。緊張感よりも、こちらから声をかけに行動する一連の行為に対して想像しただけで緊張しました。」

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「釣りに詳しくない私に丁寧に教えてくださり本当ありがたかったです。毎日、テンションを上げて話をしていましたが、次第に楽しくなっちゃって気がついたら港で一緒に釣りを楽しんでいましたね。」毎日、港へ通っては人と話し、祖母にも積極的に話すことを繰り返したという心臓寛さん。

コミュニケーション障害

心臓寛さんは、この時の行動をきっかけに、人と話すことはこんなに楽しいことなんだという体験をしたのです。

コミュニケーションを通じて学んだことを聞いてみた。

①相手に関心を持ち、頭の中で想像を膨らませる。昔の話なら、若いときはどんな人だったのか、どんな夢を持って過ごしていたのかなど、自分の頭の中で想像を膨らませる。すると、疑問が湧くので質問することが出来ます。ただ、質問ばかりすると相手が疲れてしまうので、「昔はやんちゃだったんですね」など感想を話ことは有効だと思います。

②仕草や笑顔などの非言語コミュニケーションこそ意識する。視覚は、非言語コミュニケーションの7割を締めると言われています。前のめりで聞くぞという体制を心がけています。逆に相手の仕草や表情などを見て、配慮することもしています。

③話の間は必要です。無理に話そうとするとお互い疲れてしまう。コミュニケーションは楽しむものなので、気を使わせたら成立しないです。話をしたい方なら話を十分に話させてあげることが必要です。自分が話すのは相手が聞きたいと思った時だけにしています。結局、人って話をしたい動物なんです。

才能努力は、人が作り上げたもの

心臓寛さんは、積極的に手を挙げるタイプでもなく、友人も多くなかったそうです。取材を通して見えたのは行動するか、しないかです。釣り人に声をかけてコミュニケーションが取れることもあれば、失敗することもあった。その過程が心臓寛を成長へと導き、楽しいものだという変換を生み出した。

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人には、向き不向きというものはある。しかし、たいていのことは、99%の努力で解決が可能だということを心臓寛さんから感じた。

We can do it !

オバマ大統領が発した名言である。強い言葉で前に進み行動しようとする。不安や憤りに負けそうになるけれど、今までやってきたじゃないか、私たちは出来る。そんな強い言葉の力を感じてならない。

そう思ったら、そう

やれない、私にはやっぱり無理だと思ったら、そう
やれる!やれば伸びると思ったら、そう

釣り人に心拍数190bpm超えになりながらも行動した          

全ては99%の努力
やれば伸びる!

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理学療法士として日々、患者さんのために仕事をしています。そんな知識や技術をこの場で伝えていきたいと本気で思っています。ご批判や厳しい意見、大歓迎です。よろしくお願いいたします。