【山岳写真】超広角で撮る景色を考える、構図やありがちな失敗の話

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はじめましてRedsugarです、普段は登山ブログを運営しています。また、ぱくたそで山岳系の素材を提供させていただいています。

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今回二回目となります山での撮影技術の備忘録noteです、前回は写真に広さや奥行きを出す3つの層の考え方というお話をかせていただきました。

さて、今回は山岳写真や風景写真で誰もが憧れる超広角レンズを用いた撮影に関して考えてみようと思います。
超広角を用いた撮影の際に発生する注意点を考えるお話しです。

今回はその写真を見たときに、アイキャッチが主題にちゃんと向かうかといういつもの観点に追加して、ストーリーを感じるような空間が画面内に構成されているか、ストーリーを感じさせる画面がいいよね、という価値観で話を進めていきます。

そして、今回も有料ですがいろいろと山に行って撮影したり、作例作ってみたので、タリーズで隣で僕がこう思うんだよねっていう話をしているというのを聞いているような気持ちで、話聞いてやってもいいよという広い心がある方は購入していただけますと幸いです、お値段はカプチーノのTallサイズくらいの390円です。

■超広角レンズを用いて僕が撮影した写真

まずは、僕が山の上で撮影した超広角の写真を見ていきたいと思います、超広角以外にも広角くらいの写真も入れています。使用機材はsigma 14-24mm f2.8 dg hsmやAF-S NIKKOR 20mm f/1.8G EDなどがメインです。

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成功例:白山山頂の池で祈りをささげる山伏の方と、中景の池、円形の山々と太陽という感じの構図でとらえた1枚。比較的要素がきれいにまとまった構図に見受けられます。

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失敗例:白山山頂から、悪い作例で足元の前景が画面内を占める範囲が多く、中景と遠景の分離も悪い一枚、典型的な超広角の特性に踊らされた一枚かなと思います。こういった写真をなぜ撮影してしまうのかを今回考えていきたいと思います。

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成功例:こちらは山頂と同じアプローチをしつつも、層の切り分けをした構図です、前景の石段、中景の小屋、遠景の水平線という感じです。前景の石段が画面の右外に行くのではなく、小屋に向かって大きさの恒常性を発揮したまま遠近法として働いてくれるともっと良くなりそうです。

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失敗例:こちらは水場をとらえた一枚、超広角のゆがみを使い水の流れを放射配列的にできないかと考えた一枚です、水の流れの線が画面左上の小滝の部分へとつながるため、線の力がそちらに向く結果視線がそちらに向かないかなと思ったのですが、層の切り分けと連続/放射構図と線遠近法の勘違いが発生してうまくいっていません。

遠近法と放射配列や連続の法則を間違えて使ったことも書きます。

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失敗例:広角の特性による空間のサイズ感の逆転現象です。海沢渓谷の大滝を撮影した一枚、超広角を利用して大滝を1枚の中に収めると、すべてが小さくなるという特性のもとに大滝のスケール感が伝わりづらい1枚になりました。大滝は落差10m以上の大きな滝であるため、その滝の特性を誇張する方向で使うためにはどうすればよかったのか、などを考えていきたいと思います。

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失敗例:最後の一枚は浅間山、紅葉の外輪を撮影した一枚ですが、これも層の切り分けが悪くすべてが小さくなってしまい、ただ単にダイナミックな雰囲気だけが残る一枚となってしまいました。各層をつなぐ物語性のキーとなる被写体、層の切り分けがあれば、もっと「どこを見ればいいのか、何を感じればいいのか」がわかりやすい写真になったかと思います。

1.超広角レンズの特性、前景は引き寄せ、遠景は圧縮される


■超広角を使う際に気をつけたい、超広角レンズの特性。

単純に一つとして、すごく端的に言うと画面内のオブジェクトが全て小さくなります、何かの景色を見たときな「あれがいいな」と思いカメラを向けてみても、超広角の場合は主題となる対象物が伝えたい思いに反してかなり小さくなる傾向があります。
つまり、遠近法の原則である近くのものは大きく見えて、遠く物は小さく見えるという原則が強調されるというものです。

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登山ブログを書いたり、山で写真を撮っています、登山写真で気が付いた技術をひたすらつぶやきます。