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『海月』 / ポルノグラフィティ 考察。


自分の書きたいことを書くということと、誰かに読んでもらうこととの整合性をとらないといけない。それをずっと考えていました。
けれど、「結局それは、読んでみて貰わないと分からないことだな。」と割り切って、ようやく記事にする決心がつきました。


何って?
もちろん、ポルノグラフィティのお話です。


私という人間を語る上では、切っても切り離せない、たとえ切り離しても絶対にまた生えてくる、それがポルノグラフィティです。

彼らについて語りたいことは数多幾千あれど、まずはやはり、彼らの生み出す魅力的な楽曲たちについてお話したいと思います。
…とはいっても、曲だってそりゃあ星の数ほどある。悩みに悩んで約1ヶ月。ようやく記念すべき1曲目を決めました。

今回は、ポルノグラフィティの『海月』という曲についてのお話です。


1. 『海月』 の収録作品について

『海月』は、ポルノグラフィティの通算47枚目のシングル『ブレス』に収録されたカップリング曲の一つです。

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表題曲『ブレス』は、劇場版ポケットモンスターの主題歌に起用されていて、優しく背中を押してくれるようなポップチューンです。(ちなみに、このブレスがリリースされる4ヶ月前は、ダブル不倫のドラマの主題歌となった「カメレオン・レンズ」という曲を作っています。振り幅…。笑)
そんな『ブレス』に収録されたカップリングは2つ、『海月』と『ライラ』です。後者のライラは、最近のライブでもアンコールの締めの曲として演奏されるなど、ファンの間でも知名度の高い曲となっていますが、私は『海月』の方を強く推します。ポルノグラフィティはカップリング曲に神曲が多いと良く言われているのですが、その中でも群を抜いて大好きな曲です。最近の曲の中では文句無しのNo.1で、過去の作品を含めても5本の指には入るくらい聴いています。それでは、なぜそこまで『海月』を愛しているのか、その魅力を存分に語っていきます。


2.『海月』の魅力について

まずは、百聞は一聴にしかず。

(ポップなサムネイルですが、しっかりとライブVerをフルで視聴できます。消される前に、どうかご視聴を…。)

いかがでしょうか。ポルノグラフィティのイメージをお持ちの方は、ギャップに驚かれるかもしれません。こんな曲も世に送り出せる引き出しの多さが、何よりの彼らの魅力です。
肝心の曲の中身についてですが、打ち込みを多用したEDMを彷彿とさせるサビは非常に心地よく、バックサウンドのメリハリが、クラゲが海を漂っているような浮遊感を演出していて、とても素敵です。Aメロ冒頭に低い音域から入り、サビに向かって徐々に高域へ抜けていくところも、まさしくクラゲが深海を泳ぎながら、海面へ上昇し陽の光を浴びるような情景を連想させます。このように、奏でられた音が見事にクラゲの泳ぐ背景となっており、曲の世界観が鮮明に描かれています。
過去の作品と見比べても、この『海月』ほど“繊細”に作り込まれた曲はあまり思いつきません。しかも、作詞作曲を行なったのがヴォーカルの昭仁さんということも重ねてびっくり。(昭仁さんが作る曲は、良い意味でとてもシンプルで分かりやすく、メッセージ性の強い曲が多いのです。)…いや、でもよくよくと考えると、昭仁さんが持つ感性って、ほかの楽曲にも表れている通りとても「ピュア」だから、この『海月』という曲も、ある意味で納得かもしれない。だって、この曲で歌っていることの本質も、とてもイノセントなものだと思うから。
どちらかというと“Don’t think, feel”な曲ですが、やはり歌詞も気になってしまいます。全てはふれませんが、特に好きな部分をいくつか抜粋してご紹介します。

3.『海月』の歌詞について

全編は、こんな感じです。

仄かな光 放ちながら 海を漂う海月たちは
何万年もどこに向かって泳ぎ続けてるの?

導く者の声を信じて 意思など捨てて ただひたすらに
ここにいることだけは 忘れないでと放つ光

Hold on いつか Hold on

眩いばかりの強さに魅せられ
生命が混じり  また強さを生む
何一つ変わってない 何一つ歪んでない
この地球(ほし)の決まりごとのもとで進む
古からの道

この世界に鳴り響いてる そのほとんどの 音が邪魔で
そんな時も聴いていたのは キミの声だけだったよ

Don't stop ホント Can't stop

それは運命に導かれたんだ
辿れば僕らは一つだったから
輪廻転生の 消えない記憶で
何度も出会っているのだろう
そしてまた新たな旅に出る

Hold on Hold on いつか Hold on

眩いばかりの強さに魅せられ
生命が混じり  また強さを生む
何一つ変わってない 何一つ歪んでない
この地球(ほし)の決まりごとのもとで進む
古からの道

無駄な言葉一つもない、洗練された詩文だなと感じます。
この曲の歌詞に関しては、全編に渡って暗喩が散りばめられているとか、おそらくそういうことはなく、クラゲをモチーフに、自然の理や生命の神秘を歌っているんじゃないかと思っているのですが、それでもやはり、深読みしたくなったり鮮やかな表現に魅せられる部分が多々ありました。

例えば、ここ。

眩いばかりの強さに魅せられ
生命が混じり  また強さを生む

何度も繰り返される、サビの一節です。この2フレーズが、『海月』という曲の心臓部だと思っています。(クラゲに心臓はありませんが…。)
私がこの詞から感じたことは、人の営みも、原理は同じだな、ということ。人は誰でも理想や憧れを持っていて、実際にそれらを目の当たりにした時、またはそれを体現する人と関わった時に、人はまた新たな可能性を感じて成長する。そんな、人の秘めた力に気づかせてくれる大切なフレーズです。
ところで、私は昭仁さんが表現するこの“強さ”ということばがとても好きです。強い、と聞くと、物理的な力の大きさや、他者と比べての優位性を連想してしまいますが、昭仁さんが自身で作詞された曲で使っている“強さ”は、これまたとても繊細で優しくて、脆い。そう、脆いのです。強さとは、それだけで成立するものでなく、何かと、誰かと共鳴して、理解し合って、補完し合うことによって始めて形を成すんだと、そんな思いが込められているのではないかと感じます。例えば、『Montage』というシングル曲にはこういうフレーズがあります。

強さだけ信じないで 弱さだと憎まないで
その意味に気付いて 君はモンタージュ モンタージュ

はっとさせられる、印象的なフレーズです。
強さを、単なる弱さを駆逐するものだと思わないで。弱さを認め合った先にあるのが、本当の強さなんだよ。そんなメッセージを受け取りました。


さて、『海月』に話を戻します。
ほかにはここも、興味深いフレーズです。

この世界に鳴り響いてる そのほとんどの 音が邪魔で
そんな時も聴いていたのは キミの声だけだったよ

とても不思議ですよね。だって、海を漂うクラゲのまわりには、「光」と「水」があるだけで、「音」も「声」も存在しないんだもの。じゃあ、なにが一体鳴り響いている?これも、人に置き換えるとなんとなく見えてきます。つまり、外界から得られる音ではなく、自分の内に響いている音。それも邪魔な雑音。そう、正体は、不安や悩みを抱え、苦しむ自分自身の声なのではないでしょうか。

こう読み捉えると、『ギフト』というシングル曲のあるフレーズを連想します。

どこかで僕を悪く言う声 耳を塞いでやりすごしてた
それでも聞こえる なんだ自分の声じゃないか

深読みと言うとそれまでですが、私はそう感じました。そして、そんな音を掻き分けても聴いていたのが「キミの声」。キミを特定することはできませんが、自分が歩んでいく道を指し示してくれている存在、その声なんだと思います。



まだまだ語りたいですが、今回はこの辺りで締めたいと思います。
少しでも多くの人に、ポルノグラフィティの魅力、『海月』という曲の魅力が、バタフライエフェクトのように伝わっていったら良いなあ、なんて思います。


水族館はクラゲのコーナーが1番大好きな、
私たじーがお送りしました。


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