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ランディングページや広告デザイン依頼で失敗しないデザイナーへの伝え方

こんにちは。
上級ウェブ解析士(WAC21239048)で株式会社レッドビジョン・クリエイティブチームで働いている宮です。

私はこれまでランディングページや広告デザイン案件をやらせていただき、発注者・ディレクターのレベルによって仕事のやりやすさが全然違うことを感じていました。

今回の記事では、ランディングページや広告デザイン案件の依頼をする側の人に知っていただきたいデザイナーへの伝え方について、3つのポイントに絞って紹介します。

■【ポイント1】あなたの髪を切るレベルの伝え方で

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突然ですが質問です。
あなたはヘアカットをする時に美容師にどんな風にお願いしますか?

ちょっと考えてみてください。

こんな感じに伝えてしまったことはりませんか?

・「ちょっと長くなってきたので、短くしてください」
・「ツーブロックでトップは整えてください」
・「今っぽくカッコいい感じにしてください」
・「美容師さんのセンスにお任せします」

「いやいや、こんな適当な伝え方する訳ないよ!」という人もいるかもしれません。

恐らく多くの人はスマホや雑誌から希望のカットイメージを美容師に見せて入念に叶えてほしいポイントを言葉で伝えると思います。

でもランディングページや広告デザイン案件の発注者からのフィードバックでは往々に……

・「ここの画像はもうちょっと大きくして」
・「ここのキャッチコピーもっと目立たせて」
・「キラキラ感、シズル感が欲しい」
・「なんか違和感あるんだよな〜」
・「全体的に見にくい」

などの曖昧なフィードバックが多いのも事実です。

美容師に「もうちょっとだけ切ってください」と言うのとデザイナーに「もうちょっと目立たせて欲しい」は同義です。

ヘアカットでは「前髪をあと5cmくらい切ったらどうですかね?」と美容師に相談しながら、そのアドバイスを尊重し、最終的にどうするか判断しませんか?
「フォントサイズをあと2pt大きくしたらどうですかね?」とデザイナーに相談できる人は稀です。

個人によって言葉の定義やアプローチ方法が違うので「もうちょっと目立たせて欲しい」と言われたデザイナーは困ります。
(出し戻しを繰り返すことでイメージに近付けるやり方は時間の浪費でしかありません)

■【ポイント1-2】具体的に伝える

もし目立たせて欲しいと思うなら、どう目立たせて欲しいのか考えて具体的に言語化して伝えるべきです。
たいてい、最初から目立たせて欲しい要素というのはデザイナーが許容する範囲内で十分目立たせているケースがあります。
デザイナー自身が全体のバランスを見て目立たせている中で、さらにその許容範囲を超えて目立たせようとするは、結果として違和感のある目立ち方になる可能性があります。(意図して狙っているならOK)

ここでちょっとだけ目立たせる上でのアプローチ方法をご紹介します。
発想としては、”目立たせる要素を更に盛る”のではなく、周囲の要素を抑えるというアプローチもあります。例えばマージン・余白を取ったり、周囲の要素の彩度を落ち着かせたりするなどです。

お互いの感覚値だと分かりにくいので、具体的なイメージがあり数字で相談できれば、修正後のイメージは大きくは外れません。
(もちろん、数字で相談するということは依頼者側も高いレベルが要求されます。)

また、例え話で伝えるのも手です。
例えば「本屋で派手な本の表紙ばかりが平積みされている中で、真っ白な表紙に短く書かれたタイトルの本の方が目立つよね」などです。
イメージしやすい事例を伝えるとデザイナーも腑に落ちます。

■【ポイント2-1】ワイヤーフレームを作ってイメージのすり合わせ

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どんな仕事にも骨子の段階で相談し合うフェーズがあります。

・漫画→ネーム
・映画→絵コンテ
・住宅→設計図
・ウェブ→ワイヤーフレーム

完成後のクオリティは、この骨子で全て決まると言って過言ではありません。
設計図がダメダメなら、いくらいい素材を使って住宅を建てても、住む人にとって快適なものにはならないです。

デザイナーに依頼する場合、簡単なものでもワイヤーフレームまで作っておくと、完成後のイメージが双方で共有しやすいです。
ワイヤーフレームの段階で細かな装飾要素まで作り込む必要はありませんが、ユーザーに伝えるべき重要な要素は必ずワイヤーフレームに盛り込みましょう。
デザイナーに投げる前に、自身でワイヤーフレームを作ることで情報整理ができるメリットもあります。

・「もっと視覚的に伝えるために、ここはグラフにした方が良いな」
・「ここの文字量は多すぎるので、思い切って削ろう」

などライティングの段階では気にならなかった部分が完成イメージに近いワイヤーフレームにすることで色々と見えてきます。

一点注意したいのが、デザイナーがワイヤーフレーム通りに再現してしまう問題です。
デザイナーはワイヤーフレームをベースに更に情報の伝え方、ビジュアルの見せる力が求められます。
ワイヤーフレームに縛られない発想も同時に必要になるので、その点についてデザイナーと事前に打ち合わせをしておくと良いです。

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■【ポイント2-2】ワイヤーフレーム作成ツールは「Adobe XD」

ワイヤーフレーム作成ツールとして有名なのがAdobe XDです。

特徴としては…

・無料で使える(有料プランあり)
・動作が軽い
・非デザイナーでも扱いやすい操作性
・ワイヤーフレームの共有が簡単
・修正コメントもブラウザから入力できる
・Adobe Stock(写真素材ツール)と連携して、イメージ素材も未購入でプレビュー配置が可能

ワイヤーフレームはパワーポイントなどでも作れます。
しかし、XDの学習コストがすぐペイできるほどXDはスピーディーにワイヤーフレームを作ることができますので、でぜひ導入検討してみてください。

Adobe XD
https://www.adobe.com/jp/products/xd.html

■【ポイント3】ガントチャートで作業計画を視覚的にスケジュール化し相談する

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複数のメンバーやタスクが発生する中長期のプロジェクトの場合、ガントチャートを作ることで、「誰が、何を、いつまでにするか」が視覚的に把握できるのでおすすめです。

デザイナーや制作会社に依頼する場合、予めプロジェクト全体のガントチャートにデザインスケジュールを落とし込んだ上で相談しても良いです。
その際はチェックバックや修正の日数も盛り込むのを忘れないようにしてください。

■ガントチャート化する3つのメリット
1.プロジェクト全体で何がタスクとして必要で、その工数と役割分担が視覚的に全体把握できる。
2.プロジェクトの進行状況がチーム全体で把握できる。
3.次にやることが明確なので発注者もデザイナーも安心して仕事ができ、適宜スケジュール調整できる。

■ガントチャートツールで使いやすいのはTrello?
Notion?

タスク管理ツールとして有名な「Trello」もGoogle Chromeの拡張機能「Elegantt for Trello」を利用することでボタン一つでガントチャート化が可能です。
個人的にはNotionの方が直感的な操作性でTrelloよりガントチャートツールとして使いやすい印象です。

どちらのツールも共有が可能で、無料でも利用が可能です。

■Trello
https://trello.com/ja
■Elegantt for Trello
https://chrome.google.com/webstore/detail/elegantt-the-leading-gant/jdongfcbejkjibhkbekkjcckophhjcjj/related?hl=ja
■Notion
https://www.notion.so/

■【番外】デザイナーに修正依頼する時に注意していること

個人的にデザイナーに修正依頼をする時、十分な信頼関係ができるまではテキストチャットだけではなくビデオチャットなど対話を通じて伝えるように意識しています。

そもそも「修正」という言葉は明らかに間違っている事柄に対して正すために使う言葉です。
デザインの良い悪いの判断軸は、単に担当者の好みやチームの曖昧な総意で決められるケースもあります。

デザイナーの制作意図を聞いた上で第三案にもっていけるよう対話ベースで改善していき、それがとても重要な要素であるならば、「Usertest Express」などのユーザーテストを通じて想定ターゲットに近い第三者からのフィードバックを受けるのも手です。

■Usertest Express
https://usertesting.jp/express

デザイナーの気持ちとしても、相手の感情が読めないテキストチャットで自分の仕事に対してフィードバックを受けることは精神的負担を感じる時もあります。
発注者やディレクターはデザイナーが作った制作物に対してGood&Moreの精神でフィードバックしてあげましょう。

ちなみに株式会社レッドビジョンでは対立を恐れず、対話するために「more8(モアエイト)」という取り組みを推進しています。

「more8」とは、フィードバックや感想を求められた時はGood:2割、More:8割の比率で伝えるものです。

ー「自分が何を言ったか」よりも「相手にどう伝わったか」

・伝えた相手の感情はポジティブ?ネガティブ?
・伝わった情報に相手は納得感がある?ない?
・伝わった相手の次のアクションはイメージしやすい?イメージしにくい?

などなど…

最終出力がデザイナーの手に委ねられる以上、相手の立場にたった依頼を心がけることができれば、最終的にはお互いにとってWin-Winの結果になるはずです。

最後にデザイナー自身も相手を導けるようなコミュニケーションがとれるようになることが大切だと思います。
自分の考えていることだけでなく、相手が伝えたいと思っているイメージやニュアンスをうまく言語化して伝え、双方イメージ共有がクリアになれば修正回数も減り、仕事もスムーズにできると思います。

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