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転職25回 ~1回 Vol.1~

初・転・職!

という事で、前回はブラック印刷会社を無事に卒業したくだりを書きました。

さて、時代は超就職氷河期。そんなに簡単に転職はできません。
「働きながら仕事を探す」→「新しい仕事が見つかったら会社を辞める」というパターンであれば良いのですが、「今日で会社を辞めます」という行き当たりばったり作戦でしたので、退職翌日から無職になりました。

しかも状況が悪いことに、当時は会社の寮に住んでいました。つまり、早々に出ていなかければなりません。無職&住所不定のコンボです。こ…これはヤバイ。

しかし、困った時に頼れるのが親友。
同じ専門学校を卒業した友人が、都内のアパートで一人暮らしをしていました。事情を説明し、彼のお住まいへお引っ越しをします。友人も社会人になって3ヶ月目。いろいろと大変な時期に面倒な人物が居候になってさぞ迷惑だったでしょう。何とも申し訳ない気分でいっぱいです。

ちなみに、この頃は貯金がほとんどありませんでした。まぁ、2ヶ月間しか働いていなかったのですから当然ですな。貯金があったら逆に驚きです。とにかく、預金残高は10万円ほどしかありません。急いで再就職先を探し始めます。

当時、私が探していた仕事の条件は以下の通りでした。
1回目の就職で大失敗したので、2回目については多少脳ミソを使ったので今でも覚えています。
1. コンピューターの会社(ザックリ過ぎですが)
2. 正社員
3. 寮完備(敷金や礼金など払える預金無し)
まぁ、これだけです。

当時はインターネットの求人サイトなど無かったので、フロムAとかの求人募集雑誌を買ってきて調べたものです。なぜかハローワークには行きませんでした。というか、ハローワークの存在を知らなかったのかもしれません。恐るべき無職です。

さて、そんな求人募集雑誌の中から、何やらステキな企業を見つけました(以下A社)。

A社の主な業務は、銀行や公的機関のシステムをアウトソーシングで運用・保守をする仕事。
何を言っているか分からない方の為に補足しておくと、要するに他社のコンピューターを他社の人に代わって運用し、不具合があれば直す仕事です。
なかなかに知的で刺激的でナイスそうな仕事に思えました。まぁ、ブラック印刷会社に比べたら何でも魅力的に見えてしまいますが。

さっそく、履歴書などを送ります。ほどなく、「4教科(国語、数学、社会、英語)のテスト&面接があるよ」という通知が来ます。ブラック印刷会社のように「OK!試験は無い!面接も無い!ぜひ入社を!」という姿勢はまったく無く、ごくごく普通の就職試験です。なんだか逆にホッとします。

7月某日。
去年までバリバリ現役だったリクルートスーツをまとい、A社へ訪問します。さすがは超就職氷河期。そこには40名を超える無職たちがA社入社への登竜門をくぐろうと待ち構えていました。
採用人数は7名。40人中7名であれば17%程度の合格率ですが、なんと入社試験はこの日だけではありませんでした。なんと、前日に40名、翌日30名、合計110名が受ける予定だったのです。合格率6%。こ…これは狭き門。もはや、登竜門というよりも修羅の門です。修羅の門が何だか分からない方はスルーして下さい。

さて、午前中は「国語、数学、社会、英語」のテストです。正直、「商業高校→情報処理系専門学校」のコースをたどった自分にとっては不利と言わざるを得ません。それでも選択式だったのが幸いして、全問回答だけはしておきます。数学&英語に関してはヤマカンのオンパレード。手ごたえも何もなくテストは終了します。
午後になると「面接」です。ハッキリ言って、テスト以上に苦手な面接。しかも自分には「入社3ヶ月目でいきなり退社をする」という悪歴が残っています。これではまるで、蹴り技、投げ技、関節技が主体の陸奥圓明流でボクシングに挑むような無謀な戦いです(もちろん、陸奥圓明流が何なのかご存知ない方はスルーして下さい)。
この面接で何を話したかは、ほとんど覚えていません。「前の会社は何で辞めたの?」という質問に対して「コンピューターの仕事がしたかったから」と答え、「コンピューターの仕事ができないのは入社前に気が付かなかったの?」と聞かれてシドロモドロになったのは覚えています。うーむ、おっしゃる通り。
さて、手ごたえも何もなく面接も終了します。

正直に言って、合格は厳しいと思っていました。
すべての試験が終わって帰ろうとしている所に、先ほど面接をしてくれたオジサン(のちに人事部長という役職であることを知りました。恐るべき無職です)が自分のもとに来ました。
「〇〇君(自分のことです)、ちょっと時間良いかな?」
生来のビビりです。何か粗相をしてしまって怒られるのだと思いました。スゴスゴとオジサンの後ろを付いていくと、何やら会議室のような所に閉じ込められました。まさか、カ…カラダが目的か?!
違いました。オジサンが謎の質問を発します。
「〇〇君はさ、他に就職試験を受ける予定はあるの?」
正直、何も予定はありませんでした。なので、「ありません」と答えれば良かったのですが、ここで人生最高のナイス返答をします。
「ありません。御社一筋です」
御社一筋なんて、良く言えたなと今でも思います。
まぁ、結果的にはそのナイス回答はどうでも良かったのですが、オジサンから驚愕の発言を聞かされます。
「〇〇君、君は合格だから、他社の試験は受けないでくれる?」

なんという奇跡。四門が開いた瞬間です(四門についてご存知ない方はスルーして下さい)。

どうやら、試験日に即採用になった理由は2つ。
① テストが4教科ともほぼ満点(ほとんどヤマカン)
② 若い&バカ正直だったのでオジサンに気に入られた
こんな所でしょう。他には思い当たりません。

とにかく、実力以上の力を発揮し、なんだか良く分からないけどオジサンに気に入られ、無事に入社の運びとなりました。後から知ったのですが、従業員数1000人以上のコンピューター企業A社への就職が決まったのです。
ちなみにこの企業は数年後、一部上場企業となります。

さて、今回は非常にハッピーな話でした。
そして、恐らくハッピーな話はここからしばらくありません(苦笑)。

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