城塚翡翠シリーズ 個人的まとめ
こんにちは。リー猫と申します。
皆さんは書店で本を買うとき、何を基準に選びますか?
好きなジャンルや作家、話題の本、有名な賞の受賞作など、人それぞれだと思います。
私はミステリー小説が好きで、新しい本を買うときはネットで評判を見たり、話の構成などを調べて買うことが多いです。
ところが、ある時書店に並んでいた一冊の本を見かけた私は、その表紙から目が離せなくなりました。
そして、吸い込まれるように手に取り、会計を済ませました。
そう、いわゆる"ジャケ買い"です。
表紙を気に入って本を買うなんて、初めての経験でした。
その本こそが『medium 霊媒探偵・城塚翡翠』です。
遠田志帆さんの手がけた表紙に一目惚れでした。
本のオビには「すべてが、伏線」の文字。
自らハードルを上げに来る挑戦的なキャッチコピーだな、と半信半疑で読み始めました。
まあ、その結果は既読の方なら想像がつくと思いますので割愛します。驚愕でした。
さて、すっかり城塚翡翠ワールドに魅せられた私は、続編の『invert』『invert II 覗き窓の死角』を発売日に購入するほどのファンとなりました。
特に、invert II収録の『覗き窓の死角』ではこれまで語られてこなかった翡翠の過去が断片的に明かされ、謎めいた彼女の素性に少しずつ近づくことができます。
ゆるふわなドジっ子を演じたかと思えば、完璧な論理で犯人を追い込む探偵の顔を併せ持つ城塚翡翠という女性に、私はすっかり夢中となってしまいました。
そこで、備忘録としてまとめていたメモをもとに、過去三作の城塚翡翠シリーズの個人的まとめを作ってみました。
それぞれの事件の核心は記載していませんが、できれば『invert II』までを読まれた上で閲覧ください。
※一部個人的な推測に基づく内容も含まれますので、予めご了承ください。
※『ギガくらりの殺人』『春の佩帯』は未読のため触れていません。
1.時系列まとめ
既刊三冊で語られた事件および、翡翠の過去を下に記載の根拠に基づき時系列にまとめました。
<年齢設定等の根拠>
各事件に記述のあった月または季節を記載した。
mediumエピローグでの千和崎真の推論より、幼少期を米国で過ごしたとの記述あり。
江刺詢子との会話にて15歳で帰国、18歳で就職との記述あり。
覗き窓の死角にて、生者の言伝内のエピソードが何年か前という記述あり。一般的な感覚として「何年か前」は三年から五年に相当するとし、両エピソードの間は三年以上空いていると仮定した。
生者の言伝ではmediumの連続死体遺棄事件がすでに起こっており、世間を騒がせているという記述から犠牲者が二人以上出ていると思われる。一人目の殺害はmediumより四年前。二件目はその一年後であり、捜査本部が立ち上がったのは二件目以降。
このことから、生者の言伝はmediumの三年以内までの範囲となる。
江刺詢子との会話にて、『理想の十代』を真に押し付けている旨の発言があり、真と親しくなったのは二十歳を過ぎてからと推測する。
よって、一緒に旅行を楽しんでいたと思われる生者の言伝の時点で、翡翠が二十歳であると仮定した。
2.気になる人物
作品内に登場済みで、今後の物語のキーパーソンとなりそうな人物をピックアップしてみました。
諏訪間駕善(すわまがぜん)
警察庁官僚。翡翠を日本へ呼び寄せ、警察機関での仕事を勧めた人物。
警察庁は警視庁の上部組織。相当な権力を持っていると思われる。法務省にも顔が利く。
翡翠は彼が権力を振りかざすことをよく思っていないが、鐘場正和を捜査一課へ戻す口利きをするなど、諏訪間は彼女への積極的な協力姿勢を見せている。
その裏で、諏訪間は翡翠を使って何かをさせようとしている。
槙野怜苑(まきのれおん)
警視庁捜査一課の巡査部長。三十代。端整な二枚目。貧乏ゆすりの癖がある。
翡翠の捜査手法を快く思っておらず、詐欺師呼ばわりするなど冷たい態度を取る。
ところが、翡翠は「怜苑ちゃん」と呼び、彼の悪態を意に介さない。
翡翠が"ちゃん付け"で呼ぶ人物は、千和崎真、新谷由紀乃、藤間菜月のみであり、一定以上親しくなった者にしか使わない。
警察関係者でなおかつ男性である槙野に対して"ちゃん付け"を使うことは、彼との付き合いが長いことを示し、憎まれ口が本心でないと認識していると思われる。
翡翠の弟
翡翠が日本へ来る前に亡くなったとされる。
弟を亡くした事で死人のようになっていた彼女を、諏訪間は日本へ呼び寄せた。
3.語られていない事件
物語中に登場したものの、未だ語られていない事件をピックアップしました。
独断と偏見で、今後作品化される可能性をABCの三段階で表記しています。
弟の死
翡翠が日本へ帰国するきっかけとなった出来事。
彼女の両親はすでに他界しており、海外で義父のもと育てられたとされている。mediumのエピローグでは義父が連邦捜査局に逮捕された事が語られている。
それと弟の死が直接繋がっているかどうかは不明だが、翡翠の帰国に関連した一連の事件である可能性は高い。
【作品化可能性:A】
バカンス中の殺人事件
生者の言伝冒頭で触れられた、翡翠と真がバカンス中に遭遇した事件。
作品の舞台となった群馬県、またはその隣県で起きたと思われる。
翡翠の力により解決したものの、県警に睨まれていたと真が話しており、純粋な推理で導いたとは考えにくい。
【作品化可能性:C】
孤島の館で起きた殺人事件
mediumエピローグで登場した、警察から翡翠へ意見を求められた事件。
連続死体遺棄事件の解決で塞ぎ込んでいた彼女が、再び探偵として活動する(部屋から出る)きっかけとなった。
【作品化可能性:B】
警察と距離を置くきっかけの事件
覗き窓の死角内で語られた事件。
それをきっかけに、翡翠は警察と距離を置くようになり、自分で勝手に事件を解決していた。生者の言伝はその期間内のエピソードと思われる。
槙野怜苑はこの話題に触れると苦い顔をするらしく、彼が翡翠と何らかの確執を生んだ事件である可能性が高い。
翡翠は鐘場正和の捜査一課復帰と引き換えに、再び警察へ協力するようになった。
【作品化可能性:A】
千和崎真との馴れ初め
事件かどうか定かではないが、真との出会いは語られるべきエピソードであると考える。
同世代の友人が居ない翡翠にとって、唯一心の許せる人物であり、真もまた、傷つきながらも自身の正義を貫く翡翠の支えになりたいと想っている。
彼女たちが如何にして出会い、心を通わせるようになったのか。多くの読者が知りたいはずである。
【作品化可能性:A】
4.さいごに
城塚翡翠シリーズは、今や小説に留まらずオーディオブック、ドラマ化、漫画化など、表現の場を増やしつつあります。
invertからは倒叙形式という、推理小説でも数少ない構成を採用し、一味違った展開を楽しめます。
個々の事件はもちろん、徐々に明かされる翡翠の過去や人物像からも目が離せません。
今後の展開を楽しみに待ちつつ、これからも翡翠ワールドにどっぷりと浸かりたいと思います。
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