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少年時代からの飽くなき探求心がリージョナルフィッシュの研究開発を突き動かす(グループリーダー 荻野哲也)

「昔から深海生物に興味があってこれまでずっと生物研究を追求してきました。研究成果が社会に還元されていく様子を感じられるリージョナルフィッシュの仕事は非常にやりがいを感じます」
そう話すのは、京大博士研究員として会社設立前からリージョナルフィッシュに参画し、現在は無脊椎育種グループリーダーを務める荻野哲也。
社員インタビュー第二弾では、リージョナルフィッシュ設立時から研究開発部門の中核を担う荻野さんに、同社への参画理由や研究開発のやりがい、いま会社が必要とする人材について聞きました!

荻野 哲也(おぎの てつや)
2019年京都大学農学研究科博士課程修了後、博士研究員を経て会社設立と同時にリージョナルフィッシュに参画。当初は魚類の研究に携わり成果を残した後に、無脊椎動物(エビや貝、イカ等、魚類以外の水産物)の研究を担当。現在は無脊椎育種グループリーダーとして、リージョナルフィッシュの無脊椎育種研究から養殖技術研究をリードする。

「同級生を見て憧れた、研究成果が手に取れる形で社会に還元されるやりがいのある仕事」

―――よろしくお願いします!はじめに、荻野さんがリージョナルフィッシュに参画されるまでの経緯を教えて下さい。

幼い頃から生き物全般の生命現象に興味があり、それを応用的に学びたいという思いから、大学では農学部を選びました。その後京都大学農学研究科にて修士号、博士号を取得したのですが、当時の研究対象は水産物ではなくゴカイという生物でした。もともと深海生物への興味が強く、「深海の海底火山に適応したゴカイの一種がなぜこのような過酷な環境でも生きられるのか」を解き明かすような、理学寄りの基礎研究に取り組んでいたんです。
ただその当時、同級生だった岸本(現・リージョナルフィッシュ研究開発部長)は隣でマダイのゲノム編集の研究をしており、22世紀鯛が出来上がる過程を横で見ていました。自身のテーマと比較して岸本のテーマは、研究成果が手に取れる形で社会に還元される農学分野の本流と呼べる研究で、ある種の憧れを感じていたんです
そんな中、博士号取得後の道を考えていた際に、木下先生(現・リージョナルフィッシュCTO)から「リージョナルフィッシュに参画しないか」とお声がけいただいたことがきっかけで、「自身もこのような農学の研究で結果を出してみたい」と思い、同社に参画しました。

―――リージョナルフィッシュ参画の際に水産物の研究を始めたのですね。現在、リージョナルフィッシュの研究開発部はどのようなことをされているのですか?

研究開発部の担う領域は大きく2つあり、一つはゲノム編集技術を利用した遺伝子研究(育種)分野で、もう一つは養殖分野です
自身がリードする無脊椎グループも、遺伝子の機能を探し出して編集する場所を決める遺伝子研究グループと、生物を効率よく生産するためのアプローチ法を見出す養殖グループに分かれます。
遺伝子研究では、文献やモデル生物での検証などから有用な形質をもたらす標的遺伝子の候補を探しています。そして候補として選んだ遺伝子のDNA配列を基に、ゲノム編集ツールをデザインして、卵にマイクロインジェクションを行い、ゲノム編集による品種改良を行います。養殖研究ではIoT化を進めて効率よくデータ取得し、水槽の形状・水流・給餌量などの様々なパラメータの効果を比較検討しています。時にはAIを活用しながらそれぞれの品種の特性に合った最適な養殖方法探し出していく研究をしています。

「先行研究が少ない中で試行錯誤をしながら研究できることが、無脊椎研究の醍醐味」

―――荻野さんが担当する無脊椎というとエビやイカなどさまざまあるかと思いますが、研究や養殖において魚とは異なるポイントはありますか?

一般的に、無脊椎動物は魚よりも遺伝子研究が難しいと思います。
皆さんは人と魚は全く違う生物だと思うかもしれませんが、実は両方とも脊椎動物なので遺伝的にはかなり近いんです。それと比べると、無脊椎動物は脊椎動物以外になるので、脊椎動物の中のひとつの分類群である魚類よりも遺伝的には遥かに多様で、一種一種が全くの別物だと感じています。
また、脊椎動物と比較して無脊椎動物の遺伝子のはたらきに関する知見は非常に限られています。先行研究が少ない中で、自ら試行錯誤して研究を進めていくことが無脊椎動物の研究の楽しみの一つでもありますね。

「リージョナルフィッシュは研究分野だけでなく、水産物生産まで一貫して手掛けるからこそ、スピーディな研究ができる」

―――荻野さんが感じる、リージョナルフィッシュで働く魅力について教えてください。

自身の研究と社会のニーズが一致しており、研究結果が素早く社会実装に繋がるところが最も魅力的な点です。
私のような研究者としては、対象とする生物の遺伝子の機能を知りたいという欲求があるのですが、ゲノム編集が非モデル生物でも関係なくこの欲求を満たしてくれます。ノックアウトによる表現型を予測して社会のニーズに合致した新たな品種を生み出すことができる上、それが食品・商品として評価されます。実際に品種改良をした水産物を研究成果として手に取って、社員同士で意見を出しあえるのは楽しいですね。
新たな分野での研究が直近の社会ニーズに合致することはあまりないことではないでしょうか。

またリージョナルフィッシュは大学の研究室と似た雰囲気で、研究員が働きやすい環境である一方、大学の研究よりも幅広い領域に携わることができるのが非常に大きな魅力です
遺伝子研究から水産物生産、その先では販売までをメンバー皆でやっていくので、一人で遺伝子研究をするだけでは見つけられないような養殖や消費現場ならではのフィードバックを沢山受けることができます。
現場からのフィードバックを受けることで、研究目的が明確になり、遺伝子研究のPDCAも回しやすくなり、ひいてはスピーディに良い研究を行うことができます。

「多様な人材とアイデア次第で研究可能性は広がり、それが社会実装に繋がる」

―――水産物生産・販売までを手掛けていることが、研究の効率化に繋がるのですね。それがリージョナルフィッシュの強みにもなっているのでしょうか? 

そうだと思います。また、最近では人材も増え、研究開発部内だけでも多様なメンバーが揃っていることも強みだと思います。
それぞれの魚種のプロフェッショナルがいたり、ヒトの培養細胞しか触ってこなかった水産と全く関係のない基礎研究をメインにしてきた人がいたり、人材の多様性が、新しいアイデアを生むことのできる秘訣になっています。
今後ゲノム編集水産物の市場が大きくなれば、そこからはさらに、社会が求める水産物を実装するためのアイデアがより重要になるのではないかと考えています。

このような多様な人材とチームとして研究を進めることは自身のやりがい・成長にも直結しています。
これまでは、研究者である以上、自ら手を動かして自ら成果を上げなくてはいけないと思っていました。一方、最近は自分で手を動かしたものだけでなく、チーム・会社全体として成果をあげることを非常に楽しく感じています。自身としてはチームをリードすることで、会社全体で新しい成果をどんどん生み出せるような人材でありたいと思います。

「熱意と協調性を持って研究に取り組める方や、養殖経験が豊富な方に是非来ていただきたい」

―――素敵なリーダー像ですね!荻野さんは今後どんな方と一緒に働きたいですか?

一番は、熱意と協調性をもって研究に取り組める方ですね。熱意は研究者である以上欠かせないところですし、チームワークを大切にしてチームとしての成果を喜んで出していけるような方と一緒に働きたいです。
また、新たなジャンルに精通した人も魅力的です。いまでも研究開発部のメンバーは多様性に富んでいますが、今後でいえば、医学系に詳しい方などもいたら面白いなと思います。
狙って変異体を作ることは、病気の原因となる遺伝子変異の解明を目指す医学的な研究とは方向性が逆ではありますが、病気の治し方を突き詰めて研究している経験は、ゲノム編集による品種改良にも活かされてくるのではないかと思います。

また、いま足元では特に、養殖経験が豊富な方にも是非入社いただきたいです。
設立からこれまでの2年間は、ゲノム編集で新しい品種を開発することに注力していましたが、これからは「開発した魚たちをどうやって育てていくか」が大事になる場面だと思っています。さらなる飛躍のためにも、ここでしっかり土台固めをする必要があるので、色々な魚種を扱えたり、種苗生産をマネージできたりする養殖経験が豊富な方を求めています。
養殖分野をご自身で回しつつも、部下も動かせ、その上で遺伝子研究側とも連携がとれるとなおいいです。養殖現場からのフィードバックは、遺伝子研究の前進にもモチベーションアップにも繋がるので、スムーズな連携を実現できるのが理想的ですね。

リージョナルフィッシュは、他の企業や大学では出会えないほどのさまざまな品種を扱っていますし、新たな生物を生み出すことができる、あらゆる可能性を秘めた会社です。常に新しさと触れ合っていけるはずなので、熱意を持って研究に取り組める方をお待ちしています!

―――無脊椎グループをリードする荻野さんの貴重なお話でした。本日はありがとうございました!

いまリージョナルフィッシュは人材採用を強化しています。
是非私たちと日本の水産業界を変えていきましょう!



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