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「バフェは今日も盛況なり」の巻

 カリフォルニア州ヴァカヴィル(Vacaville)市にある、支那料理のバイキング・レストランである(2008年10月8日撮影)。
 変な言い回しだ。支那料理でありながら「バイキング」というのが違和感の理由。
 そもそも「バイキング料理」と言うのは日本語であって、英語ではバフェという。日本ではビュッフェと言う人が多いが、それはフランス語で、こちらでは使わない。バフェか、あるいは、オール・ユーキャン・イートという。そのまんま、食べ放題ということだ。
 アメリカにはこの手のレストランが多い(帰国してから、日本でもその手のレストランが増えていたのには驚いたが)。そして、この写真を撮ったリーマン不況のころは、外食産業が打撃を受けたが、この手のレストランだけがにぎわっていたという話だ。
 さてこのレストラン、経営者が摘発された、曰くつきの店なのだ。
 実は、従業員のほとんどが、中南米や中国からの不法移民だったのだ。経営者は、他にも北カリフォルニアに2つのレストランを経営していて、そちらでも不法移民を主に雇用していたとのこと。給料は月450ドルで、十数人をひとつの家で合宿させていたらしく、地元では「現代の奴隷」とまで報じられていた。この写真は報道から1週間ほどたってからのものだ。
 この写真の左にある、GMの古いバンに注目。
 仕事の関係でこのあたりをよく通っていたのだが、とある朝、揃いの赤いシャツを着た支那人とおぼしき一団が、このバンから降りてくるのを目撃したことがある。変な宗教団体かと思ったが、今から考えれば、その「奴隷」の出勤風景だったのだ。
 それはさておき、バフェレストランで有名な街がある。それは、ラスベガスだ。
 カジノとショーの街ベガスは、バフェの街でもある。ホテルのレストランには必ずこれがあり、趣向を凝らした料理が供される。尤も、あまり期待しすぎるのはよくない。所詮食べ放題なのだから限界はある。
 狙いは、曜日を決めて行われるシーフードディナーや、感謝祭やクリスマスなどの特別料理だ。
 ファミレスのようなバフェレストランでは、「ホームタウン・バフェ」という店が有名だ。行ったことはないが、近所の店では、平日の夜から賑わっている。一度行かねばと思いながらも、冒頭の写真のバフェで、くわえタバコでの餃子包み作業を窓越しに目撃してから、バフェに対する信用度が、自分の中で急落してしまったのだ。まぁ、店が違えば衛生管理も違うだろうし、そんなことを言い出せば、外食などできやしないのだが…。
 それで事件は、経営者の逮捕(聞くところによると、2回目の摘発だったそうだ)と、不法就労者の強制送還で幕を閉じることになったようだが、この不法就労者たちには、カリフォルニア州の最低賃金との差額が、経営者から支払われることになるらしい。仮令不法就労であっても、最低賃金は法律で保証されているからとのこと。実はこれは、日本でも同じなのだ。
 そんなことするから、不法就労が後を絶たないんじゃないのか、と思ってしまうのだが、先進国はどこも、不法就労で成り立っているようなところもあるので、まじめに取り締まりもしていないような気がする。

拙ブログ『無闇にアメリカに来てはいけない』より「まだ営業中」(2008年12月09日16:16付)に加筆修正した。

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