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気持ちいいか、楽しいか、パッション!

武蔵野美術大学大学院造形構想研究科
CL特論II:オンライン授業5回目
2020/6/15
メディアアーティスト 江渡浩一郎さん 

オンラインでのクリエイティブリーダーシップ特論Ⅱのゲストは、山崎先生からスタートして、若杉先生の後は、長谷川先生のご紹介者となりました。今回は、産総研(産業技術総合研究所)の江渡浩一郎(えとこういちろう)さんがゲストでした。学生時代からメディアアーティストとして活動され、Sensorium(センソリウム)や未来科学館の「インターネット物理モデル」などの作品で数々の受賞歴があり、最近は、共創イノベーション実践研究を手がけられて、ニコニコ学会βなどをプロデュースされている方なので研究への参考になる学生も多いのでは!という前振りからスタートしました。
バーチャル背景もお話の予告編の様なイメージ演出で、ワクワクしました!
(↑は、バーチャル背景に、学生からの質問が続々と届いているイメージ)


▪️主な作品例
WebHopper 1996
アルス・エレクトロニカ賞栄誉賞受賞(1999)
常設展示物となり10年くらい展示されたそうです。

インターネット物理モデル2001
日本科学未来館の常設展示物 
転がる玉でパケット交換の仕組みを表現 
2017年にリニューアルオープンして、今でも見れるそうです!

産業技術総合研究所に転職されて
創造的な場を支える仕組みを研究しているそうです。
ウェキペディアみたいなもの 
と説明しているようです。
様々な人が集まって百科事典のようなものを作る 
その様な場を作る研究

Modulobe 2005
お互いに見てこんなカタチはどうだろうと影響を受けて
新しいカタチを作っていく 
3Dモデルを組み合わせていく

共創プラットフォームの基本原理を歴史を遡って検証

全ての源流はパターン・ランゲージにあった 
利用者自身が建築を設計する方法論

WikiWikiWeb → Wikipedia

Wikipediaを成功に導いた共創の原理
成功の背景にはたくさんの失敗がある 
Nupediaというサイトを立ち上げたけどうまくいかなかった
従来型の百科事典の方式、執筆者は博士号で7回査読が必要で・・・

2001年になってから、
ばかげたコンセプトのばかげた実験をしてみたい
どんなルールでやっていくか、ルールも話し合った
多くの人は査読がない百科事典はだめだと言っていた
7つのルールを作った
1. すべてのルールを無視する Igonore all rules
2. 常に未完成な部分を残す   ・・・・・・
       
今も生き残っているのが、4番 だそうです。
4.  偏向を避ける Avoid bias



ユーザーと共にメタルールを構築

ニコニコ学会β (2011-2016) 
五年間限定で走り続けて終わった
ニコニコ超会議に人が集まって 
ニコファーレ

動画の一部を見せてくださいました。
研究100連発 
冨田勲さんとか、新しい領域で
『触る門には福来たる』の 広瀬浩二郎先生も登壇されていたそうです。

広瀬先生には国立民族学博物館での企画展
「点字の考案者ルイ・ブライユ生誕200年記念・・・点天展・・・」
触れる継手アートとして32本のパーツを組み合わせた継手縁台の展示や、
「凸凹(decoboco)ワークショップ」を担当し、お世話になりました。

共創型イノベーション 
この方法論を使ってほしい
ニコニコ動画(2006年12月)YouTubeのアドオンとして開始(2006年12月)
ニコニコ動画や初音ミクのように
人に愛される学会を作る

ニコニコ動画にある動画はなかった 
(ニコニコ動画は黒歴史があった)
3月にYouTube側からバーンされた 
NICO NICO DOUGA 閉鎖
その1週間後に動画アップロードできるサイトができた

初音ミク(2007年9月)不思議な共創 
メイコ売れてなかったけどニコニコ動画にアップする為にメイコを買ってた
ボーカルがない 自分で歌えたらいいけど、ボーカロイドを使えばいい
ニコニコ動画に売れそうなボーカロイド
初音ミクは声優に歌わせている
ニコニコ動画の成功を受けて開発

・エリック・フォン・ヒッペル
(例)マウンテンバイク 山遊び用が大ヒットとなった例
ユーザーが自分で楽しいから乗り回していたら流行になった

・インクルーシブデザイン 
(例)ウォシュレット 
医療器具だったのを一般向けにして大ヒットとなった

共創型イノベーション 
大ヒットになったのはダイバシティ
ブレイクスルーは多様性から産まれる

「共創」と「協業」はどう違うか
協業は利益を分け合うことに主眼が置かれる
共創は、協調せずに、行動する。仕事も分担しない

「共通善」を設定するのが大前提

Tsukuba Mini Maker Faire
2020年2月15日 手作り感ある作ったものを楽しそうに話す
自分のパッションで作ってしまった

スマブラ Nintendo
学部3年生だった時に発売 1993年5月
Switchオンラインでプレイ可能に

GARAGE Program メンター支援

未来を予測する最良の方法は
それを発明してしまうことだーーーー アラン・ケイ
"The best way to predict the future is to invent it,"
 ----Alan Kay, 1971

ジョブズも影響受けた源流

ーーーーーーーーここまでーーーーーーーーーー

学生が質問を入力している間に
長谷川先生からの質問

Q. えとさん自身が今の興味をどう持ったのか? 
元々オンラインに興味があった 1991
訪問者リスト 掲示板 チャット 
当時の発想としては 
そんなことにもWEBが使えるんだ
ウェブカム 今の状況が見えるカメラ 日本で最初に立ち上げた
紙の置き換えから、チャットや掲示板になったのと同じように、
周囲の風景も動画で見えると面白いと思って発展させていった
もっと先があるじゃんと
ネットワークの可能性をどう広げていくのか

コラボレーション 
いかに円滑にしていくかを飯の種にしていこう!
インターネット上で組み合わせるのが面白かった
研究所に入って創作活動をするだけではだめ
創作活動を支援するために

2011年3月11日に東日本大震災があって変わった
仕事が3つ潰れて暇になった 
今だからできることをやればうけると作ったのが
ニコニコ学会
あなたも一緒に科学者となろう! 

共通善となって大きな力になった

インターネットからネットワークの可能性が見えてきて
やってみたらますます見えてきて作品をつくったり
問題解決してきたという結果なのでは!?と
長谷川先生がまとめてくれた後に

<学生からの質問タイム>
今日は、顔出し優先で質問できることに!  

「ニコニコ学会を5年で打ち止めにした理由は?」
5年という数字には意味がなく、5年くらいでちょうどよかった
ルビー会議(プログラミング言語)もやって破綻してきたのが6年目だった
5年が限度だと思ったから
全員ボランティアで組織を作らなかった 
簡略化できたのがよかったそうです。
質問した院生は、自分では年数を決めずについつい続けてしまうので、
5年という区切りをつけた理由を知りたかったみたいです。
自分だけの探求だと、素材の研究でも何でも10年続けてみるとわかるというたとえもありますが、周りも巻き込む場合ある程度の年数を決めていた方が
動きやすいという実体験から実感された年数だったようです。

中国からの留学生からの質問としては・・・
「激しい競争になっているTikTokとか どうすれば勝てるようになるか?」
クオリティと他にいかないようにするか 
ビリビリ動画が面白い(ニコニコ動画のぱくり)
メインのキャラクターがテレビちゃん 
Instagramも2010年から使っている(最初の頃から)
圧倒的によかった!
周りがハテナ?が出ている頃から一人でハマって
写真をとると世界中からコメントがつく 
ホットに選ばれたり 正方形の切り取り方とか、
コメントのしやすさとか、楽しかった
あれがなんで楽しかったのか?
他のも使ってみたけど気持ちよくなかった
Tiktokも使ってみると気持ちいい(投稿稿したことないけど)
投稿する人が楽しくなるしかけを用意しているのでは? 
そこがカギになる

最初は、投稿者の気持ちよさ UIがいいより 
あそこ人がいていいからというモードに変わってきて
企業もその状態になろうとしている
ネットワーク外部性 
最初の一人は誰なのか? 
頑張って作りあげるしかない
クリエーターの状態をどう盛り上げるか

さいごに・・・

「今、ワクワクするものありますか? 」
インターネットが早くなればなるほど面白くなくなってる
→フードに探求
にくにく学会 
今は、深い牛肉の世界を探求しているそうです! 
同じようなことを考えている人はたくさんいて 
食の未来とコンピューターをどうつなげるか
インターネットの世界にはまっている人ほど
食にはまる人が多い

そうです。

人間拡張研究センター 共創場デザイン 

日本でインターネットが広まってきた背景には、江渡さんありで
気持ちいいか、楽しいか、パッションで、動いてきた印象でした。
まさに武蔵美のCLが目指している実践者でした!
インターネットがどの様に人々をつないできたのか、
科学を可視化しどのように共創の場としてきたのか、
人々の生活にどう取り入れられてきたのか
わかりやすくご自身の活動をふまえて解説していただけました。

今は、深いテーマとして「食」に関心があるそうです。
食の未来がコンピューターとどうつながっていくか、楽しみです!
ありがとうございました。


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