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【男料理馳走帖①】冬の鍋はワンダーランド

 冬の味方はなんと言ってもお鍋だ。なんとも身体があったまる。野菜も取れるし、支度も楽だし、後片付けも面倒なことはない。品数のことを考える煩わしさもないのでお鍋に精神を集中させることができる。
 お鍋についてあれこれ思いを巡らせることといえば、お鍋の具をどうするか。まずは主役を決めなきゃ。お肉か海鮮か、野菜という手もあるが、豆腐でもいいし、海藻やきのこ、練り物ならいっそおでんもありだな。お肉にしても牛豚鶏、バラもロースもモツでもいける。羊やレバーは焼いた方が好きだな。海鮮もブリやシャケ、タラにハタハタ、牡蠣、食べづらいのだがカニも外せない。
 メインが決まったら、脇役もいろいろ考えて選ぶ。やはり組み合わせの良いものを選んでいく。すき焼きの様に定番のわき役がお決まりのものもあるが、メインを想定して相性の良いもの、結局は自分食べたいものになるのだが。
 お鍋の具は自分から積極的に主張してくるものも良いのだが、自分自身が周囲の味を吸収して頭角を現すものもいて頼もしい。
 もう一つ選択に困るのがスープである。最近は様々なお鍋の素がすぐ使えるようにパックされて売っている。その数の多さたるや、スーパーに行くたびにコンテストの審査員になった気分になる。北は北海道、南は九州・沖縄まで、各地のご当地お鍋のスープが所狭しと並んでいるのは圧巻である。そのうち具材を考えながら、並行してスープの味も想像するようになる。味噌味にはシャケと牡蠣に大根がいいかな、白物野菜は塩ベースの鳥スープかな、キノコと豚バラはあっさり醤油がいいな。やべぇ、よだれが・・・。
 お酒を飲みながら鍋を突くもよし、フーフー言いながら仲間とくだらないネタで盛り上がるのもよし、やはり鍋は冬の柱石といえる。
 忘れてならないのが、最後の締めだ。ご飯を入れておじやにするか、うどんやラーメンで飾るか。お鍋がすっからかんになると、一仕事をやり遂げた達成感に心が躍る。
 最近はあご出汁のスープに、塩味の効いたタラとねぎの白いところを三センチのぶつ切りにして、湯豆腐にする。たまらん。
【REG's Diary  たぶれ落窪草紙   1月19日(金)】


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