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小説

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2024年4月の記事一覧

尾崎世界観 母影

尾崎世界観 母影

いつもお店でカーテン越しに見える母の姿。母は何か良くないことをしている。小学生の「私」から語られる物語は、小学生が認識している数少ない語彙で表現されており、比喩や例えも独特だった。主人公目線で語られるが、どこか主人公には感情移入することが出来ず、小学生の知らない大人のきれいではない世界を知っている僕は後ろめたさが終始付きまとう。

村田紗耶香 コンビニ人間

村田紗耶香 コンビニ人間

小さな光の箱 、コンビニエンスストアで18年間アルバイトとして勤務する古倉恵子は合理的で機械のようなコンビニ人間である。彼女は昔から世の中の「常識」が分からない。そこには一種の不気味さもある。結婚していないことが異常といわれた彼女はある日、白羽という社会不適合者男と利害が一致することで同棲する。やがてコンビニのアルバイトを退職した彼女には生きる意味を見出すことが出来ず通りかかったコンビニで勤務して

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