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派生含む「ゲッターロボ」作品リスト

漫画版がぶっ刺さって色々調べ始めたは良いものの色々ありすぎて情報散逸しすぎていてちゃぶ台返したくなったので自分用にまとめたリストとメモ。携帯不調で各種資料が吹き飛んだ悲しみを踏まえてこっちにも残しておく。


【 東映アニメ版 】

原案を石川ゲッター無印Gと共有しているもうひとつのゲッターの原点。(東映版號は未見)(おそらく石川漫画版はこれを見ている想定で描かれた。ただし見ていなくても漫画単独で読める)
映像化作品はいくつかあれど、流竜馬の本質「確固たる強い意思=理性を持つがゆえの踏み躙られたもの達の怒りの代弁者」という部分をはじめ、作品の根底にあったもの(わかりやすいところだと「協調性」)をきちんと描けているのは2024年に至っても東映版のみである。
元祖スーパーロボットと言えばマジンガーだが合体変形ロボットはゲッターが始祖、ロボットものに付き物のドリルの原因は多分ゲッター2などロボットアニメ史としても重要な作品。
三人組のチームものとしても初期の作品になるだろう。(三人組戦隊物のサンバルカンも81年とゲッターの後。なんなら戦隊物自体がゲッターの後、75年からだったのには驚いた)(空・陸・海/バランス・スピード・パワー/熱血漢・クール系・三枚目╱赤・青・黄の割り当てとか後には典型例になる要素も見られる)
作画面も作劇面も手探りだったのかなとは作品通して見える部分があるが、全体的な雰囲気に90年代勇者シリーズに近いものを感じて世代だった私にはとても見やすかった。
女性の描き方が秀逸で非常に現代的でもあり、1974年にこれができていたなんてと驚いた。
無印、G、號はバンチャやアマプラ東映チャンネルなどの月額サービス見放題に入っていて割と選択肢があるが、劇場版三作品はアマプラレンタルくらいしか配信が無い。一作目だけならバンチャにもレンタルがある。
と思ってたらいつの間にかYOUTUBEでもレンタル可能になってた!!(2023.02.25)
劇場版は一作目と二作目が明確に繋がってるしどうも劇場版は劇場版でパラレルワールドっぽい感じ。個人的には二作目が好き。

無印→G(1974~1976年まで連続して放映された)

グレートマジンガー対ゲッターロボ(75年3月。桜多コミカライズあり)
グレートマジンガー対ゲッターロボG 空中大激突(75年7月。後述する石川コミカライズあり)
グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦!大海獣(76年7月。後述する桜多コミカライズあり)

(91年。様々な設定にマジンガーっぽい影響がある。無印G以上に石川漫画版とはキャラデザもストーリーも異なる)

東映版は2022年8月現在までにLDやVHS、そしてDVDが発売されている。
無印Gの廉価版DVDは、それ以前のDVDBOXの単品売りといった感じで、映像特典は収録されている様子。
ただし、過去発売されたDVDBOXには特典でポピニカという玩具と各種情報をまとめたブックレットが付属していた。このブックレットがすんごい。情報の信頼度も高く、初期案や元シナリオのあらすじまで網羅しており没部分に何があったのかまでわかる。漫画版にも関係する情報がたっぷりでマニアにはたまらない一冊。一部はここにまとめてある。

【 石川ゲッター 】

案外電子書籍は出ている石川漫画版ゲッターまとめ。
基本筋、絶望的な状況下で生き足掻く若者たちの重くてシリアスな戦争ものに近い。種の存亡をかけた生存闘争。
ヤクザものとかでは無い。エロは皆無だしセクハラや下品ギャグすらほぼ無い。OVAをはじめとする公式未監修作品は忘れて読んだ方が良い(発表年代考えてもそれらからの影響があるとは思いにくい。チェンゲとネオゲがギリギリ真とアークの連載に被るくらい)。全体的に東映版G後半を更に重くエグくしたような架空戦記ものだと言った方が近い。
列伝が一番軽い。ついで劇場版コミカライズと学年誌版。サーガ版は地獄。(っていうか明確なギャグとかでない石川作品にバイオレンス系ヒャッハー作品はむしろレアで、大体人の心を持った人間が正気のまま地獄を見る)
石川作品は順番に布石を拾いながら読み進めるタイプで現在物理書籍で入手できる新装版アークだけ読むのと、サーガを全て通しで読むのとでは感想が随分変わった。
多分石川先生が考えた読む順番は無印G→真→號(→アーク)。
実は「ゲッターロボサーガは(上記の順番で言うと)號までで少なくとも一度は完結している」と読み取れる石川先生ご本人によるインタビュー内容や当時資料が存在している。

サーガ本筋だけで読めるようにはなっているが、無印Gには東映版や学年誌版などを含んでいた可能性が高い。(號も含んでいたかもしれないので要検証)

漫画サーガ版(ゲッターロボサーガの本筋。厳密には號までだと思われる。ゲッターロボの原典のひとつ。双葉社刊行サーガ版での電子書籍あり。物理書籍はアーク以外絶版)
学年誌版(小学一年生と四年生版がある。電子書籍あり。物理書籍はジュブナイルという一冊にまとめられているが絶版。ジュブナイルには予告漫画や扉絵などの電子書籍未収録のものも含まれている)

スーパーロボット列伝(フィギュアだかの特典小冊子が初出。ダイナミック系大集合。電子書籍あり。あくまでオマケみたいな内容でサーガとは別筋)

無印Gオリジナル版(物理書籍のみ。連載当時の誌面を再現したもの。サーガ編集前の状態。台詞はてんとう虫コミックス版らしい)
グレートマジンガー対ゲッターロボG(大都社のゲッターロボアンソロジー「ゲッターロボ大決戦」にしか収録が確認できていない。絶版。電子書籍も無い。雰囲気学年誌版に近い)

*どうも漫画版無印G(後にサーガ編集された本筋)と同時期に石川先生が描かれた学年誌版と劇場版コミカライズは、石川先生の中で大きな違いはなかったように感じられる。劇場版は本編とコミカライズを比べれば両方に「泣くのは戦いが終わってから」というG移行初期案に通じる内容があり、漫画版ではそれを前提として號以降も話が展開されているように思う。東映版と漫画版の違いのひとつもこの二作品を比較することで明確となる部分があり、ゲッターロボを読む上ではこのコミカライズや学年誌版も重要かもしれない

*双葉社の漫画サーガ版は後年追加エピソードなど含め再編集されたもので、それ以前のてんとう虫コミックス、大都社Stコミックスなどは台詞や一部シーンなどが異なる。
また、掲載からサーガ単行本化までが双葉社かつ連続して行われた真ゲッターですらスパロボアンソロ7冊→総集編雑誌、さらに総集編雑誌→サーガ単行本と細かく変更が入っている。(より人物や物語に合わせるための変更疑惑が高い)

*ゲッターサーガに関連するらしい石川作品

全集におけるインタビューで「ゲッターロボサーガはそれ単体で描かれている」「他の世界観との繋がりは(現状)無い」と読み取れる内容があり、漫画版においては重要性は低い。理解の促進には繋がるが読まなくても「ゲッターロボ」の読解には問題が一切無い。
正直言うと個人的に「ゲッターロボ」の読解に一番必要なのは「協調性」と「ダーウィンの進化論」を調べ直すことと論理的思考で考え抜くというただそれだけだった。
むしろ「ゲッターロボの血脈」を元に再構成していると思われるチェンゲや、虚無戦記からデザインや設定を取り込んでいるらしいOVA作品(特に新ゲ)の考察にこそ重要。
それでも、というなら「デビルマン」と「魔獣戦線」を最初に読むのを個人的にはおすすめする。特に「デビルマン」はダイナミック作品全体的に、「魔獣戦線」はチェンゲの読解には必須レベル。他は正直あらすじ見て興味あるのから読むので問題ない。

ゲッターロボに限らず一番揃ってるのがeBooks。これは古い特集なので作者名とかで検索するともう少し出る。
シーモアにもゲッターロボシリーズは配信されてる。

「ゲッターロボ」と他作品の関係性についての考察は、核心部分のネタバレを含むが以下参照。

【 よく聞く昭和ゲッター 】

桜多吾作版(学年誌連載。無印とG。決戦!大海獣コミカライズ含め大都社のゲッターロボアンソロジー二冊に収録されているが全話収録されていない。絶版。電子書籍も無い)(大全によればグレートマジンガー対ゲッターロボは双葉社グレートマジンガー四巻に収録されているらしい。電子書籍などは未確認)
アンソロジー大決戦を入手したので無印版10話までは読んだ。序盤は東映版のエピソード汲んでる話が多い。パッと見は石川版より大人しいけど、内実はこっちのがお行儀が悪く物騒で仲間相手にもつらっとしねとか出てくる(石川版は案外使われないし、喧嘩しても仲間に言ったことは無い)し、人間の負の面を出してくるタイプな作家さんなのかなんかどっかギスギスしてるというかなんというか。噂には聞いてるマジンガーシリーズの片鱗を見た気がした。

安田達矢版(学年誌連載。Gの途中からと號も担当されてたようだが双方よくわからない)など他にもある様子。

【 永井ゲッター 】

デビルマンVSゲッターロボ(2010年。東映アニメ劇場版の前日譚になるらしい)
魔王ダンテVSゲッターロボG:2011年~2012年

石川先生と共に原案者となっている(実際主に無印中心にデザインやアイデアは永井先生の物があるが、話は基本的に石川先生独自のものだというインタビューなどがある)永井先生が描いたゲッター。電子書籍は無い。
幻冬舎のゲッターロボだけのアンソロジーにも掲載があるとかなんとか。

なお「デビルマン」に関してはダイナミックヒーローもの作品のマスターピースでもあるため、ゲッターロボに限らずマジンガーなど含めダイナミック作品を深く知りたいなら絶対読んだ方がいい。これ読まないとダイナミック作品の考察は始まらないレベル。
またOVA「新ゲッターロボ」に関しては、石川ゲッターと並ぶ反転ベースのひとつが「手天童子」であるし、その結果本質的に一番近いのは「ガクエン退屈男」なので正直あの作品について知りたかったら石川ゲッターの他は石川作品より先に永井作品のこの辺読んだ方がいいと思う。

【 その他 】

ダイナミックヒーローズ
アニメ版ダイナミック作品大集合みたいなフルカラー漫画。アニメーターで漫画家の越智一裕さんとダイナミックプロの名義、しかも小松原氏の監修も受けていたっぽく内容はお墨付き。登場作品は全て終了後の設定で東映劇場版も過去にあったとなっている。電子書籍全四巻。ゲッターチームは出番少ない(ストーリーのメイン格では無い)が一巻、二巻、四巻に出る。東映アニメ版好きならオススメ。

スーパーロボットミュージアム ゲッターロボVSゲッターロボG
97年。漫画版真ゲッター1話をベースにしたドラマCD。G終了後の東映版(+漫画版)設定。声質は異なるがキャスト、使用BGMも東映版。演出も東映版プロデューサー勝田氏が担当している。ボーナストラックとしてテレビまんがアクションシリーズというのも復刻収録されている。
実はとても漫画版に近かったのではと考察を進めるにつれ思い始めた。竜馬と隼人での台詞の入れ替えも仕込まれている。

ゲッターロボ大決戦
99年。当時連載前だったアークを除いたゲッターシリーズだけのPSゲーム。ジャンルはSRPG。キャストは竜馬だけが変わらず神谷明さん。漫画版準拠の荒っぽい神谷リョウ、漫画版無印Gデザインの初代ゲッターチームや漫画版デザインの號チーム(これらのデザインでのアニメムービーは21年現在これのみ)、ゲームオリジナルの女性のみのゲッターチームとゲッターロボ斬など結構貴重。
難易度は高い。精神コマンドなんて無い(個性として各人ひとつの能力を持つがそれだけ)、攻撃回避等に%表記などない、そもそも相手がどう対処してくるかわからない、など現実的といえばそうだが近年のスパロボのつもりで挑むと何回でも死ねる。ゲッターロボという作品自体、死が間近にある戦場を舞台としていた事を考えればそれを再現したかったのかもしれないとは思う。
合体シミュレーションがとても面白い。サンドイッチの恐怖を僅かなり味わえる。

スパロボシリーズ
超有名クロスオーバーシリーズ。元祖スーパーロボットマジンガー、合体変形ロボットの祖ゲッター、リアル系ロボットの祖ガンダムで御三家と言われるほどの常連。
一次Zまでは東映版、以降本筋ではチェンゲ。ネオゲはRとGC(移植XO)、新ゲはNEOのみでの参戦。
新スパロボだけは漫画版に近いゲームオリジナル設定(キャストは東映版)となりゲッターチームの顔グラなどを石川先生が描き下ろしている。
真ゲッター2、3の全体像などはスパロボ(第4次?)のために描き下ろしたものが初出となるらしい。
スパロボはテキサスマックに変な訛りがついた原因でもある。本来新ゲにしか無い「ゲッター線に選ばれた竜馬」設定などが他名義でも多用され(調べたところ新ゲの台詞にはそうは明言されていなかったため、そもそもが新ゲ設定を下敷きにしたスパロボ発祥設定の可能性がある)、竜馬がむしろ慎一さんなチェンゲの作風相まってスパロボユーザーに誤解を与えまくってる節もある。
ZVXT30の本筋スパロボは同一ライターがシナリオ担当しているが、なんか段々質が落ちゲフンゲフン正味バンナム自体ガフンゴフン。
ぶっちゃけこのライター、ゲッター線に選ばれた竜馬とか使いまくり、挙げ句の果てには竜馬だけで問題なさそうなゲッターロボとか三つの心の意味なにもわかってないと思われる内容を書き続けてるっぽいので原典に近いのがやりたいならZより後の本筋スパロボは候補から除外していい。
東映版名義か携帯機シリーズが無難。アプリは知らぬ。
(東映版名義の時の方がまともに漫画版の要素を取り入れていた節がある)
自分でプレイした中だとMXが面白かった。難易度も低く初心者向けと言われるらしい。
フォロワーさんオススメは携帯機のW(私は未プレイ)。

・A.C.E 3
07年のPS2ゲーム。ゲッター知る前にドはまってたのに書くの忘れてた。
ソウルシリーズやブラボ、エルデンリングなどで知名度が上がったフロム・ソフトウェアはアーマードコアなどのロボットものでも有名でこのシリーズの開発元でもあった。(Rから先は知らない)
クロスオーバー系の3Dロボットアクションゲームなのだがアクションゲームとして出来がいい。特にマクロスなどの変形機体の操作感、本編を良く見て作られただろう動きの丁寧さにはどれも驚いた記憶がある。
3にはチェンゲが参戦しているのだが、そもそもこのゲーム、ブリーフィング画面がフルボイスをはじめ、収録音声量がとても多い。限定版だとBGMも原曲がかかる。確かチェンゲはHEATSだったはず。
ゴウチームでの真ゲッター、ルート分岐で竜馬のブラックゲッター、全シナリオと特定ミッションクリアで竜馬隼人弁慶での真ゲッターが使えたはず。
原作再現パートは多くはないが、直接ガチャガチャ動かしてお声聞きたいという欲求はかなり満たされるだろう。
注意してやり直してみるとクロスオーバーを用いて漫画版や東映版が描いていたテーマ性部分を再構成したようにも思う。

・機動戦隊アイアンサーガ
予想外の伏兵。大陸製のアプリであり、個人情報の取り扱いなどには不安が残るのは先に記載しておく。
頻繁に復刻はされないがチェンゲ名義でのコラボがあり、機体では初代、G、真ゲ、真ドラ(大決戦版)が、パイロットとしては竜馬、隼人、弁慶、早乙女博士が実装されている。図鑑でのキャラと機体の閲覧はコラボ期間外でも可能だが、入手はコラボ期間中でなければ不可能。
名義としてはチェンゲだが、本音では漫画版やりたかったんだろうと思われるためここに記載する。コラボストーリーも見る限り、スパロボよりゲッターやってる。

〖 ノベライズ 〗

INFINITISM以外は電子書籍が無く、物理書籍も絶版。粗方プレミア価格で読んだのはINFINITISMのみ。
ダイナミック公式(に近い)作品は最初のスーパーロボット大戦だけだと思う。

スーパーロボット大戦(98年、表紙と挿絵は石川先生。全三巻)
著者は団龍彦=菊地忠昭氏。ゲッターの企画にも携わり竜馬を殺したかったとインタビューで度々語られている方。内容はダイナミック系大集合。ゲームのスパロボシリーズとの関係はなく、主人公は甲児くん。1、2巻だけ読了。
アークでの複製武蔵の元ネタはこれと思われる。漫画と東映の間という印象だがマジンガーもゲッターもパイロット=機体の描写があり核は漫画版に近い印象があった。しかし真ゲッターに関しての描写などは漫画版にはなくこの小説にしか見られなかったものもある。ダイナミックプロ原案をベースに漫画版と東映版踏まえてのノベライズといった感じかも。
隼人の科学者、研究者の面についてはこれで触れられてから増えた(確かに未来のゲッター號の開発者としての描写がある)とどっかで読んだが真偽は定かでは無い。

たかしげ宙版(01年、漫画版が元らしい? 石川先生挿絵らしい。一冊のみ、未完)
ネオゲ(01年、上下巻。表紙は石川先生だが中の挿し絵は違う方らしい)
INFINITISM(19~21年、単行本化はされていない。電子書籍でゲッターチーム分は粗方読めるけど何気に探すの手間なので記事最後に詳細)

その他、「電撃スパロボ列伝」って雑誌?に1度きり載った短編があるらしい。

〖 東映版以外の映像化作品 〗

念のため記載するが、これら東映版以外の映像化作品は連載時期から考えても漫画版ゲッターロボサーガの読解には必要ない(チェンゲはアークに影響してる可能性はある。ネオゲは微妙。新ゲはむしろ忘れた方がいい)。
更に言うなれば全部ダイナミック公式が監修、制作したわけでもなく、独自解釈入ってて明確に言ってること違う。全部協調性の話にきちんとなってない。
「協調性」を描けているかどうかは分かりやすい指標のひとつで映像化も漫画も未監修派生となると途端になんでか尽くここからやれてない。
故に、これらから漫画版を解読しようとするとしっちゃかめっちゃかになるしかないので注意した方がいい。

チェンゲ:98年。竜馬がむしろ魔獣戦線の慎一さん。なんか色々あったのが作品から察せられる。ぶっちゃけ3話までの今川監督の爪痕が大きすぎた╱今川監督は原作をよく読み取っておられたと思う。
ネオゲ:00年。漫画版+東映版の雰囲気。夏のまんが祭りOVA版というとわかりやすい。ゲッターの翻案OVAとしては一番わかりやすくそれっぽいが……。
新ゲ:04年。見てくれだけは原作に近いが根本設定で「竜馬以外はストッパー=三つの心は揃わない」って言ってるアンチゲッターロボ作品。物語筋も漫画版(と手天童子)から反転してる逆転二次創作。全員顔と名前が同じだけの誰おま。「ブライとゴールと誰か知らん猿でのガクエン退屈男リメイク」として見るなら良くできている。

アニアク:21年。漫画版アークに独自解釈を入れて(OVA版)ゲッターサーガを終わらせようとした節が見える。漫画版アークとはやはり根本的に色々異なり、「一見」地獄が緩和されている終わり方に思える。漫画版號までの人物像や大筋をベースにやりたかった事のために変更を加えたみたいな。
純粋な漫画版真や號の内容に近い映像化は現状これだけ。

〖 派生漫画 〗

チェンゲ異聞以外、全て石川先生没後作品。全て電子書籍は無い。ゲッターロボサーガの読解には読む必要が無い。(ダイナミック公式監修作品は読解の手助けやヒントにはなる)

飛焔(07~08年。絶版)
表紙にproduced by ダイナミックプロダクションのクレジットが確認できる。BIRZコミックス版と幻冬舎漫画文庫版があるが双方絶版。
「ゲッターロボ」表筋の翻案として理解できる内容。「子供が戦争なんてするもんじゃない」と明言されていたことに好感。エヴァがゲッターの影響を受けていることをくんで、エヴァから要素を逆輸入したのかなとは少し感じた。
もしかして:サーガ世界におけるアーク位置の話
ダークネス(08~12年。絶版)
表紙にproduced by ダイナミックプロダクションのクレジットが確認できる。設定名称とか見る限り意図的にアンチゲッターやってる作品じゃないかと目している。アークザラッドのコミカライズで好きだったけどトラウマ増幅された記憶も蘇って読めてない。
もしかして:ダイナミック公式アンチゲッターロボ
ダイノ(14~?年。何故かジーグの特典に着くと発表があった)
ダイナミックプロ公式サイトにおもちゃとの連動企画で掲載された。全八話。作者もダイナミックプロ所属の星和弥氏、編集に無印やGから関連書籍などで関わりのある不知火プロがクレジットされている。
種の存亡を掛けた生存闘争を弱肉強食の喰らい合いと表現しつつ、サルとか獣と蔑視して踏み躙られる事に対して怒りを持って抗う話であって、必ずしも主人公側が正義と言いきれない部分も含み原典の血が読み取れると思う。
もしかして:アーク世界のその後

デヴォ(16~19年)
聞いた限りとチラ読みした限り新ゲの系譜。新ゲベースにしたスパロボの二次創作。三つの心は元気玉じゃないんですよって説明からしなきゃダメなの? どこにも根拠がないネット解釈主軸にぶち込むなら原典と全く繋がらない話にしてください。これと牌にはダイナミックプロ監修の表記が表紙に見当たらない。この作家さんコンビならバクライガとか面白かったですね、絵ならラインバレルが好きでした。
(17~19年?)
原作と作画の名前時点で読むのに勇気がいる。

チェンゲ異聞(01年。単行本化されていない)
スーパーロボット大戦トリビュートという三冊のアンソロジーに掲載された。絶版。今川監督が脚本となっているため「元々チェンゲで何をしようとしていたのか」の手がかりとなる。
チェンゲにはこのコミカライズの他、前日譚となるドラマCD(チェンゲ全巻発売後のものらしく今川監督設定はまるで理解されてないっぽい)もある。

・竜が滅ぶ日~スーパーロボット大戦α the story(01年)
ダイナミック監修のついていない派生では白眉だと個人的には思っている長谷川祐一先生著作なので記載。α外伝の前の話となり、ゲッターとマジンガーが中心の話。双方雰囲気は東映版と漫画版をミックスした感じ。過酷な戦場の圧迫感やひりつく空気さえ感じそうな描写でのマジンガーVSゲッターも見所。

【 ムックまとめ 】

ゲッターのみのムック本として把握してるのは以下。全て絶版。2022年10月現在、全書以外は金額的にも比較的入手が容易いが、全書だけは諭吉近くの値段に跳ね上がっている。

ロマンアルバム32 ゲッターロボ&G
80年。ムック本の走りとなるアニメージュロマンアルバムシリーズの一冊。基本東映版のみ。後の大全には無かった演出や美術スタッフ、敵方声優さんからのコメントが掲載されている。
ゲッターロボ大全
98年。OVAチェンゲも漫画版真も完結前。東映版無印G、漫画版無印Gが中心。
ぶっちゃけ主編集者に90年代ムックにありがちだった気恥ずかしいテンションや主観による文章が多く解説やエッセイの類いは読み飛ばして良い。純粋な資料としては設定資料、スタッフインタビュー、企画案や放映データ、放映当時のグッズ類なども記載があり優秀。漫画版に関しても小さいがカラーイラストや連載時の扉絵などが掲載されている。
イラストを描いたのが本当は永井先生のところを石川先生と記載していたり、細々誤情報も含まれているためそこは要注意。
ゲッターロボ大全G
99年。大全で掲載しきれなかった資料と東映版號中心。OVAチェンゲ完結前だが元ネタ探しなどのページがある。東映版號についての設定資料、スタッフインタビューなどが充実している。
東映版無印→G移行時の企画案プロット(ハヤト以外二人とも死亡する案)が興味深かった。
ゲッターロボ全書
05年。大全二冊とは異なり編集が老舗の不知火プロであり一番内容に期待と信頼が持てる。漫画版真とアーク、OVA三作についても掲載。
確認できたが正直OVA新ゲッターに関する部分の話は全然丸きりなにも信用がおけない。不知火プロの編者すら軽い嘘ついてる。そもそも脚本が石川ゲッターと手天童子の反転構成であることにも触れていない。(完成物のプロットレベルの話なんだから知らないのは不自然すぎるが)
それ以外の部分に関しては大体信用がおけると思う。嘘はついていないっぽい。
ゲッターロボサーガの読解において非常に重要な石川先生と中島氏の対談が収録されている。マジでそこだけ内容変えずにそのまま再販してくれ。
・ゲッターロボアーカイブ
23年。OVAの他大決戦まで含んでいるがイラスト中心で文字情報は少ない。

OVAではチェンゲだけはムック本が三冊?出ている。1巻発売後のもの(純粋な今川監督設定だけ知りたいならこの一冊)、全話発売後のもの、ムービックからグッズ扱いで出たもの。
ネオゲはゲーム大決戦と一冊にまとめられた「GETTER ROBOT設定資料集」というものがあったらしいが、現在まずお目にかかれない上にヤフオクやメルカリで目ん玉飛び出そうな値段になっていた。再販してくれ。
新ゲは無い。(ここまで全部国内製作だったはずなのに新ゲだけヤフオクなどに内部資料が流出している。ちょっとお察し)
アニアクの資料集も現在一冊刊行されている。
ゲーム大決戦については攻略本が確認できただけで三冊出ており、設定資料が幾分収録されているものがある。
電撃の攻略本「ゲッターロボ大決戦! 完全攻略ガイド」には石川先生の描きおろしカラーイラストが収録。各ゲッターロボで人物はないと思っていい。石川先生のコメントからはゲッターロボをキャラクター認識していたことが伺える。
勁文社の攻略本「プレイステーション必勝法スペシャル ゲッターロボ大決戦!」には石川先生とアニメP南喜長氏の対談、並びに設定資料やラフが幾分収録されている。隼人について「あいつの性格はけっこう一貫してるんです」と話されていたりなかなか興味深い内容。

スーパーロボットに関する書籍、上原氏の脚本集を始めとした脚本家の方の著作なども含めると冊数がとんでもない事になるのでその辺は手付かず。
ポストした一部内容はこっちにまとめ。

なおネオゲに関しては以下の方の記事に関連物の説明がまとまっている。(こちらが勝手にリンクしているため、不都合などあればご連絡ください。速やかに対応いたします)

【 石川先生画集まとめ 】

石川賢画集 (A collection―Works work)
1.闘神 2.邪神 3.魔神

99年。絶版。ムービックより漫画家生活30周年記念として刊行された三冊。一冊目がゲッターや邪鬼王等のメカもの、二冊目が魔獣戦線や極道兵器、三冊目が時代物や虚無戦記を中心としているらしい。
モビーディック キャラクターズアートコレクション ゲッターロボジェネレーション
99年。何処に書こうか迷ったけどここに。上の画集と同じく30周年記念で刊行された様子のゲッターのみのポストカードブック。大全などのムック本と同サイズで案外大きく、出典も明記されている。漫画版真「未知との遭遇」エピソードの初出でもある。
石川賢画集 Collected Paintings KEN
18年。復刊ドットコムから出た画集。一応先に記載した30周年画集を再構成と追加したものらしい(が総ページ数は減っている)。2022年2月現在でも購入可能。永井先生のロングインタビューが掲載。永井先生から見た生前のお人柄などに触れることができる。
のは良いのだが。大きいのも石川先生の緻密な書き込みをじっくり見ることができて良いのだが。作品の初出年代順に後年コミックスカバーなどで書き下ろされた物も同じ作品くくりで掲載、それでいていかんせんイラスト自体の初出が全くないのはちょっとつらい。なんならネオゲDVDジャケット絵が新ゲって書いてあったし、ゲッターのところでまたぞろ狂気とか言ってたので文面に関しては大全の編集者コラムとどっこいくらいの信頼性しか持てない。現在電子書籍化されていない石川作品のイラストが掲載されているのも嬉しいが作品解説は無い、というなんとも痒いところに手が届かない感の残る一冊。今でも新品で買えるのは嬉しいけど。(買えなくなったぽい)

〖 INFINITISMまとめ 〗

月刊ホビージャパンで連載。ホビージャパンの電子書籍(AmazonKindleなどにある)が2020年からしかないため、グレンダイザー編~マジンカイザー編の途中までは現在古本を探すしかない。
と言っていたら公式で公開が始まってました。以下のグレンダイザー編1話から公開分にはアクセス可能。(2022.8.15追記)

グレンダイザー編:19年2月~19年8月(プロローグ+本連載4回全5回)
マジンカイザー編:19年11月~20年2月(全4回)
ドラゴン編:20年10月~21年1月(全4回)
ジーグ編:21年2月~21年6月(プロローグ+本連載4回の全5回)

全てが同世界の話となっておりクロスオーバー要素が存在、また著者の早川氏が手掛けたダイナミック系アニメ設定が混じっている(鋼鉄神ジーグ、マジンカイザーSKL、猟界のゼーレン)。
時間軸はジーグ編/1975年→ドラゴン編/2011年→ダイザー編→カイザー編(→鋼鉄神ジーグ?/2025年)
ジーグ編プロローグタイトルが1975、ドラゴン編とクロスオーバーするエピローグタイトルが2011。
国連軍特殊戦略室、犬神大佐がカイザー編第三回と第四回に登場、隼人がこの所属となるのはドラゴン編最後。またカイザー編第三回によると国連特殊戦略室は設立から間も無い。

個人的な感想としてはけして悪くは無く好感もあるが刺さらなかった。全体的に専門用語とルビが多く読みづらい。もう少しパーンと弾ける部分のカタルシスはあっても良いのでは?
詳しくないのでゲッター関連のみに言及すると、ゲッターがそもそも政府絡みで存在している、ゆえにパイロット四人の出自も自衛官となって年齢も上がっている。この辺は10代を戦わせるのは現代倫理と表現的に無理がある(少年兵となる)ためか。
漫画版と東映版のエピソードを混ぜて構成。中心となるのは漫画版魔王鬼エピソード。バミューダトライアングルみたいな以下略や視界が使えなくなる、要塞島に潜入するなどは多分東映版。
根本的にゲッターに関しては掴みきれていないのか、そもそも言ってること違うOVA基準に合わせようとした影響か、他のパートに比較して解像度が一段落ちているような印象を受けるし、「漫画や東映に近くするならここをこうすれば良かったのに」という箇所も多く目につく。「三つの心」精神をゲッターロボで揃えずにSKL組で書いてるのも不自然。
G切り替え時に新主人公となる予定だった来栖丈の名前を持つ人物(ただし性格は竜馬初期案の竜之進っぽい)を竜馬がいなくなった部隊の後継者に竜馬本人が選んで据えた、戸籍上は母方の犬神(初期設定の名前)となっているが混乱するため通常父方の苗字である神と名乗っている(ドラゴン編の最後に犬神名義で国連所属となる時に明かされる)など、様々な要素を無理とsageが起こらないよう頑張って詰めてる印象もある。(隼人を犬神名義としたのは原作とは異なる事のアピールかもしれない)

〖おまけ:オマージュ作品〗

実は何故だか公式未監修のタイトル作品よりも、ゲッターロボのタイトルがついていないオマージュ作品の方が基本的な精神性というか、そういう根の部分が漫画版に近い傾向がある。
というよりも石川作品自体がそうであったように「換骨奪胎」の再構成に近い作品たち。バリエーションでありオリジナル。「異なる進化の分岐先」とも言えるかもしれない。

トップをねらえ!(89年)
言わずと知れた傑作OVAだが、主軸のひとつが多分漫画版ゲッターGまで。全6巻。正直漫画版成分が映像で欲しいなら一番お勧めする。武蔵の最後のオマージュなどは鳥肌が立つほどイメージそのままだった。にょたパロやるなら尚更見といた方がいい。
チェンゲでもゲッター艦隊などにイメージがありそう(というかおそらく今川監督降板後の4話以降で主軸のひとつになってるのがこれ)だし、石川先生がこれに影響を受けて漫画版號以降でスケールがでかくなっていった可能性もある。
なお、同じ庵野監督と後述の中島脚本で製作された「Re:キューティーハニー」(04年)もダイナミック作品の様々なオマージュなどが詰められているが、ゲッターロボサーガの要素も見られるというかなんというか。最終話は隠す気もなく號だった。早見を竜馬役の石川さんが演じていて、原作竜馬のイメージに近いお声で驚いたり。

デモンベインシリーズ(03年~)
旧神エンドがゲッターロボサーガであるという話はシナリオライターが言及している資料が存在するが、そもそもの全体構造やベースがそうだと思う。どう考えても九郎ちゃんが竜馬の血筋。精神性がダイナミック漫画作品(ハピエン仕様)。現在展開している大戰の破壊神とか何をどう考えたってゲッペラー相当存在。っていうか石川作品大好きだろ。マステリとか魔界転生だろ、あれ。
なお一作でまとめるにはギャルゲという媒体でしかできない綺麗な世界観構造をしているためゲームをお勧めする。
発表年と内容から、斬魔╱咆哮が號まで、飛翔がアークをベースにしていると思う。
また「ダイン・フリークス」という現在では電子書籍などで購入可能な漫画の方にも関係していてそちらも全体像に含まれている。

グレンラガンシリーズ(07年~)
脚本の中島氏は劇団☆新感線の座付き脚本家としても知られているが、そもそもこの方は双葉社の編集時代に石川先生の担当で漫画版真以降の展開を始めるきっかけとなった方である。
大ファンを公言して舞台チラシを石川先生に依頼したり(90年:初演「髑髏城の七人」、96年:初演「BEAST IS RED~野獣郎見参!」。新感線公式サイトの公演一覧からチラシ画像が確認できる)、舞台脚本の頃からダイナミック作品オマージュなど書いてた方でもある。
98年初演「SUSANOH~魔性の剣」も少なくとも枠の一部、重要なギミック部分などに石川ゲッターの換骨奪胎可能性が高く、これを原作としたコミカライズ「takeru~SUSANOH 魔性の剣より~」では細部にも石川ゲッターをはじめとしたダイナミック作品を素地としたのであろう部分が見受けられる。
そんな方が石川先生の没後にゲッターロボオマージュ公言して書いたのが「グレンラガン」となる。
途中から年月が経過し雰囲気が変わるのも、漫画版ゲッターのGから號への切り替わりだったのだろうとわかるとひどく納得した。
「プロメア」(19年)とかもダイナミック作品を知っていると絵面の記号をはじめとして色々見て取れる。
中島脚本がダイナミック作品の影響が強いのみに留まらず、逆に新感線の舞台には石川作品のイメージソースとなった疑いのある舞台も存在する。(99年1月「PSY U CHIC―西遊記 ~仮名絵本西遊記より」と99年9月末号開始「禍」のモチーフ被りや一部設定の類似はとても気になる)

トップ以外はたまたま私が石川作品を知る前から好きで見ていた作品で、多分これ以外も沢山あると思う。
「ダンガイオー」とかロール君のお声や設定に影響取れるだけでなく、「三つの心」の精神性組み込んでたり。
というか多分今川監督と庵野監督作品が特にな……。

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