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透明な夜の香り

#透明な夜の香り
#千草茜
#集英社
香りは、永遠に記憶される。きみの命が終わるまで。元・書店員の一香がはじめた新しいアルバイトは、古い洋館の家事手伝い。その洋館では、調香師の小川朔が、オーダーメイドで客の望む「香り」を作る仕事をしていた。人並み外れた嗅覚を持つ朔のもとには、誰にも言えない秘密を抱えた女性や、失踪した娘の手がかりを求める親など、事情を抱えた依頼人が次々訪れる。一香は朔の近くにいるうちに、彼の天才であるがゆえの「孤独」に気づきはじめていた――。「香り」にまつわる新たな知覚の扉が開く、ドラマティックな長編小説。

ーーmemoーーーーーーーーーーー

確かにあるのに、名前がつかないと、ないことになる。

香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される。
けれど、その永遠には誰も気がつかない。そのひきだしとなる香りに再び出会うまでは。

本当に才能のある人は見えないものまで描けるんです。現実のものを描きながら、現実にはないものを見せることができる。それが人の心を動かす芸術だと思っています。

「嗅げば、募る。鮮烈な記憶は人を狂わせる」

「僕のことを先生と呼ぶのは、余計なことを考えずにここのルールに従いたいからだよね」

「どうして人は欲望を隠そうとするんだろう。自分にまで嘘をついて」

「心の中には森があるんですよ。奥深くに隠すうちに自分も道に迷ってしまうんです」

嘘をつく奴には必ず秘密がある。秘密は金になる。


ーー感想ーーーーーーーーーーー
静かな森でゆっくりとした時間を過ごすような世界観。
世界観が好きだったな。
調香師の朔。彼の嗅覚が生活への豊かさに繋がっていて。
料理などの描写は綺麗で、優雅な時間を彷彿とさせた。
森の中の洋館で、素敵なお花に囲まれ、ハーブをつんで料理して。
心が満たされるようなそんな感覚🌿

でも、それとは反対に香りから得られる情報の多さにびっくりした。
嘘の匂いがする。そんなことまで分かってしまうなんて。
嗅覚が鋭いがゆえに人の心が分かる。
人の心の中を分かってしまうがゆえの繊細さ。
その繊細さが彼の雰囲気を作るんだろうな。

「香りが人生を豊かにする」
この言葉を知って、香りに興味を持ちだした。
香りを意識すると、今まではきっとなにも思ってなかったけど、
日常で触れる香りがたくさんあることに気付く。
雨の日のにおい。夏のにおい。草のにおい。
最近はランニングしていると、蜜柑のお花の香りがする。
もうこれだけで「わぁ~!良い香り~!」と幸せになる🍊
今は部屋に飾っている芍薬の香りを毎日楽しんでる☺️
意識することで感じられることがたくさんあると気付く。

逆に意識しないと感じるという感覚を忘れがち。
今日も意識しながらランニングに行こうと思います🏃‍♀️

#読書記録 #萌本棚

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