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#23 日本シリーズ

このような文章を書く場合、流行りや時事に即したもの、身の回りで起きた事柄を題材にすることもあれば、それらとは関係ない普遍的な概念について記すことが多いだろう。

少なくとも起こったことをジャストなタイミングで書くのがより良いとは思う。
それがズレているのは野暮なのかも知れない。

そこでプロ野球日本シリーズの話である。

去年の日本シリーズは見応えがあった。
6試合中5試合が得点差1という白熱したゲームというのもシビれた原因だと思う。
得点が多く入る打撃戦もダイナミックで面白いが、次の1点をどちらが取るかというジリジリした試合もスペクタクルである。

ところで突然だが、私は日本シリーズデーゲーム開催論者である。
しかも屋根のないスタジアムで、である。
(ドーム球場をホームにしているチームが進出した場合は、その場合は、、、その限りではない。)

試合開始時は眩しく白っぽかった太陽の光もイニングが進むにつれオレンジ色を帯びて来て、グラウンドが段々と日陰に飲み込まれてゆく。
晩秋の気配が色濃くなり、肌寒く感じてくるのとは裏腹にゲームの熱がどんどん上がっていくスタジアム。
用意した長袖を羽織る観客が増えていく頃、放たれる美しい放物線を描くホームラン。

秋が深まってゆくのをプロ野球シーズンの終わりが近づいてくる寂しさと共に実感できる時代であった。

今はナイトゲーム、しかも屋根のあるスタジアムであることも多くなり、季節感がなくなり、同時にスペシャルな感じも薄れてきた気がする。
勿論、集客やそれに伴う収入面、テレビの視聴率等を考えればナイトゲームは自然の流れなのかも知れない。

しかし、子供の頃、やるべき宿題を後回しにして手に汗を握りながらテレビを観たり、大人になってからは仕事をサボりながらラジオを聴くことは晩秋の風物詩であったと個人的には思う。

かように真冬に秋の話はズレ感を伴うのだ。

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