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円安・マスコミと踊るのを心待ちにする人々

 最近の流行は円安批判。
 安倍晋三が「ドル円が300円になれば景気回復」と述べたことを取り上げて、死んでもまだ安倍さんを非難している人たちがいまして、確かに300円は行き過ぎかなと思いますが、そこまで行けば日本の景気が良い状態で有り続けるのは間違いないことです。
 ただ、その前に人手不足などの問題が更に悪化しているでしょうから、そう単純ではないと思います。
 今の円安批判ダンスは、為替レート安と物価高、好景気を混同して、或いは意図的に混同させて見ているのが問題で、これらは同じものではないです。
 また、為替レートの変動、物価、景気はひとつの原因で成り立つものでもないので、単純過ぎる話は、「為にする話」であって、信頼できるものではないです。

円安の経緯を振り返る

 マスコミは、「今の円安は日銀の金融緩和のいきすぎだ」と不正確な報道をしているので、円安の経緯をおさえます。

 このチャートで5年前まで遡ってみると、急速に円安が進んだのは2022年2月からです。
 この時に何があったか?
 それはロシアの特別軍事作戦と、それに対する西側の経済制裁です。
 戦争や経済制裁はインフレ要因ですが、マスコミのように単純に見る必要はなく、アクション・リアクションが数多く観察できると思いますが、基本的にはロシア制裁で世界的にインフレが発生し、対応として特に欧米で利上げをした結果、ドル髙になり、円安になったということでしょう。

対応策は?

 マスコミは金融引き締めをさせたいようですが、それで円安が「解決」するか?という問題があります。
 金融引き締めをすれば円高傾向になるのは確かです。
 しかし、そもそも金融緩和の行き過ぎが原因ではないのに金融引き締めをすると、景気が停滞・後退するでしょう。
 そうなればなったでマスコミは与党と日銀を批判するでしょうし、それに乗って踊る人々が湧くことでしょう。
 他の国から見ると、日本が円高方向に行けば、貿易を通じて他の国の方が有利になると思っているようですが、ま、これも本当にそう思っているのか、政治的にそう発言しているだけなのかわかりませんが、日本が不適切に金融引き締めして景気停滞すると日本は他の国からの輸入を減らすので、他の国は日本との関係において、必ずしも有利にならないでしょう。
 結果的に、日本も含めて西側全体の経済が停滞することになります。
 景気が停滞してでも円髙気味になれば「解決だ」というのは本末転倒でしょう。

ではどうするべきか?

 政治的にこだわりなく言えば、ロシア制裁を止めればインフレが収まりますから、欧米は利下げがしやすくなり、ドル安の方向へ向かいます。
 為替レートだけを解決したいなら、ロシア制裁を解除するべきでしょう。
 個人的にはそうするべきだと思いますが、まぁ無理でしょうね。
 西側と中露陣営の対立は非常に深刻なもので、特に西側はこの対立を、今後のイニシアチブの行方を決める決戦と捉えているようですから、ウクライナ支援を止めないでしょうし、ウクライナが負けてもロシア制裁を続けるでしょう。
 これによって世界経済の構造変化は着々とすすみ、西側と非西側の経済構造は互いに独立度を高め続けるのだろうと思います。
 つまり、今の円安に有効な解決策はないということであって、恐らく日銀は金融引き締めに向かい、日本は経済停滞していき、そのうち選挙が来て、マスコミは景気停滞の責任を岸田政権にかぶせ、自民党の大敗を狙うという流れになるのではないでしょうか。
 南無阿弥陀仏。

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