見出し画像

劇場映画鑑賞記録『フォロウィング』(’98)/25周年HDレストア版


時系列のシャッフル型サスペンスの傑作

クリストファー・ノーラン衝撃のデビュー作

    『フォロウィング』

 1998年/イギリス/モノクロ/70分


   監督・脚本・撮影・編集
   クリストファー・ノーラン


先日、クリストファー・ノーラン監督のアカデミー賞作『オッペンハイマー』を鑑賞してきたのですが、今回は新作から一気にデビュー作に遡りのリバイバル上映がありまして、観てまいりました。
この『フォロウィング』なんですけど、私は一度も観た事がありませんでした。なので凄い楽しみで、しかも劇場リバイバルでリマスター版で観れた事がとても良かったです。ノーラン監督が日本での上映を熱望していたとかで、どうしても観て欲しかったんでしょう、きっと…。ノーランファンの私としては嬉しい限りでした。

劇場パンフレットと特権のポストカード
フォーラム山形のシアター3

1週間の限定上映で、山形は4/19〜25まで。その日はフォーラムデイで料金も1100円で見れました。

でもコレはとても面白かったです。えっ、これマジでデビュー作かよ!って感じの内容で、最初からこんなエグい作品撮ってのかよ!ノラちゃんは!ってそんな感じ…。でもクリストファー・ノーランって、7歳くらいの頃から8ミリのカメラを回していて、スーパー8から16ミリなど、昔っから映画小僧だったらしいんですが、映画学校で映画を学んだ経験がないとかで、全て自主制作で試行錯誤を繰り返し、映画作りを学んだようです。

作風は、フィルム・ノワールのクライムサスペンスだと思いましたが、もうこの頃から時系列をバラしていて、新作の『オッペンハイマー』も、もちろんバラしてましたけど、原点過ぎる本作は、最初から真骨頂がここにあったというのに驚きです。なので、初めからこのスタイルを現在に至るまで、貫いていた拘りが伺えます。

デビュー作とはいえ、それまでの経験、ノウハウや作品のビジョンが明確で、新人という枠に収まってない。

本作を観る前は、時系列をシャッフルしたのは、編集の段階で偶然出来上がって面白かったのでそのまま作品にしてしまったのかな、と思ったのですが、この内容を見るとシャッフルありきの脚本を始めから書いた印象。これは本人に聞いてみないと分かりませんが…、なので順撮りしてって、編集でバラしたというよりかは、トランプゲームみたいなものを観客に仕掛ける感じ、を狙っていると思う。

って、訳わからん事を言ってますが、劇中面白いな、と思った事が多々あって、例えば主演の2人が盗みに入る場面で、部屋のドアにバットマンのマークがあったり、小箱に入った小道具を効果的に使っていたりして、これはギミックとして観客に印象づけるにはアイテムはうってつけだと感じました。私はちょっと『市民ケーン』の映画を思い出してしまいましたが。

映像もモノクロというのも、制限の中のひとつという事でしたが、脚本の段階からモノクロを想定していたとか、でも自主制作映画はカラーよりモノクロの方が安っぽく見えにくい、という利点もありそうです。
劇中のサウンド、音楽もノーラン映画の特徴ですが、今回は低予算の映画というので、観客をそれらの要素から遠ざける効果もあって、観客をストーリーに引き込めればサウンドは重要な要素のひとつになりそう。低予算の映画では銃はなるべく使わない方が良さそうで、本作はハンマーが代用として活躍。

本作は監督、脚本、撮影、編集をノーラン自身が担っての、まさに映画制作のお手本のような映画で興味深い作品でありました。



2024 / 4/24
フォーラム山形シアター3にて鑑賞


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?