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【体験記3】東京拘置所ダメだった編

東京拘置所にて。

前回の分類の呼び出しが終わって3日後くらい。
紙袋を折り折りしていると。
1人だけで呼び出されて、
知能テストをやらされた。

問題内容は確か。
簡単な計算問題とか。
図形をひたすら書く問題とか。
文章を読んで、
文章に出てきた登場人物の1人が、
どこの席にいるのか答える問題とか。

子供向けなのかと思う問題内容だったけど、
解答時間制限があったので、
最後までなかなか進めない。
70〜80%くらいしかできない問題が多かった。

そばにいた職員に
「時間なくて、
全然最後まで出来ないんですけど、
大丈夫ですかね?」

って聞いてみたら。

「今まで見てきた中では、
かなり出来てるほうだから大丈夫」
って言われて安心したのを覚えている。

そして、
その日の運動時間、
他の人に、
知能テストの事を話してみると。

誰も受けていないとの事。

「これは東京拘置所に就職かもよ」
とみんなに言われる。
就職ってw

その時は第一希望だったので、
ちょっとうれしかった記憶もある。

そして、
その2日後くらい、
やっぱり紙袋を折り折りしていると、
いきなりドアを開けられお呼び出し。
理髪室に呼ばれる。

中には、
制服を着ていないおじさんが1人。
「君はこんな所に来る人間ではない」
「しかし、状況的に仕方なかったんだ」
「いま東京拘置所の件、
検討中だからよろしくね」
と言われ、
部屋に戻される。

その日の運動時間に、
その事を話したら。

「選ばれるだけでもすごいっす」
と、
みんなから祝福されたり、
羨ましがられたり。

それから、
何日かした朝。
職員から転室の告知。
東京拘置所強制就職が内定。

違う棟に転室となる。

その時、
転室になった人がもう1人いて、
分類の時に何人かいたうちの1人だった。
部屋は8人くらい入る部屋に2人で、
2週間訓練するそうな。

転室の時に、
その棟担当の職員から、
「なかなか選ばれないんだから、
しっかりやるように」だとか、

「仮釈放が普通より多めだ」
だとか、

「他の刑務所より訓練が短い」だとか、
あなたは特別なんだよアピールをされた。

そう言われても。
自分としては、
豚もおだてりゃ木に登る的な文句で、
冷静に聴いていたが。

もう1人は、
「ザクとは違うのだよ」的な、
あなたたちとは違うんです態度になって、
調子にのりまくりーのな態度になっていた。

まあいいんですけど。
ここだけではなく、
最終的に行った喜連川でも。

職員の一部が、
そーいう豚もおだてりゃ木に登る的な持ち上げ方をするから、
弱い者だけには強いパワハラ野郎がいっぱい量産されるのだ。

ちなみに、
もう1人のやらかした罪は窃盗。
大きな本屋で、
高そうな本を万引きして、
古本屋に転売。
懲役1年半の刑。

ヤフオクやAmazonで売ったら、
もっと高く売れるのにって、
内心思ったが。

とりあえず黙っておいた。

そして、
1週間前に東京拘置所に内定した人と共に運動。

何年喰らったか的な話題で、
「自分は4年5ヶ月」話したら、
周りにドン引きされる。
他の人は、
長くても2年くらいだった気がする。

他に、
「本当は松山刑務所の造船所を希望していた」という話も。

その当時、
その松山刑務所を脱獄して逃亡した事件があったので、
行けずに東京拘置所になったのかもしれない。

転室1日目は、
紙袋を2人で折って、
作業安全関係のDVDを何本か見せられて終わり。

あと、
ラジオ体操のマニュアルを渡され、
「次の日までにラジオ体操を覚えるように」
と言われる。

練習を何時間かしたが、
覚えきれなかった。


転室2日目。
朝から行動訓練。
行進の練習とか、
ラジオ体操をテストさせられる。

結果。
自分は全然ダメダメだった汗

体操自体覚えきれていないし、
声も出ていないと、
訓練担当の職員に、
めっちゃキレられる。

そして、
ペナルティで、
天突き体操を、
筋肉痛で産まれたての子鹿になるんじゃねーかくらいやらされた。

このままじゃヤバいぞ。
って思ったのはいうまでもない。

そして、
行動訓練が終わってから講義。
「人生は3つのトウで大きく変わる」とか、
「ジョブよりライフワークを見つけるコトが、
再犯しないコツ」とか、
言われたのを覚えている。

いまでも覚えているっていうことは、
自分なりに共感したんだと思う。


その後、
夕方環室時。
自分のダメダメダメだったのを、
訓練担当の職員、
棟担当の職員に、
ボロクソ言われる。

「やめちまえ」とか。
「クビにするぞ」とか。

その時の自分は。
入りたてのストレス、
プライベートがどうにもできないストレスで、
限界気味だったので。

「わかりました、じゃあやめます」と、
東京拘置所の就職内定を辞退した。

言った瞬間。
今までボロクソ言ってきた職員が、
急に優しくなり。

「他はもっと厳しいぞ」とか、
「他より訓練が短いのに」とか、
手のひらを返してきて優しくなり、
全力で止めに入ってくる。

その手のひら返しが個人的に、
とっても不快極まりなかったので。
「もういいです」と、
ダメ押し辞退。

それを聞いた職員が、
「せっかく会えたのにオレは悲しい」だとか、
「残りの受刑生活、長くなるぞ」だとか、
まだ言ってるし。

最後に、
「この辞退の件は、
オマエにとって不利な今後になるから、
精神的にまいっているから辞退したことにしてやる」
って言われたけど。

今考えてみると。
辞退されると、
上から怒られるから必死に止めにかかったんだと思う。

だったら最初から、
暴力的ではなく、
常識的かつ紳士的に訓練してほしかったなぁ。

と、
ここまでちょっと職員対して、
苦言も書いたが。

この時の自分にも、
問題があったわけで。

今まで体育会的な状況を体験していなかったのと、
ヤル気があるアピールが出来なかったのも原因だった。

今でもヤル気満々アピールはできないけどね。
結局、
ラジオ体操はいまなら余裕で覚えている的な。

なぜラジオ体操を覚えたのかは、
まそのうち書きます。


もし、
なんとか訓練を我慢して、
東京拘置所に留まるコトができたら。

面会の頻度がもっと高かったかもしれないとか、
もっと早くでられたかもしれないとか、
もっと色々な人が面会に来てくれたかもしれないとか。

色々タラレバ話はありますが。

過去も未来もなくて、
「今そのもの」しかないのだから、
仕方のないコトなのだ。

第2希望の喜連川で、
色々周りに助けられたり、
貴重な体験を出来たのだから、
結果よかったのだ。

しかし、
もしこれを読んでくれた人が捕まってしまい、
東京拘置所に強制就職できるチャンスがあったとしたら。
その時は、
チャンスに乗っかったほうがいいと思う。

特に面会に来てくれる人が多い人は。
東京拘置所の、
駅から徒歩10分のアクセスの良さは、
最高の魅力だし。

刑務作業も、
やりがいのある仕事が多そうだったし。

スゲー長くなりましたが、
自分のヘタレのせいで、
東京拘置所の強制就職から、
ドロップアウトしたエピソードでした。


まとめ
・東京拘置所は花形らしい
・東京拘置所のQOLポテンシャルは極めて高い
・東京拘置所行き希望者は多いが狭き門

ではまた。



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