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遠野遥氏4作

 朕、YouTubeでたまたま流れてきた遠野遥さんの雰囲気に一気に引き込まれてしまったやで。芥川賞受賞インタビューの動画で、、、長身痩躯?(動画なのでサイズ感的にそう思っただけやから実際はわからんやで。身長も非公開っぽい)で憂いを帯び過ぎている感じがどタイプ、というかその動画のコメントにもいくつか書かれてたけど戦中戦後あたりの文豪にいそうな雰囲気が良すぎるやで!作家の容姿に一目惚れして「読みたい」と感じたのは初めてやで。で、実際に芥川賞受賞作品である『破局』を読むと雷に打たれたような衝撃が走ったやで。そして今、世に出ている単行本はハードカバーで買わせていただきましたやで!雑誌『すばる』とかに載ってる記事も読みたいが、、、!
 前置きが長くなってしまったが、読んだ感想を今から綴るやで!
(⚠️あらすじは読書メーターからやで⚠️)

✂︎----✂︎----キリトリ----✂︎----✂︎

⭐️デビュー作『改良』2019年⭐️

⭐️あらすじ
 女になりたいのではない、「私」でありたい――ゆるやかな絶望を生きる男が人生で唯一望んだのは、美しくなることだった。

⭐️感想
 これがデビュー作!?初っ端から火力やば、っていうのが朕の率直な感想やで。
 主人公の「私」は美しくなる手段として女装という選択肢を取っているのであって、生物学的には男性であり恋愛対象も女性である。でも小学生時代、同級生から「お前女に興味ないよな。男が好きなんだろ、いいよ俺そういうの偏見ないし」という旨の言葉を向けられてしまう、なんというか今は「多様性多様性!」と叫ばれてる時代でLGBTQについて不完全ながらも以前よりは認識されつつあるけど、そういったマイノリティにも属することない趣向を持っている人を結局無意識に排除したがる世間様の本質を抉り出した作品だなと思ったやで。「私」が女装して街に出向いて男性からナンパされて「私」の美しさを他者に認めて欲しいっていう願望は、ノーマルの男性がイケメンになって女の子からかっこいいと言われたいという願望と同義であるはず、そういう承認欲求の観点から見れば同じであるはずなのに、共感性が低いとなるとどうしてここまで違ってくるのかと投げかけられた気がしたやで。
 後半エグい展開になるけどぬるっと終わって読者が突き放される、そんな作品やで。

⭐️芥川賞受賞作『破局』2020年⭐️

⭐️あらすじ
私を阻むものは、私自身にほかならない。
ラグビー、筋トレ、恋とセックス――
ふたりの女を行き来する歪なキャンパスライフ。

⭐️感想
 芥川賞受賞作品って読者に「喜怒哀楽」のどれでもない感情を生み出す力があるやで、恐ろしや。
 たぶん、主人公の「私」って作者遠野氏そのものの感性がだいぶ解像度高く反映されてると思うやで。人を理解しようとする姿勢を見せてるように見えるけど実はそうじゃないだろ!と言いたくなるような表現があってかなりサイコパスを感じたやで。

勃起した男性器を押し付けられるのは、いったいどんな気分か。興奮するか。もっと押し付けて欲しいか。熱いか。硬いか。何とも思わないか。どうでもいいか。汚いか。不快か。頭にくるか。悲しいか。苦しいか。泣きたいか。許せないか。早くこの時間が過ぎて欲しいか。

↑印象に残り過ぎた箇所の引用やで。このマシンガン疑問の圧恐ろし過ぎやで。
 これもまた青ざめるようなラストを迎えるやで、というか登場人物全員どこか破綻してて後味悪い終わり方するんやろなっていうのはだいたい予想はつくやで。でも、でも、あんなラストは想像の34度くらい斜め上やで。

⭐️『教育』2022年⭐️

⭐️あらすじ
一日三回以上オーガズムに達すると成績が上がりやすいとされていて――。勝てば天国、負ければ地獄の、規律と欲望が渦巻く学校。私の幸せは、正しいのか?

⭐️感想
 おそらく全寮制の近未来的な学校に通う、高校生(?)男女の話。あらすじからして設定狂ってるのは丸わかりなのはさておき、それ以外の主人公たちの状況があまり説明されていなくて、とにかく閉鎖的であることが強調されていたなーという感じやで。成績で生徒の格が決まる、しかし試験内容は朕たちが習ってきた国数英などではないし、先生は授業を行わない。ファンタジー要素はないのに現実味がない、それでいてなぜこんな今を生きる朕たちへ強烈なメッセージを残すんだやめてほしいやで、、、。
 とにかく主人公のクズさがクレシェンドで増していくやで。朕はジャンプをはじめとする少年青年漫画愛してて、「強くなりたい、、、!なんて俺は無力なんだよっ!(挫折を味わい綺麗な涙をボロボロ流す)」というな主人公も好きなんやけど、この作品の『私』のような自己中心的で人情味に欠けるようなキャラクターを見てると「やっぱ人っていうのはそうよな、汚ねぇよな」と正直安心できるやで。

⭐️『浮遊』2023年⭐️

⭐️あらすじ
高校生のふうかは会社経営の男の家で柔らかいソファに座り、男の元恋人を象ったマネキンの下、夜毎ホラーゲームで悪霊たちから逃げ続け――。

⭐️感想
 初の女性主人公。またまた登場人物の状況についてほぼ説明がない。どうして、jkのふうかちゃんが父親と同世代の男と同棲しているのか、親はそれを知っているのか、そもそも二人はどうやって出会ったのか。「読者の想像にお任せします」レベル5兆やで。ネットに転がってるレビューチラ見したけどやはりみなさん「よくわからない」とのことやで、朕もそう思うやで。
 この物語は起承転結の波が浅くて、ずっとゲーム状況の説明ばかりで正直5分の4はつまらんかったやでー!でも、さすが遠野遥さん。最後まで読むとタイトルのごとく「浮遊」してる感じになってしまったやで。他の作品と比べるとパンチは弱いかもしれないけど、日常のふとした不穏な空気を切り取って拡大させたんかなって感じ。
 朕の考察として、ふうかちゃん、実は生きてる人じゃなくてマネキンだったりする?と思ってしまったやで。部屋に置かれてるマネキンが想像して補填した情景を朕たち読者は見せられてた説あるやで。ラストの展開はそれを匂わせてるような、、、。

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 全部是非手にとってみて欲しいけど、朕の1番のオススメはやっぱり『破局』やで⭐️

てかなんか「・」を「⭐️」に置き換えてポップな感じにしたかったのに内容が全然ポップじゃないやで。ま、朕はワドルディだからいっか⭐️

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